後輩・部下の心をつかみ成長につなげるメンタリング制度の実践法[企業経営情報]大阪市 日新税理士事務所

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企業経営情報一覧後輩・部下の心をつかみ成長につなげるメンタリング制度の実践法
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人材育成の課題とメンタリング制度の必要性
最近、新聞紙上やビジネス雑誌において、若手社員の自立的思考能力の低下が指摘されており、若手社員の育成は企業経営における喫緊の課題となっています。
若手社員のレベルアップのためには、知識・技能の教育研修のみならず、そこから一歩踏み込んだ「心のケア」が必要になってきています。
そこで、本レポートでは、若手社員への精神的なサポートに重きをおいた「メンタリング制度」について解説いたします。
中小企業における人材育成の課題と取り組みテーマ
(1)中小企業における人材育成における課題
大企業に比べ総じて不利な状況にある中小企業において、人材の確保・育成は経営の存続とともに重要な取り組みとなっています。
中小企業にとっては、人材こそ最大の経営資源(財産)といえますが、まだまだ人材育成が十分に行われていないと感じている経営者は多くみられます。
今日の中小企業における人材育成の課題を整理すると以下のとおりです。
中小企業が人材育成において抱えている問題
「雑談総じていえることは、経営者が人材育成は重要であるということは認識しているものの、具体的な対策を施している中小企業は少ないという現状です。
今後、中小企業が人材育成に力を入れることは、自社の発展、存続にとって最重要課題となっており、下記のような取り組みを検討するべきです。
組織力強化のために行うべき人材育成の取り組み
(1)、(2)は、経営者・経営幹部が取り組まなければならないものですが、(3)、(4)は、現場の社員同士によるOJTによって育成を実現することが可能となります。
特に、中小企業は、規模が小さいがゆえにきめ細かな育成ができるのが強みであり、これを活かすべきです。
中堅~先輩社員が後輩社員に対して、積極的に指導に関わることによって、大企業が真似のできない人材育成が実現されます。

(2)精神的なサポートを行うメンタリング制度
OJT(職場内訓練)は実務能力を高め、組織としてのチーム体制を確立することにも有効ですが、計画的に実施されているとは言い難いのが現状です。
また、職業キャリアを推進していくための基礎能力は、単にoff-JT(職場外研修)だけで身につくものではありません。
日常的な業務の幅広い経験とそれに根ざした思考・行動の蓄積が基礎能力の形成に大きく寄与するものです。
こうした背景の下、人材育成を補完する役割、そして若手社員の精神的なサポート・モチベーション向上の仕組みとして「メンタリング制度」への関心が高まってきています。
人材育成とメンタリング制度の関係図
「メンター」の役割
メンターを一言で定義すれば、「相手をやる気にさせる人」といえます。メンターという言葉は、ギリシャ神話に出てくる老賢人「メントール」がその語源であると言われています。
1980年代に不況のアメリカで、成長した企業家が自分を精神的にも支援してくれた方々を、敬意を込めてメンター(Mentor)と呼ぶようになったことが、メンターという言葉が広まるきっかけになりました。
日本における一般的なメンターの役割は、以下のとおりです。
メンターの役割
「メンタリング」の定義
メンタリングとは、指示や命令によらず、メンターと呼ばれる指導者が、対話による気づきと助言による被育成者のメンティ本人の自発的・自律的な発達を促す手法です。
前述した定義を簡単にいいかえると、メンターとは「メンタリング行動をとる人」ということになります。
メンタリング行動とは、その職場での職業経験のある社員のとれる行動の一つであり、経験の浅い社員に対して、「必要な情報を提供すること」あるいは「情報のフィードバックをすること」といえます。
フィードバックする情報の内容は、仕事のやり方から人間関係の築き方、職業人生そしてキャリア形成に関することまで多様です。
また、メンタリング行動は、メンターである先輩と受け手(メンティ)である若手との間の直接の人間関係で繰り広げられる行動です。
そして、情報の提供、フィードバックの方法は多様で、教え、アドバイス、サポート、ときには叱責、積極的傾聴など、状況と相手に合わせて色々あります。
なぜ、いま「メンタリング制度」が必要なのか
真に強い組織というのは、上司と部下が師弟の関係になってこそできるものです。
チームワークが良い組織は必ずと言っていいほど、リーダーとメンバーが“育て・育てられた関係”にあります。
マーケットが成長期にあったときは、敷かれたレールの上をいかに速く走るかが勝負でした。
したがってトップダウン型で上が下を手足のように使うスタイルがよしとされました。
しかし、マーケットが成熟して顧客の好みや需要も多様化してきて、多品種少量生産になってくると、主従関係のような組織では対応することができません。
もちろん、会社人、組織人としては、最低限のルールを守ることは必要ですが、あまりにもそればかりが優先されるようになると「創造力の欠落」という現象が起こります。
一方、ボトムアップの場合、サポートタイプのリーダーが増えてくるため、社員1人ひとりが伸び伸びと仕事をする傾向が表れていきます。
その核になるのがメンターであり、今まさに現場の社員1人ひとりが自立し、柔軟にマーケットに対応できる組織をつくるために、メンターを核にした師弟関係的な繋がりが必要となっているのです。
人が“ヤル気”を出す仕組みを知る
社員の「満足」を引き出す組織をつくる
アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した職務満足、および職務不満足を引き起こす要因として二要因理論というものがあります。
この理論は、人間の仕事における満足度は、ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるという理論です。
さらには、「満足」に関わる要因(動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(衛生要因)は別のものであると結論づけています。
この理論における「不満足」に関わる要因としては、例えば「出世すること」、「お金を稼ぎぜいたくな暮らしをすること」、「有給休暇を100%消化できること」などがありますが、これらは、自分以外の人から見返りとして受け取れるものです。
この「不満足」に関わる要因は、見返りが得られるとモチベーションが上がりますが、その見返りは約束されたものではなく、見返りが得られなくなるとモチベーションは低下してしまいます。
一方、「満足」に関わる要因としては、例えば「自分のやりたいことが実現できる」、「自分の仕事が社会に貢献できる」、「自分の仕事が周囲から認められる」などがありますが、これらは、自分の内面の動機付けによってモチベーションが高まるものです。
この「満足」に関わる要因は「不満足」に関わる要因に比べると持続性があります。
したがって、社員のモチベーションを高め、これを持続させるためには、「満足」に関わる要因を引き起こすことができる組織づくりが求められます。
具体的には、3つの要素(達成動機、有能感、自己決定感)で示すことができます。
「満足」を引き起こす3つの要素と具体的方法
仕事が面白くなるサイクルをつくる
人の一生のうち、仕事に費やす時間を考えた場合、1日8時間で年間250日勤務とすると、1年間で2,000時間、40年間働くとすると80,000時間を仕事に費やすことになります。
この膨大な時間を単にお金を稼ぐためだけと思わせるような会社であるとすると、仕事はただ苦しいものになってしまうかも知れません。
このような会社組織にならないために、社員一人ひとりがやりがいや面白さを実感できるサイクルをつくることが求められます。
仕事が面白くなるサイクル
仕事は、部下が主人公になれる場です。会社全体で、上記のような仕事が面白くなる組 織づくりを行い、社員一人ひとりのモチベーションが向上すれば、自社の業績向上につな がっていきます。 よって、この考え方にもとづき「メンター」の役割は重要になってきます。人をやる気 にさせるメンターの存在が企業の生産性向上に寄与します。 次章では、そのメンタリング制度の導入方法について解説いたします。
メンタリング制度の導入方法
本章では、メンタリング制度導入段階でおさえておくべきプロセスとして、人材育成課題の整理、メンタリング目的の明確化、計画の立案、推進体制について解説します。
「人材育成課題」の整理と「メンタリングの目的」を明確にする
(1)人材育成課題の整理
様々な人材育成方法がある中で、あえてメンタリングを導入する根拠、目的を明確にすることによって、運用においてカギを握る対象者や関係者に正しく理解をされ、真摯に取り組んでもらうことが必要です。
そのためには、まず、人材育成や組織活性化に関わる課題は何か、というところからアプローチして、そこからメンタリングの目的を導き出すことが有効です。
このプロセスは、制度に関わることになる人々が問題意識を共有することにも繋がります。
例えば、人材育成や組織活性化の課題には、次のようなものがあります。
人材育成課題の整理
貴社・貴部門にとっての人材育成・組織活性化課題を整理してみましょう。
まず項目を列挙し、目的を具体的に記し、すでに取り組んでいること(プログラム、OJTなど)現状の問題点や今後の課題内容を記します。

(2)メンタリングの目的を明確にする
メンタリング目的を明確にするには、整理された課題から人材育成の重点課題を2つか3つ設定します。
課題項目が一般的な言葉になっている場合は、より適する言葉に言い換えます。
メンタリングの目的を明確にする
メンターの適任者
メンターは大事な役目である以上、適任条件があります。
先輩社員という条件だけで若手社員に任されているケースもみられますが、この人選は適切ではありません。
一般的には、下記の条件がメンターの適任者といわれています。
メンターの適任者
メンタリング制度実践の具体的な流れ
メンタリング制度を導入するということは、本来はベテラン人材と後輩人材との間に自然発生する育成的人間関係を組織の中に制度的に構築するということです。
メンタリングを制度として有効に機能させるために導入計画を立てます。
実践フローは、メンタリング制度をどのように導入し、実践していくかについてのプロセスごとの流れを示すものです。
およそどのようなプロセスで何をするのかを決定し、それぞれのプロセスでの取り組みと予め計画しておきます。
メンタリングの実践フロー
推進体制
(1)推進チーム
メンタリング制度の導入プロセスをスムーズに遂行するためには、主幹する部門主導のもとで、関係する人々を巻き込み、積極的に関与してもらう必要があります。
推進チームは、メンタリング制度の導入と定着を図るための活動を行います。

(1)主幹部門と推進担当者の人選
推進母体となるチームの中で主幹部門の担当者が担う役割は非常に重要です。
最初の段階では、主幹する部門から1~2名の担当者を決めます。
1名はメンタリング制度を企画した人物でリーダーとなります。
もう1名はリーダーを補佐し、各部門との調整窓口をこなせる人があたるのが望ましいでしょう。

(2)関連部署の役割と推進担当者の人選
推進チームに選定されるメンバーは主に3つの関わり方があります。
一つは、主幹部門の推進者同様に、職場でメンタリング制度の導入と定着にコミットしてくれる方です。
組織全体の体制に関わるようなプログラムの導入の場合は、推進メンバーとなってもらい、コーディネートしてもらうことが必要になるでしょう。
もう一つは、受け入れる側は協力するがあくまでも窓口に徹するというものです。
推進チームに人を出すほどには職場に余力がないような場合には、最低限の協力を得るためにプログラムの理解と対応窓口になってもらえる人を選ぶことになります。
そして、部門からのメンバーと1人も募れないような場合は、メンターやメンティのいる職場の長が定期的に説明会や報告会、オリエンテーションなどに参加することによって、メンタリングを推進してもらう、という体制になります。

(2)キーパーソン
(1)メンタリング対象者(メンティ)の上司の理解
メンタリング・プログラムが機能するためには、メンターとの関係がうまくいくだけでなく、メンティの直属上司との調整がうまくいって初めて成果に結びつきます。
導入段階において、メンタリングの対象者の属する部門責任者、とりわけ直属上司の理解と協力を得ることが必要不可欠です。

(2)経営幹部の支援を引き出す
ある程度企画がまとまった時点で、人事部門のトップを通じて経営幹部に理解を求め、役員会にて承認をもらっておくと、その後の導入がスムーズになります。
全社戦略としてのプロジェクトという位置づけで、各部門は推進において役割上の責任を負います。

(3)準備とそのチェックポイント
メンタリング・プログラムの導入と運用において、組織や職場の受け入れ体制がどの程度整い、経営者、管理職、従業員など関わる人々の意識やスキルが成熟しているか、といった職場や実施主体の準備状態を知っておくことが有効です。
例えば、次の項目などは、準備状態をチェックする指標になります。
準備とそのチェックポイント
メンタリング導入企業の事例紹介
A社:メンターとOJTで若年層の定着化と中堅層の育てる意識を醸成
A社では、2007 年より新卒社員を対象にメンタリング制度を導入したことで、新入社員の離職率が導入前より1割低下したほか、中堅層による後輩を育成する組織風土が醸成されました。

(1)メンターとOJTのダブルサポートで新入社員を支援
A社は社員の9割以上が転職者であることから、OJTを行うことが難しい組織風土でした。
しかし、2004年から定期的に新卒を採用し始めたことをきっかけに、教育研修制度ならびに人材育成のあり方を見直す風潮が高まりました。
職場ではOJTを推進しつつ、職場外では悩みや不安をメンターが受け止めるというダブルサポートを開始しました。
また、社員の平均年齢が30歳をこえることから、優秀な女性社員が結婚や出産で退職することを防ぐために就業規則など諸制度の改定を行いました。
そして、先輩社員がメンターとして新卒社員に関わり模範を示しています。
メンタリング制度を行ったことで、職場の垣根を超えた女性同士のネットワークが強化され、育休者の復職後の不安の解消やリーダー昇格者に占める女性割合の増加につながりました。

(2)きめ細かなメンタリング制度の運用
メンティとのペアを決定後には、メンターとその上長にメンタリング制度の説明会を実施し、上長には活動に対する理解を仰ぐようにしています。
メンターには、メンティのメンタルサポートだけでなく、自身の育成力を向上する機会とするように動機づけをし、メンティにも取り組みの成果を左右するのは自らの積極性であることを伝えています。
制度のルールは、「週に1回はメール・面談・食事など接点を持つこと」と「月に1回メンター・メンティ共に報告書を担当セクションに提出すること」の2つです。
開始3ヶ月後にメンティへ進捗状況のインタビューを行い、メンターには活動情報の共有や他社事例などを研究する懇談会を設けています。
B社:メンターと「シニアメンター」のチームで総合職新入社員全員を支援
B社では、総合職新入社員の孤独感を軽減するため、メンタリング制度を導入しました。
チーム制によるメンタリング制度で、新入社員の成長の他、メンター自身の成長や若年層のモチベーションアップ、さらには企業風土・文化等の明文化できないDNAを引き継ぐ効果も表れています。

(1)公募制で自ら応募してきたメンターが熱意を持って参加
メンタリング制度には、積極的に参加しようという熱意が重要と考え、公募制で実施しています。
公募によってモチベーションの高いメンターが集まることで、やらされ感がな く、各メンターが自主的に工夫して活動に取り組んでいます。
1年間真剣に新入社員と向き合うことで、新入社員だけでなく、メンター自身の成長にも繋がっています。

(2)メンターとメンターをフォローする「シニアメンター」でチーム制
マネージャー層からメンタリング制度に参加したいという声を受け、“メンターをフォローするメンター”として「シニアメンター」の公募を開始しました。
また、シニアメンター・メンターを少人数のチームに分け、チーム毎に制度の企画・運営を行っています。
具体的には、7月の新入社員とメンター、シニアメンターによる合同屋外研修を始め、新入社員向けメールマガジン、メンター文集、下期のメンター自身の研修等を企画・運営します。
その経験を翌年度以降のメンタリング制度に反映させ、メンター自身の声によって、制度が進化していきます。
これらの取り組みにより、社内が活性化され、部署の垣根を超えた交流も盛んになりました。
女性の参加者も年々増加しており、女性総合職に制度が確実に浸透し、女性間のネットワーク作りにも貢献しています。
メンタリング制度は人材育成制度の大きな柱として発展しています。
まとめ
メンタリング制度は、メンター、メンティといった当事者が、高い意識を持って制度へ参加していくことが重要になります。
そして、それをサポートする組織、トップマネジメントのサポートも必要不可欠です。
その双方が有機的に機能すると、メンタリング制度を通じて、強固な組織体制および高業績体質への変革に寄与することができます。

■参考文献
『会社を元気にするメンタリング・ハンドブック ~導入から実践』
(公益財団法人日本生産性本部ワーキングウーマン・パワーアップ会議 メンター研究会 編、日本生 産性本部生産性労働情報センター 刊)
『「社内メンター」が会社を変える』(小野達郎 著、同文舘出版 刊)
『メンタリング・マネジメント 共感と信頼の人材育成術』(福島正伸 著、ダイヤモンド社 刊)
『メンタリング入門』(渡辺三枝子・平田史昭 著、日本経済新聞出版社 刊)

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