営業成績を後押しする!営業マンに必要な準備力と質問

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  1. 売れる営業マンの自覚と行動特性
  2. プレゼン力より準備力を身につける
  3. コーチング型質問力で受注力を高める
  4. 準備力・質問力を活かした営業手法

 


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1.売れる営業マンの自覚と行動特性

企業の経営環境が厳しい今日にあっては、ICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)を活用した収益増加策に各企業が取り組む時代となりました。
かつては商品説明をいかに上手にできるかというのが、営業マンにとって売れるポイントの1つでしたが、今ではインターネットがそれを代行してくれます。
他にも事例紹介やお客様の声など、かつては営業担当者が持参していたものをネットがやってくれています。
しかし、営業マンの役割が大きく変わったのかといえば、一概にそうとも言えません。
何故ならば、営業の役割は何かといえば、開発された商品を、お客様の願望を埋められる商品・サービスに仕立てあげることにあるからです。
つまり、営業は、その商品が持つ本当の価値、お客様が求める価値を実現させるための活動といえるからです。
お客様との接点である営業マンの役割は、価値を実現させることであり、またそれができるのは営業マンしかいないのです。
今回は、営業成績を後押しするスキルとして売れる営業マンが実践している準備力と質問力について解説しています。

1.売れる営業マンの共通項

以下は、毎期継続して好成績を残している営業マンの特性です。
企業の少数精鋭化には、個人営業から組織営業への転換が喫緊の課題といえます。
組織営業力とは、文字どおり、組織として身につけるべき営業能力のことです。
それは個々の営業担当者が有するスキルの問題ばかりではなく、組織的な標準化された営業スタイルの構築が鍵となります。

2.組織人としての自覚と達成意欲を保持する

前述の通り、営業マンの基本姿勢の1つとして「諦めない覚悟」が必要です。
その覚悟を保持するためにも自身の営業活動を部門の計画や個人の計画と照らし合わせ、常にどのような状況にあるのか、軌道修正や方向転換が必要なのかを見極め、PDCAサイクルを常に回す必要があります。

昨今では、組織営業力を高めるために営業マンによる質の高い経営会議を実践する企業も増えてきました。
また、経営会議を実施しているが、上手く機能せず、効果が出ていない場合は、以下の対策をお勧めします。

3.人の心理を活用し、お客様の心をくすぐる

売れる営業マンの行動特性の1つとして、ほぼ間違いなく人間の心理描写を上手く活用しています。
人の心理に共通する性質を理解すれば、お客様との会話やクロージングはより有利に進みます。
ここでは、トップ営業マンが無意識に活用している「心理効果」をいくつか紹介します。

以上の心理効果を活用することで、単に売り込むことばかりに目を向けていた意識が転換される営業マンも出てくるはずです。
「人の心理」、「場」、「空気」を読むことは営業マンの必須条件ともいえます。

2.プレゼン力より準備力を身につける

1.事前準備の段取りで成否が決まる

営業活動で最も重要なのは、「事前準備」です。
商談に臨む前には、ゴール(商談の目的)を決め、どのような流れで話を進めるかというシナリオを準備しておく必要があります。
シナリオの準備として、「商談先の情報を収集する」、「自社の商品・サービスについて効果を説明できるようにする」、「相手からの質問を想定し、それに対する回答を用意しておく」などを行います。
また、事前準備でもっとも大切なのは、お客様のニーズを想定しておくことです。訪問してから相手の反応を見て対処を決めるのでは遅すぎます。
多くの営業マンは、その前の段階でお客様のニーズを想定する、つまり仮説を立てておかなければ対処できないでしょう。
つまり、事前準備は、ムダなく、効率的に、そしてより高品質な営業をするための第1ステップです。

2.売れる営業マンに必要な情報武装

営業活動を効率化させる準備として情報武装が必要になります。
また、情報武装は顧客になるまでの商談をスムーズにさせるばかりではなく、社内においても業務効率化を図ることが可能になります。
以下は、トップ営業マンが情報武装する際のツールの一例です。

SFAを活用すれば、営業に関する多様な情報を集約して一元管理することが可能になります。
また、ネット回線を利用して欲しい情報をいつでも的確・迅速に取り出すことができ、効率的に情報武装することができます。

3.競合先の動向とマーケットを把握する

ビジネスは、限られたマーケットの中で競合先と顧客を奪い合う争いという一面も兼ね備えています。
ビジネスは競争という意味において、競合先を出し抜かなければ、高い業績を上げることも難しくなります。
そこで、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と昔から語り継がれているように、競争に勝ち残るためには、競合先の動向を徹底的に調査・分析する必要があります。
以下に競合先と企業収益の生命線であるマーケットについて分析する「3C分析」について紹介します。

競合先や顧客及びや業界の動向を把握する方法としては、まず既存のデータや各種メディアの活用が考えられます。
一般の新聞雑誌はもとより、業界紙、専門誌などで、常に市場の状況を観察する努力が必要です。
官公庁、業界団体、金融機関などが発表している統計データやレポートも重要な情報源です。
こうした情報は、最近ではインターネットで比較的容易に入手できるようになっていますから、利用しない手はありません。

3.コーチング型質問力で受注力を高める

1.ニーズを洗い出し相手を深く理解する

コーチングとは、「相手の中にある、答え、可能性を引き出すコミュニケーションスキル」であり、「自発的な行動を促進するためのコミュニケーションスキル」のことです。
営業においてもこのコーチングスキルを活用して相手に考えさせ、相手に気付きを促し、相手自身が持っている「答え」を引き出すことで、受注確度を高め、受注スピードを速めることが可能になります。
つまり、これからの営業に求められることは、相手のことをどれだけ考え、貢献できるかどうかです。そのために求められるのは、「相手を深く知る能力」であり、「相手と繋がる」ことができる人間性です。
そのためには、いかに「質問力」を高めるかがポイントになります。
また、コーチングを意識することで以下のような理解を深めることができます。

これからの時代は、商品力だけでは、限界があります。
だからこそ、営業の現場にコーチングスキルを組み込むことで、自分に、そして相手にストレスを与えない新しい営業スタイルを実現することが求められます。
以下は、コーチングを活用した質問ポイントです。

2.共感と質問でお客様の懐に入り込む

売れる営業マンは、共感と質問を上手く使いこなし、相手の懐に入り込むことで、関係性を強化し、受注力を高めています。
そのためには、ストーリーが必要です。
また、売れる営業マンは、お客様自身とお客様の欲求やニーズ、それらを実現するための課題に対し、常に興味・関心を持っています。
それを自分の事として聞くことができるので、素直に共感することができるのです。
この人にどんなことがあったのだろう?と、純粋な興味が湧いてきて自然と質問が出るのです。
結果として、どんどん具体的に聞き出すことができ、話しが深まり関係が強化されていくのです。

また、営業マンは、「相手を褒める意識」も大切です。1970年代にアメリカ・カルフォニア大学で活躍し、数々の研究論文を世に残したアロンソン博士が説いた心理学に「アロンソンの不貞の法則」というのがあります。
付き合いの年数が浅い人からの褒め言葉の方が、付き合いの年数が長い人からの褒め音葉より効果が大きいとしたものです。
つまり、全く同じ内容でも初対面の人に褒められた方が、10年来の知人に褒められるより心に刺さるということです。
初対面やあまり関係を築いてない状態で、人を褒めるのは抵抗がありますが、早い段階で褒めた方が、効果がより高いですし、褒めることによって距離がグッと縮まる可能性を秘めています。

3.テストクロージングで方向性を見極める

テストクロージングとは、商談の途中で、相手がその気(やりたい、買いたい)になっているかを確認する営業トークです。
通常は、見積書の作成前にテストクロージングを入れてみて、やる気の度合いを探りますが、テストクロージングが上手い営業マンは、挨拶や主旨説明の部分にも軽いジャブのようなテストクロージングを入れていきます。
以下は、テストクロージングの目的です。

最終的に相手に「YES」か「NO」の結論を出していただくのが、クロージングですが、テストクロージングにおける質問例は以下のとおりです。

会話の流れの中で、テストクロージングをしておくことはとても効果的です。
なぜならば、人は自分が言ったことに対して「一貫性」を持とうとするからです。
テストクロージングのプロセスで、相手自らが、「仮に◯◯なら買ってもいい。」と何度か言っていくと、最終的なクロジージングの時、相手自身が、「NO」と言う言葉にとてもストレスを感じてしまうのです。
つまり、テストクロージングをすることで、提案内容の方向性を見極めることが可能になります。

4.準備力・質問力を活かした営業手法

1.「御用聞き営業」 から脱却し「提案型営業」 へスイッチする

提案型営業とは、お客様が抱えている課題や問題点に対しての解決策を提案し、それを実現するような商品やサービスを受注する営業活動です。
典型的な御用聞き営業である、仕事がくるのを待つ受身の受注型に対し、積極的にアプローチしていく営業スタイルとなります。
御用聞き営業にとどまっていると、事業の展開や安定は望めません。
なぜならば、下請・受注型のみの仕事スタイルは、景気や取引先の経営状態に左右されるため、非常に不安定だからです。
ここで求められるのが準備力です。マーケットリサーチや競合先のアプローチツール等を仕入れるのも不可欠です。
また、独自にリーフレット等を作成し、顧客が抱えているであろう課題や問題点を整理してあげ、その解決策を提案することが最も相手の心に響く営業手法ともいえます。
昨今では、「ソリューション営業」ともいわれるようになりました。

売れる営業マンは、お客様を知った上で提案するという事前準備を欠かしません。
具体的には、企業のホームページを見て企業のメッセージや売上状況、事業の展開状況などの基本情報を収集するのはもちろん、過去に自社との取引や接点がなかったのかも調べます。
事前準備を進めていく中で、次第にお客様の課題も見えてくることもあります。
課題が見えれば、提案内容のイメージが湧き、仮説をもって商談に臨むことも可能になります。

2.5W2Hを駆使しニーズにマッチした提案をする

営業というのは、話すことより、聞くことが何よりも重要です。
シンプルに自分が営業される側だと考えたときに、良く喋ってくる営業マンより、良く聞いてくれる営業マンの方が良いはずです。
それだけでなく、聞くこと、つまり「ヒアリング」には以下の2つの目的があります。

ヒアリングとは、いかにして聞き出すか、ということなので、質問をしなくてはなりません。
そこで売れる営業マンは、5W2Hを駆使して上手く提案に結び付けているのです。
たかが5W2H、されど5W2Hです。
営業マン、お客様双方の頭の中が整理され、漏れなく必要な情報を仕入れることが実現します。

3.質問時に説得スキルを応用し受注確度を高める

説得とは、相手の心を動かし、共感してもらい、納得してもらうことです。
営業の場面で、相手を自分の思った通りに動かすことは困難ですが、説得スキルを活用することで人の心を動かす可能性も広がります。
以下は、売れる営業マンが活用している説得スキルです。

まとめ

今回は、準備力と質問力を柱に営業マンのスキルアップを紹介しました。
成約率の高い営業マンのスキルを棚卸しして全営業マンで共有し、ロールプレイを行うなど、「営業の教育やスキルアップ」が企業の収益アップの方法の一つです。
また、営業マンのモチベーションを上げるためには、数値で縛り上げるだけの手法では逆効果になってしまいます。
プロセスごとの行動目標の達成を承認することでモチベーションは上がり、数値結果となって現れてくるものです。
つまり、PDCAサイクルを適切に維持管理することが売れる営業マンへの近道といえます。

 

■参考文献
「セールスパーソンの行動特性88」千田琢哉 著(マネジメント社)
「営業は準備力」野部剛 著(東洋経済新報社)
「質問型営業最強フレーズ50」青木毅 著(ダイヤモンド社)
「ファシリテーションの技術」堀公俊 著(PHPビジネス選書)
「東洋経済オンライン」

 

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