平成29年決算データからみる医科診療所経営実績分析

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医科診療所経営実績分析

  1. 平成29年 医科診療所経営実績分析
  2. 平成29年 収入上位診療所の経営実態
  3. 平成29年 診療科目別経営実績分析
  4. 平成29年 医療法人立診療所経営指標分析


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1.平成29年 医科診療所経営実績分析

1.医科診療所経営実績分析の概要

本調査は、平成29年の決算書に基づいて、実数値から経営状況を把握することを目的としています。
その上で、連続して調査を実施している平成28年との比較を通じ、前年実績との改善または悪化の状況を分析しています。
抽出したデータは、平成29年に決算を終えた無床診療所364件(医療法人241件、個人開業123件)の主要科目について、平均値を算出しています。
なお本分析では、人件費から役員報酬と専従者給与は除いています。

平成29年比較要約変動損益計算書

2.医科診療所 全体動向と利益の状況

(1)医科診療所 全体動向

平成29年における医科診療所の経営実績は、平成28年と比較して、その差は僅かですが減収減益となりました。
今回の調査では、黒字診療所は全体の86.0%を占めています。
医業収入は0.1%減、うち保険診療収入は0.3%減で、変動費は0.4%の減少となりました。
限界利益は0.1%の減少、また医業費用が0.4%の増加となり、結果的に医業利益は0.5%の減少となりました。

医業収入・費用等全体の状況

(2)医科診療所 利益状況

限界利益および医業利益のどちらも減少となりました。
限界利益は前年対比0.1%、医業利益が同0.5%減少という結果でした。

限界利益・医業利益・経常利益

3.医業収入 対前年増減比較分析

(1)医業収入 対前年比較

医業収入の実績は、下記のとおりです。
医業収入合計では前年対比99.9%で、ほぼ前期と同じ収入でした。
うち保険診療収入は0.3%の減少、保険外診療収入は1.7%の増加となりましたが、その他医業収入は5.7%減少しました。

医業収入

(2)医業収入分析

保険診療収入は316千円の減少、保険外診療は309千円の増加、その他の医業収入は、152千円の減少となっています。

4.医業費用 対前年増減比較分析

(1)医業費用 対前年比較

医業費用の実績は、下記のとおりです。
変動費は0.4%の減少となり、人件費は5.9%増加、その他固定費は1.9%の減少となりました。

医業費用 対前年比較

(2)医業費用分析

医業費用分析

2.平成29年収入上位診療所の経営実態

1.収入上位診療所経営実態調査の概要

第1章で分析した無床診療所364件(医療法人241件、個人開業123件)の決算書より、収入上位20%を抽出して経営データを集計しました。
うち73件を対象とし、その内訳は医療法人62件、個人開業11件です。

平成29年収入上位診療所比較要約変動損益計算書

2.収益上位診療所 全体動向

(1)経営動向と利益状況

平成29年診療所全体の経営実績は増収減益でした。黒字診療所の割合は88.0%で、全体での86.0%という数値と比べ、収入上位の方が黒字割合は高いという結果となりました。
医業収入は全診療所データでは0.1%の減収でしたが、収入上位診療所では0.2%増加しています。
また収入上位の診療所では、保険診療収入はほぼ前年並みでしたが、保険外診療収入とその他の医業収入が増加となりました。
変動費は前年対比1.1%の減少、限界利益は同0.6%の増加となりました。
医業費用は、人件費が4.4%増加しており、その他固定費は1.9%の減少となりました。

限界利益・医業利益

(2)医業収入・費用等全体の状況

医業収入、限界利益は増加しましたが、医業費用の増加、特に人件費が増加したことにより、結果として、医業利益は0.3%の減少となりました。

医業収入・費用等全体の状況

3.医業収入の状況

(1)医業収入 対前年対比較

医業収入 対前年対比較

(2)医業収入分析(医業収入上位20%)

医業収入分析

4.医業費用の実態

(1)医業費用 対前年対比較

医業費用の実績は、下記のとおりです。変動費は前年対比1.1%の減少となりましたが、人件費は同4.4%増加となりました。
一方、その他固定費は同1.9%の減少となりました。

医業費用 対前年対比較

(2)医業費用分析

医業費用分析

3.平成29年 診療科目別経営実績分析

1.診療科目別経営実績分析の概要

本分析で抽出したデータは、平成29年に決算を終えた無床診療所364件(医療法人241件、個人開業123件)から診療科目別に抽出し、各診療科目別の平均値を算出しています。
なお、対象とした診療科目は、内科、小児科、心療内科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科で、第1章のデータ同様、人件費から役員報酬と専従者給与は除いています。
また、参考として平成29年各診療科目上位20%データを記載しています。

各データのサンプル数

個別データは、次ページ以降に紹介しています。
診療科目別に集計した主要科目別数値は下記のとおりです。

平成29年診療科目別主要データ

2.診療科目別経営実績分析結果

(1)内科診療所

内科等を標榜している診療所の集計データの内訳は、一般内科96件、循環器内科13件、消化器内科10件、呼吸器内科3件、その他1件の計123件です。
内科診療所は増収増益を示し、医業収入は0.6%の増加で、変動費は0.2%の減少、医業費用は1.2%増加し、結果として医業利益は0.3%増加して47,157千円となりました。
なお役員報酬は、平成29年平均で30,447千円となっています。

平成29年比較要約変動損益計算書

(2)小児科診療所

小児科診療所は減収減益となり、保険診療収入は5.8%減少となりました。
変動費は2.5%増加、医業費用は0.7%減少、結果として医業利益は4.7%減少し、42,082千円となりました。
役員報酬は、29年平均で28,127千円となっています。

平成29年比較要約変動損益計算書

(3)心療内科診療所

心療内科診療所は、増収増益となりました。
医業収入(前年対比1.1%)、医業利益(前年対比3.8%)ともに増加し、変動費は2.0%の減少、医業費用も2.0%の減少となりました。
役員報酬は、平成29年平均で35,524千円となっています。

平成29年比較要約変動損益計算書

(4)整形外科診療所

整形外科診療所は増収増益となり、医業収入は0.1%の増加となりました。
変動費は5.9%、医業費用は0.5%減少し、結果として医業利益は2.9%、金額にして1,441千円の増加となりました。
役員報酬は、平成29年平均で38,312千円となっています。

平成29年比較要約変動損益計算書

(5)皮膚科診療所

皮膚科診療所は増収増益となり、医業収入(前年対比1.4%)、医業利益(前年対比2.1%)ともに増加し、変動費は3.2%減少した一方、医業費用は1.7%の増加となりました。
役員報酬は、平成29年平均で34,695千円となっています。

平成29年比較要約変動損益計算書

(6)耳鼻咽喉科診療所

耳鼻咽喉科診療所は減収減益となり、医業収入は1.1%の減少となりました。
変動費は1.1%の減少、医業費用は0.7%増加し、結果として医業利益は2.7%、金額にして1,154千円の減少となりました。
役員報酬は、平成29年平均で22,997千円となっています。

平成29年比較要約変動損益計算書

(7)眼科診療所

眼科診療所は減収減益で、医業収入は前年対比0.4%の減少となりました。
変動費が2.2%増加しましたが、医業費用は0.7%減少しました。結果として医業利益は1.3%、金額にして736千円の減少となりました。
役員報酬は、平成29年平均で32,998千円となっています。

平成29年比較要約変動損益計算書

4.平成29年 医療法人立診療所経営指標分析

1.医療法人経営指標分析の概要

本章では、医療法人立無床診療所241件を対象として、貸借対照表から経営指標を算出しました。
収益性、生産性、安全性、成長性の4つの視点で分析を行っています。

平成29年比較貸借対照表 医療法人立無床診療所平均、平成29年比較損益計算書 医療法人立無床診療所平均

2.収益性分析 前年対比

収益性分析 前年対比

3.生産性分析 前年対比

生産性分析 前年対比

4.安全性分析 前年対比

安全性分析 前年対比

5.成長性分析 前年対比

成長性分析 前年対比

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