「数字で考える」は武器になる 大田 嘉仁 著

はじめに

「数字で考える」と、仕事がどう変わるのか?
1.経営者と共通の言語で話せる  → 説得力・伝える力
2.計数感覚の向上  → 儲けるセンス
3.ROIへの意識向上  → Speed 生産性
上記3点から「企業の利益を生み出す黒字社員」が生まれ → 「人生100年時代に必須の業界・業種を超えたポータブルスキル」が見に着きます。
本書のポイントは、
(1)四則計算:算数の知識だけで数字を活用できる
(2)シナリオ(仮説):分析(作業)を始める前にゴールから逆算する
(3)ビジュアル化:グラフや絵を使う
(4)定性情報:数字(定量情報)に過去の経験や知識をくわえる
(5)比較:比較対象を見つける。

第1章 生産性を爆速させる数字力

「仕事が速い」というのは、周囲から「仕事ができる」と思われる、とても重要だけれど簡単な方法です。
Speed is Power
生産性の高い人は「納期と工数の両方で管理」しています。
仕事を納期と工数に因数分解することは、Speed is Powerを実現するための効果的なスキル
フェルミ推定とは、「琵琶湖の水は何滴か?」「ウインブルドン・センターコートの芝生の本数は何本か?」といった一見荒唐無稽な設問を短時間で回答する方法論で、その実践者であるエンリコ・フェルミの名前が由来となっています。
フェルミ推定では、単に回答を見つけるのではなく、複数の回答シナリオから最適な方法を見つけることを推奨しています。
どれが妥当解かというよりも、より多くのシナリオを考え、その中から精度が高く、簡単に計算できるものを短時間で見つける、いわばゲームです。

第2章 数字の裏を読む

正しく数字を使えば7割程度の真実を把握でき、残りの3割は定性情報で補うことができる。
平均のもとになっている分散の数値を確認することで、現象のリアルに迫ることができる。
平均的な人なんて存在しない。
あなたが日ごろ見聞きしている現場の数字と数字の間に違和感を持ったら、その違和感を大事にして、想像力を働かせて、確認する習慣をつけてください。
これが定性データを加えるという考え方で、分析のレベルを向上させる重要なポイントの一つです。
シナリオ(仮説)力をアップさせるには、(1)たくさんの選択肢を見つける、(2)適切な選択肢1つに絞るに分けられます。
この2ステップは、シナリオ作成であろうと、企画立案であろうと営業方法であろうと様々な仕事に応用可能な考え方なのです。

第3章 儲けるセンスを高める数字力

(1)損益分岐点のコントロール
300円のコーヒーを50円値引きして250円で販売するのか、50円のトッピングを無料サービスして300円で販売するのか?
同じ50円の値引きでも長期的な利益を増やすにはどちらの方がよいのか
→実際、本を手にして検討してください。
(2)2軸思考
適切なデータを適切な2軸で表現すると、事実が浮き彫りになる。
顧客満足度とロイヤルティ、市場成長率高とマーケットシェア低などのようにイケテイル軸を見つけることができると、課題が一気に解決できます。
(3)数字のストックを増やす
どのような数値がどこにあるのか知っている、あるいは、それらのおおよその数値を知っていると、フェルミ推定や仮説力の精度が高まります。
仮説力の精度が高まると、施策の精度が高まります。
結果として儲けのセンスも高まります。

第4章 人を動かすリーダーの数字力

プレゼンテーションは話を伝えることが目的ではなく、プレゼンテーションを通じて、ターゲットとなる人に自分が思った通りの態度変容(行動)をしてもらうことが目的です。
思考が変わると行動が変わる。
行動が変わると結果が変わる。
因数分解、つまり持てる大きさにすることは、メンバーと一緒にミラクルを起こすきっかけになるのです。

第5章 数字力を自在に操る7つのフレーム

フレーム1「一つに絞る」
KPIは事業目標の結果が出る前に分かる「先行指標」でなければなりません。
事業における「信号」であるKPIは「1つに絞る」ことが重要です。
フレーム2「二兎追う者は一兎も得ず。ではなくアウフヘーベン」
一見対立する概念は、それぞれの視点や視野が固定されていることが原因であることが少なくありません。
これを一つ高い次元で統合(アウフヘーベン)する柔軟性を持つことがポイント
フレーム3「3つあります」
人が並行検討できるのは最大4から6程度の選択肢である。
箇条書きが4つを超えると、グルーピングしてまとめる、あるいは、1マス右にずらして次元を変えられないかを検討するのも一つ。
フレーム4「4P(マーケティングミクス)
Product(製品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション、宣伝、販促)、Place(営業チャネルや流通チャネル)というPで始まるマーケティングで重要な4つの用語の総称。
フレーム5「5F(ファイブ・フォース)」
企業は様々な「力」と戦う競争環境の中で事業運営しています。
新規参入を考える市場や、自社の属している市場を整理する際に有効なフレームです。
(1)顧客、(2)仕入れ先、(3)競合企業、(4)新規参入者、(5)代替者
フレーム6「6Σ(シックス・シグマ)」
日本では、不良品の発生率をゼロにしようとする話をよく聞きます。
ゼロを目指すことの3つの問題。
(1)6Σ(100万個に2,3個のミス)から不良品をゼロにするのは多大な努力とコストが必要
(2)欠品ゼロを年間目標にした場合、最初のチェックで不良品が出ると、もうその年間目標達成はできない。
(3)顧客もそんなことを求めていない
もちろんロケットや飛行機など不良品ゼロを求められる業界もありますが、そのような業界の方が圧倒的に少ない。
6Σから学んで欲しいのは、ミスは起きると考えるか、起きないと考えるかという思想。
フレーム7「7つの習慣」
スティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣」ではスケジュールを大きな石で埋めることが大切。
大きな石とは、緊急度が低く重要度の高い仕事のこと。

「数字で考える」は武器になる 中尾 隆一郎 著 昨年出版された「最高の結果を出すKPIマネジメント」も分かりやすくて良い本だったのですが、この本も良かったので紹介したいと思いました。
私も常々、四則計算さえできれば財務分析は出来て、数字に強くなれると思いながら、仕事してきただけに、この本は私の考えを財務以外の観点からも裏付けくれたと思っております。
今回のサマリーでは紹介しきれていない著者の実体験や数字の事例が数多く紹介されています。
そこを丁寧に計算しながら読むだけでも数字力はアップすると思います。
また、フェルミ推定のこと紹介されております。
この本と併せて、「地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」」細谷功・著、「地頭を鍛えるフェルミ推定ノート」東大ケーススタディ研究会・著や「過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題」大石哲之・著もお勧めです。
この例年になく長いGWのうち何日か時間と自己投資して数字に強くなる本を読まれてはいかがでしょうか?きっと思考がかわってきますから!

お勧め度:☆☆☆☆★星4つ
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(桐元 久佳)