人口減少社会を迎えて全世代型へ 社会保障制度の再構築[医業経営情報]大阪市 日新税理士事務所

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医業経営情報一覧人口減少社会を迎えて全世代型へ 社会保障制度の再構築
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現行制度の持続を確保する改革のスタート
現行の社会保障を維持するために抜本的改革は不可欠
日本における65 歳以上の高齢人口比率は総人口の4分の1となり、これに伴う年金・医療・介護などの社会保障給付は、既に年間100兆円を超える水準に達しています。
この給付を賄うために現役世代の保険料や税負担が増え、またその大部分は国債などによって補てんされていることで、少子化が進んでいる将来世代の負担が大きくなっています。
公的債務残高はGDPの2倍を超える状況になっており、現在の負担の仕組みでは社会保障制度そのものが持続できなくなる可能性が極めて高くなっています。
「国民皆保険制度」を柱とする現在の社会保障の枠組みは、「現役世代は雇用、高齢者世代は社会保障」という生活保障モデル(1970年代モデル)です。
しかし、1990年代以降の国内外の社会経済状況の変化の中で、これまでの社会保障が前提としていた日本の社会・ 経済構造は大きく変化を遂げました。
こうした社会経済状況の変化を踏まえ、社会保障制度改革国民会議は、本年8月6日に提出された報告書において、日本の社会保障制度を現在の仕組みから「2025年日本モデル」に再構築し、国民生活の安心を確保することが喫緊の課題と指摘しました。
国民会議の報告書を受けて政府・与党では調整に入り、2017年度までの社会保障制度改革の工程表と位置付ける、次のような「プログラム法案」の骨子を8月21日に閣議決定し ました。
社会保障制度改革プログラム法案骨子の概要 ~医療・介護分野抜粋本法案は今秋の臨時国会で成立させ、来年の通常国会において医療・介護関連改正法案として提出する予定です。
全世代が負担能力別に支えあう仕組みへの変革
(1)すべての世代が相互に支えあう社会保障への再編
日本の人口高齢化に大きく寄与したのは、社会保障制度の充実であったといえます。
しかし、一方では社会人口構造の変化によって、従来の社会保障の柱としてきた国民皆保険制度を維持することが困難な見通しとなりました。
そのため「2025年日本モデル」の社会保障については、必要な財源を確保した上で、子ども・子育て支援を図ることや、経済政策・雇用政策・地域政策などの施策との連携を前提とします。
非正規雇用の労働者の雇用の安定・処遇の改善を図ること等を始めとして、すべての世代を支援の対象とし、また、すべての世代が、その能力に応じて支え合う全世代型の社会保障とすることで、国民皆保険制度の堅持を果たそうというものです。
そして、社会保障制度の再編・再構築とは、その持続可能性を高め、高度にその機能が発揮されるように、日本の社会保障制度の持つ長所はそのまま活かし、時代に合わなくなった点を見直すことで、これまで以上に良い制度を後代に引き継ぐためものであり、真に必要な改革を着実に行うことが求められています。
「2025年日本モデル」社会保障のあり方報告書において、「2025年日本モデル」の社会保障では、主に高齢者世代を給付対象とする制度から、切れ目なく全世代を対象とする制度への転換を目指すべき、と明記されています。
その際、全世代型の社会保障への転換は、世代間でそれぞれ必要な財源を確保することによって達成を図ること、また、世代内の公平も重要であり、特に他の年代と比較して格差の大きい高齢者については、負担能力に応じて社会保障財源に貢献してもらうことが必要との考え方を前提に、これまでの「年齢別」から「負担能力別」に負担のあり方を切り替え、資産を含め負担能力に応じて負担する仕組みとしていくことが必要です。

(2)成熟社会の構築に向けた取り組み
今後の高齢社会では、従来の「支えられる側・支える側」という区分を取り払い、高齢者が社会で活躍できるような経済社会システムづくりを行っていくことが不可欠です。
例えば、医療の目的は、従来の「治す医療」からよりQOLを重視した「治し・支える医療」への転換が求められ、また、医療・介護の提供体制についても、地域社会を単位とする「まちづくり」としてとらえることが重要です。
高齢化が進展する社会での医療・介護のあり方 ~転換が求められている社会保障の制度設計に当たって、中年期からの健康管理や介護予防など個々人が、リスクの低減に向けた自助努力を行うインセンティブを持てる仕組みや、サービスの選択肢を増やし、個人が選択していける仕組みを組み込むという方向性も提示されました。
具体的な施策として実施される内容は、今後の検討結果を待つ必要がありますが、それには次のような考え方が背景にあります。
すなわち、人口構成の変化や高齢化等をネガティブに考えるのではなく、様々な課題に正面から向き合い、一つひとつ解決を図っていくことを通じて、世界の先頭を歩む高齢化最先進国として、超高齢社会の中を充実して生きていける社会づくりを「成熟社会の構築」ととらえて取り組むことが必要である、と報告書は提言しています。
これまでの日本における充実した社会保障制度が高齢化をもたらしたといえますが、少子高齢化がさらに進むこれからの社会保障においては、世代に関わらず、必要としている人々にしっかりと給付されるような改革を行う必要があります。
時間軸で考える改革の方向性2025年モデルの社会保障を再構築するという考え方に沿った制度の改革については、将来あるべき社会像を想定した上で、短期と中長期に分けて実現することが必要です。
つまり、まず消費増税という国民負担を社会保障制度改革の実施という形で速やかに国民に還元することを目指し、今般の一体改革による消費税の増収が段階的に生じる期間内に集中的に実施すべき改革が短期的に行うべきものと示しました。
また、中長期的には、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年を念頭において段階的に改革を実施すべきであるという考え方です。
これら時間軸でとらえた具体的な改革のためのさまざまな施策は、工程表であるプログラム法案で骨子が示されており、早いもので2014年度から順次実施が予定され、2017年度までに実施予定と明示されています。
医療・介護制度改革の方向性このような改革の道筋については、定期的に改革の方向性やその進捗状況をフォローアップしていくことが不可欠ですが、これについては8月21日にプログラム法案が閣議決定されたことによって、検討すべき事項を明確にしたうえで、その結果をもとに必要な措置を行う旨が明らかにされています。
国民会議報告書は、国民生活に密着し、一人ひとりにとって不可欠なものとなった社会保障を今後も維持・発展させていくためには、社会保障を国民の共通財産として、守り、育てていくという意識を持つことが重要だという点を、国民に対するメッセージとして改めて強調するものとなっています。

医療・介護サービス提供体制見直しの加速化
医療・介護分野における改革の方向性
(1)改革の基本的な考え方
民間主体による医療・介護サービスが提供されている日本の場合、提供体制の改革は、提供者と政府・政策実行側との信頼関係が基盤となります。
しかし、従来行われてきた日本の提供体制への診療報酬・介護報酬による誘導をはじめ、政策的に行われてきた方針の転換は、医療・介護事業経営側からは経営上の不確実性としてとらえられてきたことは否めません。
その結果、政策変更リスクに備えて過度に危機回避的な行動につながり、現在の提供体制の形を歪めている一因になっている点を指摘して います。
従来の政策転換に対する懸念の例そのため、病床区分を始めとする医療機関の体系を法的に定め直し、それぞれの区分の中で相応の努力をすれば円滑な運営ができるという見通しを明らかにすることが、今後の医療・介護サービス提供の担い手にとって、今後の経営方針・計画策定のうえで懸念を軽減する要素になるといえるでしょう。
さらに、これまで長く求められてきた要望に応え、「地域完結型」の医療に見合った診療報酬・介護報酬に向け体系的に見直す必要に迫られているともいえます。
そのなかでは、「必要な時に、必要な医療にアクセスできる」という意味でのフリーアクセスを守るために、緩やかなゲートキーパー機能を備えた「かかりつけ医」の普及は欠かせないものとなります。

(2)医療法等改正案の概要
厚生労働省は、国民会議報告書を踏まえて、来年の通常国会に医療法等関連法令の改正案提出を予定しています。
医療法等改正案の主な項目上記の改正案は、9月以降厚生労働省医療部会を月2回程度開催して審議が進められ、11月中をめどに意見書を取りまとめられる予定となっています。
来年度の診療報酬改定に向けて、同時に検討が行われていくこととなります。
また、医療法人制度の見直しについては、別途検討会を設置して議論を行う方針を明らかにしています。

(3)病院完結型から地域完結型への移行
急性期治療を経過した患者を受け入れる入院機能や住み慣れた地域や自宅で生活し続けたいというニーズに応える在宅医療や在宅介護は、十分には提供されていません。
国民会議報告書では、急性期から亜急性期、回復期等まで、患者が状態に見合った病床でその状態にふさわしい医療を受けることができるよう、急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入し、入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現するとともに、受け皿となる地域の病床や在宅医療・在宅介護を充実させていく必要性を指摘しています。
つまり、機能分化した病床機能にふさわしい設備人員体制の確保、病院および地域の診療所をもネットワークに組み込み、医療資源として有効に活用していくことが必要です。
さらに、病床の機能分化という政策の展開は、退院患者の受入れ体制の整備政策と同時に行われるべきであることからも、提供者間のネットワーク化は新しい医療・介護制度の下では必要不可欠なものと提言しています。
医療・介護サービスの提供体制改革の枠組み(1)病床機能報告制度の導入と地域医療ビジョンの策定
国民会議報告書を踏まえたプログラム法案において、医療施設等の確保、およびその有効活用を図り、効率的に質の高い医療提供体制を構築するとともに、今後の高齢化の進展に対応し、地域包括ケアシステムの構築を通じて地域で必要な医療を確保するため検討すべき事項として、次のような事項が挙げられています。
医療・介護サービス提供体制に関する検討事項地域医療ビジョンについては、次期医療計画の策定時期が2018年度であることを踏まえ、 必要な措置は2017年度までに順次実施されます。

(2)医療・介護の連携と地域包括ケアシステム = ネットワークの構築
地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワーク、すなわち地域包括ケアシステムづくりの推進は、既に着手されています。
しかし、地域包括 ケアシステムは、介護保険制度の枠内では完結するものではありません。
例えば、介護ニーズと医療ニーズを併せ持つ高齢者を地域で確実に支えていくためには、訪問診療、訪問口腔ケア、訪問看護、訪問リハビリテーション、訪問薬剤指導などの在宅医療が不可欠です。
自宅だけでなく、高齢者住宅、グループホームや介護施設その他どこに暮らしていても必要な医療が確実に提供されるようにするため、かかりつけ医の役割が改めて重視されます。
さらに、医療・介護サービスが地域の中で一体的に提供されるようにするためには、医療・介護のネットワーク化が必要になります。
こうした地域包括ケアシステムの構築に向けて、まずは、2015(平成27)年度からの第6期以降の介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置づけ、各種の取り組みを進めていくべきと指摘しました。
具体的には、次のようなものが挙げられています。
介護サービス、地域支援事業地域医療ビジョン同様に、地域の介護需要のピーク時を視野に入れながら2025(平成37)年度までの中長期的な目標の設定を市町村に求める必要があるほか、計画策定のために地域の特徴や課題が客観的に把握できるようにデータを整理していく仕組みを整える必要が あります。
また、都道府県が策定する地域医療ビジョンや医療計画は、市町村が策定する地域包括ケア計画を踏まえた内容にするなど、医療提供体制の改革と介護サービスの提供体制の改革が一体的・整合的に進むような制度整備が進められます。

重点化・効率化を進める医療・介護保険制度
医療保険制度の改革に関する考え方将来にわたって持続可能な医療保険制度の構築に向けて、プログラム法案では、国民会議報告書を踏まえて、次のような事項について検討を加え、必要な措置を講ずることとし ています。
(1)財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保
社会保障制度改革推進法(第6条)は、まず国民皆保険制度の維持の必要性を掲げていることから、「財政基盤の安定化」については、国民皆保険制度の最終的な支え手である国民健康保険の財政基盤の安定化が優先課題として挙げられます。医療保険制度の財政基盤安定化に係る検討事項
報告書では、国民皆保険制度を守るために、こうした現在の市町村国保の赤字の原因や運営上の課題を、現場の実態を踏まえつつ分析した上で、国民健康保険が抱える財政的な構造問題や保険者の在り方に関する課題を解決していく必要性が指摘されています。
すなわち、従来の保険財政共同安定化事業や高額医療費共同事業の実施による対応を超えて、財政運営の責任を都道府県にも持たせることが不可欠だということです。
また、医 療提供体制改革の観点も踏まえれば、国民健康保険の保険者の都道府県移行が必要であるとして、これに伴う必要な措置を進めることとしています。
保険料に係る国民負担に関する公平の確保 ~検討事項特に財政上の問題を抱えている国民健康保険については、保険者を都道府県に移管する方針が示されています。

(2)医療給付の重点化・効率化 ~療養の範囲の適正化等
改革推進法(第6条第2号)では、医療保険制度について、「保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等」を図ることも求められています。
国民会議報告書に示された医療給付の重点化・効率化報告書では、フリーアクセスの基本は守りつつ、限りある医療資源を効率的に活用するという医療提供体制改革に即した観点からは、医療機関間の適切な役割分担を図るため、「緩やかなゲートキーパー機能」の導入は必要と提言しています。
具体的には、選定療養費となっている初再診料が選定療養費について、今後は一定の定額自己負担を求めるような仕組みを検討すべきとしています。
今後、患者のニーズに応える形で入院医療から在宅医療へのシフトが見込まれる中、入院療養における給食給付等の自己負担の在り方について、入院医療と在宅医療との公平を図る観点から見直しが必要と指摘しています。
また、法的には2割と規定されながら、現在暫定的に1割負担となっている70~74歳の医療費の自己負担について、現役世代とのバランスと高齢者にも応分の負担を求める観点から、当該措置を改め、法令上の規定どおり2割とすべきとしています。
これらを踏まえたうえで、プログラム法案の中で次のような検討事項が挙げられています。
保険料に係る国民負担に関する公平の確保 ~プログラム法案検討事項
介護保険制度の改革に関する考え方介護保険制度については、地域包括ケアシステムの構築こそが最大の課題だといえます。
今後進展する高齢化の中で持続可能性を高めていくために、改革推進法(第7条)において、「範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図る」こと及び「低所得者をはじめとする国民の保険料に係る負担の増大を抑制」することが求められています。
一方で、プログラム法案においては、個人の選択を尊重しつつ、介護予防など自助努力を行うインセンティブを持てる仕組みの検討など、個人の主体的な取り組みを奨励する方 針を示しています。
(1)範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化
介護サービスの効率化・重点化をめぐっては、地域包括ケアシステムの構築を通じて必要な介護サービスを確保する観点から、次のような事項に関して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしました。
介護サービスの効率化・重点化を図る際の検討事項介護保険制度では利用者負担割合が所得水準に関係なく一律ですが、制度の持続可能性や公平性の視点から、一定以上の所得のある利用者負担は、引き上げるべきとしています。
さらに、施設入所の場合には、世代内の公平の確保の観点から、補足給付に当たっては資産も勘案すべきとの考え方を示しています。
また、介護を要する高齢者が増加していく中で、特別養護老人ホームは中重度者に重点化を図り、併せて軽度の要介護者を含めた低所得の高齢者の住まいの確保を推進していくために、入所者は要介護3以上を要件とする方針が示されました。
また、デイサービスに ついては、重度化予防に効果のある給付への重点化が求められます。

(2)被用者保険における介護納付金の総報酬割導入
第2号被保険者の加入する医療保険者が負担する介護納付金については、現在、第2号被保険者の人数に応じたものになっています。
しかし負担の公平化の観点から、被用者保険について、被保険者の総報酬額に応じたものとしていくべきであるとして、これについて検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとなりました。
企業や社会からの反発も想定されることから、今後の検討 経過に留意することが必要です。
こうした取組みも含め、第6次介護保険事業計画が2014年度から始まることを踏まえて、上記に掲げられた必要な措置は、2014年度をめどに実施されることとなります。
これに向けて必要な法律案は、来年の通常国会に提出される予定であり、社会保障制度改革は、2025年モデルに向かって、その実現のためのスタートが切られます。

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