診療の継続確保と医療従事者の懸命な努力に応える 医療機関・医療従事者支援策の概要

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診療の継続確保と医療従事者の 懸命な努力に応える 医療機関・医療従事者支援策の概要

  1. 医療機関・医療従事者支援策の全体像
  2. 医療機関への資金繰り支援策
  3. 新型コロナウイルス感染拡大防止支援策
  4. 医療従事者に対する慰労金の支給


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1.医療機関・医療従事者支援策の全体像

1.第二次補正予算で追加・増額された支援の概要

日本における新型コロナウイルス感染症は4月に新規患者数が一気に増加し、5月には減少しましたが、7月に入ってから再び新規患者数が増加している状況です。
こうした新型コロナウイルス感染症の増加を見据え、政府は医療提供体制整備等の緊急対策として、既に第一次補正予算で「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」1,490億円の国費を投入する予算を編成していましたが、新型コロナウイルス感染症の事態長期化・次なる流行の波に対応するため、第二次補正予算において事業内容及び予算の見直しを行い、本年6月12日に予算が成立しました。
この補正予算の見直しで多くの医療機関が支援策を利用できるようになりました。

第一次補正予算による支援交付金の創設、第二次補正予算の内容

2.医療機関・医療従事者に対する支援策

7月17日現在、厚生労働省から公表されている医療機関・医療従事者支援策は大きく分けて7つあります。

医療機関・医療従事者に対する支援策

上記のうち、多くの医療機関が対象となる、コロナ下での診療の継続を確保するための支援と医療従事者への支援について次章以降で解説していきます。

2.医 療機関への資金繰り支援策

1.福祉医療機構の優遇融資

福祉医療機構では、新型コロナウイルス感染症により事業停止等になった福祉関係施設・医療関係施設等に対し、優遇融資を実施しています。
今般、令和2年度第二次補正予算により、すべての施設・事業の貸付限度額を「従来の額」と「月次減収額の12倍のいずれか高い方」まで拡充されています。
さらに、新型コロナウイルス対応を行う医療機関又は都道府県医療計画に基づく政策医療を担う医療機関及び在宅医療を担う医療機関については、無担保貸付額・無利子貸付額を拡充しており、重点的な経営支援を行っています。

新規貸付の概要

保証人についての概要、融資の流れ(無担保貸付の場合)

福祉医療機構の融資は、法人単位ではなく、施設単位での申し込みとなります。
例えば、医療法人が診療所を2つ運営している場合、2施設×限度額4,000万円で合計8,000万円までの申込が可能です。
ただし、法人全体で返済可能な範囲の借入額であることが必要です。
また、個人の診療所についても融資の対象となります。
融資を受けられる回数については、融資限度額の範囲内であれば複数回、融資を受けることができます。

2.融資の申請に必要な提出書類

融資の申請には申込書以外にも添付書類が必要となりますので、融資を検討している場合は余裕をもって早めに着手することをお勧めします。

融資の申請に必要な書類

長期にわたる受診抑制により患者数が減少し、収入が落ち込み資金繰りに支障がある医療機関は多く、福祉医療機構から融資を受けることは一つの手段であると考えられます。

3.新 型コロナウイルス感染拡大防止支援策

1.救急・周産期・小児医療機関の院内感染防止対策

この事業は、発熱や咳等の症状を有している新型コロナウイルス感染症が疑われる患者が、感染症指定医療機関以外の医療機関を受診した場合においても診療できるよう、救急・周産期・小児医療の体制確保を行うことを目的としています。

救急・周産期・小児医療機関の院内感染防止対策の概要

上記の申請受付及び給付開始日については都道府県によって異なるとされており、窓口も各都道府県となります。

2.医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援

(1)医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援の概要

この事業の目的は、新型コロナウイルス感染症の院内等での感染拡大を防ぐための取組を行う病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション・助産所に対して、感染拡大防止対策や診療体制確保などに要する費用を補助することです。

医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援の概要

(2)補助を受けるための流れ

補助金の申請・交付窓口は国民健康保険団体連合(以下、国保連)となりますが、一部の都道府県では国保連以外となる場合がありますので、詳しくは各都道府県のホームページ等で確認が必要です。

申請から補助金交付の流れ

4.医療従事者に対する慰労金の支給

1.新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付の概要

この事業の目的は、医療機関等で働く医療従事者や職員は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止・収束に向けてウイルスに立ち向かい、相当程度心身に負担がかかる中、強い使命感を持って、業務に従事していることに対して慰労金を給付することです。
慰労金は新型コロナウイルスに実際に対応した職員でなくても給付されることから幅広く給付を受けることができます。
医療機関の役割の設定は、都道府県の他、保健所設置市や特別区が行っている場合があり、給付対象・給付金額を医療機関等の判断で変えることはできません。

給付対象・給付金額

2.慰労金を受給するための流れ

以下は標準的な流れになり、都道府県により事務の詳細は異なる可能性があります。
詳しくは各都道府県のホームページ等で確認して下さい。

慰労金受給の流れ

厚生労働省から慰労金申請マニュアルが公表されていますので事前確認をお勧めします。

3.新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金に関するQ&A

厚生労働省では、医療機関等に向けて新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金に関するQ&Aを公表しています。
慰労金は医療機関の収入になりませんが、職員の収入に関わることですので早めに内容を確認し、申請することが求められます。

新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金に関するQ&A

 

■参考資料
令和2年度厚生労働省補正予算案
厚生労働省:新型コロナ疑い患者受入れのための救急・周産期・小児医療機関の院内感染防止対策
「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」のご案内
「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」のご案内
独立行政法人福祉医療機構:医療貸付事業

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