- 2021年 経営実績とその傾向
- 2021年 収入上位診療所の経営実績
- 2021年 診療科目別経営実績
- 2021年 医療法人経営指標分析結果
1.2021年 経営実績とその傾向
1.2021年経営実績の概要
経営実数分析は、2021年の決算書に基づいて実数値から経営状況を把握することを目的としています。
抽出したデータは、2022年3月までに決算を終えた無床診療所326件(医療法人215件、個人開業111件)の主要科目について、平均値を算出しています。
なお、医療法人のデータについては役員報酬を除外、個人データについては専従者給与を同じく除外しています。
2021年度は、新型コロナの影響による受診控えが落ち着き、全体的にはわずかではありますが、増収傾向となりました。
2.全体動向と利益の傾向
(1)全体動向
2021年における医科診療所の経営実績は、2020年と比較して増収増益となりました。
今回の調査では、黒字診療所は全体の72.1%を占めています。
医業収入は2.7%、うち保険診療収入は1.2%の増加で、変動費は5.0%の増加となりました。
限界利益は2.2%の増加で、医業費用はほぼ横ばいとなり、医業利益は4.5%の増加となりました。
(2)利益状況
限界利益は前年対比2.2%の増加、医業利益は4.5%の増加となりました。
3.医業収入の傾向
医業収入の実績は、下記のとおりです。医業収入合計では前年対比102.7%で、増加しました。
うち保険診療収入は同1.2%の増加、保険外診療収入は同10.4%の増加、その他医業収入は同25.7%の増加となりました。
4.医業費用の傾向
(1)医業費用前年対比較
医業費用の実績は、下記のとおりです。
変動費合計は前年対比で5.0%の増加、人件費については同0.3%増加しました。
その他固定費は0.4%の減少となりました。
なお、人件費には、役員報酬及び専従者給与は含まれておりません。
それぞれ個別に集計し、参考データとして掲載しました。
役員報酬の母数は199件、専従者給与の母数は108件です。
(2)医業費用の傾向
2.2021年 収入上位診療所の経営実績
1.収入上位診療所の経営実績の概要
第1章で分析した無床診療所326件(医療法人215件、個人開業111件)の決算書より、医業収入上位20%を抽出し、経営データを集計しました。
分析の分母は59件で、その内訳は医療法人49件、個人開業10件です。
なお本分析では人件費から役員報酬と専従者給与は除いています。
2.収益性の傾向
収入上位診療所の2021年経営実績は、増収ではありましたが、収益はほぼ横ばいでした。
収入上位診療所の黒字診療所の割合は74.6%で、全体での72.1%という数値と比べ、黒字割合が高い結果となりました。
医業収入は全診療所データでは前年対比2.7%の増収でしたが、収入上位診療所では同5.1%の増加となっています。
内訳を見ると、保険診療収入が同3.5%の増加、保険外診療収入は13.8%の増加、その他の医業収入は前年対比で8.5%の増加となっています。
変動費は前年対比8.5%の増加、限界利益は同4.0%の増加となりました。
医業費用は、人件費が2.0%の減少となっており、その他固定費は同6.5%の増加でした。
3.医業収入の傾向
(1)医業収入前年対比較
(2)医業収入分析 (医業収入上位20%)
4.医業費用の傾向
(1)医業費用前年対比較
医業費用の実績は下記のとおりです。
変動費合計は前年対比8.5%の増加となり、人件費は同2.0%減少し、その他固定費は同6.5%の増加となっています。
なお、人件費の取り扱いは前述の通りで、役員報酬の母数は49件、専従者給与の母数は34件となります。
(2)医業費用の傾向
3.2021年 診療科目別経営実績
1.診療科目別経営実績の概要
本分析で抽出したデータは、無床診療所326件(医療法人215件、個人開業111件)の決算データから診療科目別に抽出し、各診療科目別の平均値を算出しています。
なお、抽出した診療科目は、内科、小児科、心療内科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科、産婦人科で、第1章のデータ同様、人件費から役員報酬と専従者給与は除いています。
また、参考として、各診療科目上位20%のデータを記載しています。
個別データは、次ページ以降に紹介しています。
診療科目別に集計した主要科目別数値は下記のとおりです。
2.診療科目別経営実績結果
(1)内科診療所
内科等を標榜している診療所の集計データの内訳は、一般内科123件、循環器内科2件、消化器内科2件、その他2件の計129件です。
内科診療所は増収増益を示し、医業収入は前年より増加しています。
変動費は前年対比7.3%の増加、医業費用は同2.1%の増加となりました。
結果として医業利益は46,634千円で同5.2%の増加となりました。
なお、母数85件による役員報酬は、2021年平均で33,514千円となっています。
(2)小児科診療所
小児科診療所は増収増益を示し、医業収入は106,604千円で、前年対比5.5%の増加となっています。
変動費は同6.1%の増加、医業費用は同7.6%の減少となりました。
結果として医業利益は39,345千円となり、同19.8%の増加となりました。
なお、母数22件による役員報酬は、2021年平均で29,510千円となっています。
(3)心療内科診療所
心療内科診療所は減収増益を示し、医業収入は65,474千円で、前年対比3.8%の減少となっています。
変動費は同2.9%の減少、医業費用は同13.0%の減少となりました。
結果として医業利益は33,962千円で同2.6%の増加となりました。
なお、母数3件による役員報酬は、2021年平均で13,000千円となっています。
(4)整形外科診療所
整形外科診療所は増収増益を示し、医業収入は126,503千円で、前年対比1.0%の増加となっています。
変動費は同1.8%の増加、医業費用は同1.6%の減少となりました。
結果として医業利益は44,725千円で同4.9%の増加となりました。
なお、母数19件による役員報酬は、2021年平均で34,564千円となっています。
(5)皮膚科診療所
皮膚科診療所は増収増益を示し、医業収入は110,665千円で、前年対比2.2%の増加となっています。
変動費は同6.4%の増加、医業費用は同2.0%の減少となりました。
結果として医業利益は41,969千円で同4.8%の増加となりました。
なお、母数20件による役員報酬は、2021年平均で30,396千円となっています。
(6)耳鼻咽喉科診療所
耳鼻咽喉科診療所は増収減益を示し、医業収入は78,137千円で、前年対比1.0%の増加となっています。
変動費は同5.0%の増加、医業費用は同4.2%の増加となりました。
結果として医業利益は36,794千円で同2.4%の減少となりました。
なお、母数16件による役員報酬は、2021年平均で25,717千円となっています。
(7)眼科診療所
眼科診療所は増収増益を示し、医業収入は151,795千円で、前年対比0.2%の増加となっています。
変動費は同0.9%の増加、医業費用は同1.7%の減少となりました。
結果として医業利益は53,626千円で同2.1%の増加となりました。
なお、母数15件による役員報酬は、2021年平均で45,708千円となっています。
(8)産婦人科診療所
産婦人科診療所は増収増益を示し、医業収入は269,531千円で、前年対比6.4%の増加となっています。
変動費は同8.1%の増加、医業費用は同2.5%の減少となりました。
結果として医業利益は68,856千円で同24.4%の増加となりました。
なお、母数3件による役員報酬は、2021年平均で33,282千円となっています。
4.2021年 医療法人経営指標分析結果
1.2021年医療法人経営指標分析結果
本章では、医療法人立無床診療所の198件を対象として、貸借対照表の数値を抽出し、経営指標を算出しました。
分析は、収益性、生産性、安全性、成長性の4つの視点で行っています。
経営分析に必要となる主要損益数値は次のとおりです。
なお職員数については平均値を算出し、8名で計算しています。
2.収益性分析 前年対比
3.生産性分析 前年対比
4.安全性分析 前年対比
5.成長性分析 前年対比
※本文中、各表の金額は表示単位未満を四捨五入しており、端数処理の関係上合計が一致しない場合があります。