平成27年決算データからみる医科診療所経営実績分析

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平成27年決算データからみる医科診療所経営実績分析

  1. 平成27年医科診療所経営実績分析
  2. 平成27年収入上位診療所の経営実態
  3. 平成27年診療科目別経営実績分析
  4. 平成27年医療法人立診療所経営指標分析

 


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1.平成27年医科診療所経営実績分析

1.医科診療所経営実績分析の概要

本調査は、平成27年の決算書に基づいて、実数値から経営状況を把握することを目的としています。
その上で、連続して調査を実施している平成26年との比較を通して、前年実績との改善または悪化の状況を分析しています。
抽出したデータは、平成27年に決算を終えた無床診療所253件(医療法人158件、個人開業95件)の主要科目を抽出し、平均値を算出しています。
なお本分析では、個人開業及び医療法人の実数値をそれぞれ集計した後に、個人開業に統合したため、人件費から役員報酬と専従者給与は除いています。

平成27年比較要約変動損益計算書

2.医科診療所 全体動向と利益の状況

(1)医科診療所 全体動向

平成27年における医科診療所の経営実績は、平成26年と比較して増収増益となりました。
医業収入は1.5%の増加、保険診療収入は1.5%の増加でした。変動費は0.1%の微増となりました。
限界利益は1.8%の増加となり、医業費用は1.3%減少したため、医業利益は5.2%の増加となりました。

医業収入・費用等全体の状況

(2)医科診療所 利益状況

限界利益、医業利益、経常利益の全てが増加となりました。
限界利益が対前年比101.8%、医業利益が同105.2%、経常利益が同102.0%という結果となりました。

限界利益・医業利益・経常利益

3.医業収入 対前年増減比較分析

(1)医業収入分析

医業収入の実績は、下記のとおりです。
医業収入合計では、対前年比101.5%となっています。
保険診療収入が1.5%の増加となりましたが、保険外診療収入は減少、その他の医業収入は増加しました。

医業収入、医業収入分析

4.医業費用 対前年増減比較分析

(1)医業費用対前年比較

医業費用の実績は、下記のとおりです。
変動費は0.1%の増加となり、人件費は1.5%の増加、その他医業費用は3.9%のマイナスとなりました。

変動費(医薬品・医療材料費・検査委託費)、人件費・役員報酬、その他医業費用

(2)医業費用分析

医業費用分析

2.平成27年 収入上位診療所の経営実態

1.収入上位診療所経営実態調査の概要

第1章で分析した無床診療所253件(医療法人158件、個人開業95件)の決算書より、収入上位20%を抽出し、経営データを集計しました。
分析の分母は50件で、その内訳は医療法人36件、個人開業14件となっています。

平成27年収入上位診療所比較要約変動損益計算書

2.収益性の状況

(1)経営動向と利益状況

平成27年診療所全体の経営実績は増収増益でした。収入上位診療所も同様に、増収増益となりました。
医業収入は1.0%の増加となり、全ての収入科目が増加しています。
変動費は前年比1.3%減、また限界利益は同1.6%の増加となりました。
医業費用は、人件費が2.5%の増加、その他医業費用は0.1%の増加とほぼ横ばいでした。

限界利益・医業利益・経常利益

3.医業収入の状況

(1)医業収入対前年比較

医業収入対前年比較

(2)医業収入分析 (医業収入上位20%)

医業収入分析

4.医業費用の実態

医業費用の実績は、下記のとおりです。
変動費は1.3%の減少となりましたが、人件費は2.5%の増加、その他医業費用は0.1%の増加と前年並みとなっています。

医業費用対前年比較

(2)医業費用分析

医業費用分析

3.平成27年 診療科目別経営実績分析

1.診療科目別経営実績分析の概要

本分析で抽出したデータは、平成27年に決算を終えた無床診療所253件(医療法人158件、個人開業95件)から診療科目別に抽出し、各診療科目別の平均値を算出しています。
なお、抽出した診療科目は、内科、小児科、心療内科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科となっております。
第1章のデータ同様、個人開業に統合したため、人件費から役員報酬と専従者給与は除いています。

各データのサンプル数

診療科目別の個別データは、次に掲載しました。
診療科目別に集計した主要科目別数値は、下記のとおりです。

平成27年診療科目別主要データ

2.診療科目別経営実績分析結果

(1)内科診療所

内科を標榜している診療所の集計データです。内科診療所は、増収増益となりました。
医業収入は、0.7%の増加となりました。
医業利益は、43,815千円(対前年比2.9%増加)となりました。
参考として役員報酬は、27年平均で43,157千円となっています。

平成27年比較要約変動損益計算書

(2)小児科診療所

小児科を標榜している診療所の集計データです。小児科診療所は、増収増益となりました。
保険診療収入は1.8%と増加しましたが、保険外診療収入は減少しました。
医業利益は、41,899千円(対前年比2.0%増加)となっています。
役員報酬は、27年平均で、31,415千円となっています。

平成27年比較要約変動損益計算書

(3)心療内科

心療内科を標榜している診療所の集計データです。心療内科診療所は、増収増益となりました。
1%を切る微増ですが、医業収入(対前年比0.6%増加)、医業利益(対前年比0.8%)ともに増加しています。
保険診療収入は、前年並みでしたが、保険外診療収入等は増加しています。
役員報酬は、27年平均で、55,685千円となっています。

平成27年比較要約変動損益計算書

(4)整形外科診療所

整形外科診療所の集計データです。整形外科診療所は、増収増益となりました。
医業収入は、1.4%の増加となり、変動費は5.4%の減少、変動費外医業費用は0.5%増加し、結果として、医業利益は5.7%、金額にして2,388千円の増加となりました。
役員報酬は、27年平均で39,441千円となっています。

平成27年比較要約変動損益計算書

(5)皮膚科診療所

皮膚科を標榜している診療所の集計データです。皮膚科診療所は、増収増益となりました。
医業収入(対前年比3.8%増加)、医業利益(対前年比4.3%)ともに増加しています。
役員報酬は、27年平均で、49,071千円となっています。

平成27年比較要約変動損益計算書

(6)耳鼻咽喉科診療所

耳鼻咽喉科を標榜している診療所の集計データです。耳鼻咽喉科診療所は、増収増益となりました。
医業収入は、保険診療収入が3.1%、保険外診療収入が6.0%増加しましたが、その他の医業収入は4.5%減少しました。
医業利益は46,469千円(対前年比3.3%増加)、金額にして1,482千円の増加となりました。
役員報酬は、27年平均で32,226千円となっています。

平成27年比較要約変動損益計算書

(7)眼科診療所

眼科を標榜している診療所の集計データです。眼科診療所は、増収増益となりました。
医業収入は対前年比3.5%増、保険診療収入とその他の医業収入は増加しましたが、保険外診療収入は減少しました。
医業利益は、41,672千円(対前年比7.3%増加)、金額にして2,817千円の増加となりました。
役員報酬は、27年平均で31,923千円となっています。

平成27年比較要約変動損益計算書

4.平成27年 医療法人立診療所経営指標分析

1.医療法人経営指標分析の概要

本章では、医療法人立無床診療所の158件をベースに、貸借対照表の数値を抽出し、経営指標を算出しました。
分析は、収益性、生産性、安全性、成長性の4つの視点で行っています。
第1章では、医療法人・個人開業のデータを合算していますが、法人・個人合算データで経営指標を分析すると、役員報酬を除いていることから異常値が発生するため、医療法人158件をベースに分析を行いました。

平成27年比較貸借対照表・医療法人立無床診療所平均

平成27年比較損益計算書・医療法人立無床診療所平均

2.収益性分析 前年対比

収益性分析 前年対比

3.生産性分析 前年対比

生産性分析 前年対比

4.安全性分析 前年対比

安全性分析 前年対比

5.成長性分析 前年対比

成長性分析 前年対比

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