歯科診療所の広報活動 SNS戦略とその留意点

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歯科診療所の広報活動 SNS戦略とその留意点

  1. SNSを利用した新たな広告戦略
  2. 歯科診療所におけるSNS活用の広告戦略
  3. 歯科診療所の広告規制と対応策
  4. 広告規制に関するQ&A

 


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1.SNSを利用した新たな広告戦略

近年ではスマートフォンの普及による多様なSNSの広がりから、情報の管理や広告等の形態が変わってきました。
SNSは「ソーシャルネットワークサービス」の略で、コミュニケーションツールにメディア要素が加味されたものです。
歯科診療所としてもSNSを活用した広告戦略を構築していかなければいけない状況になってきています。
SNSを効果的に活用するためには、様々なSNSの特性を理解する必要があります。
この記事では、様々なSNSを活用した歯科診療所の広告戦略とその留意点を解説します。

1.インターネットの利用状況

インターネットの利用は年々増加しており、利用する媒体も多種多様になってきています。
年代別にみても、高齢者層でもスマートフォン等の普及により、インターネットの利用が増加する傾向にあります。

インターネットの利用状況、インターネットの利用媒体比率、年代別インターネットの利用状況

2.ソーシャルメディアとSNSとは

ソーシャルメディアは、インターネットを前提としており、発信された画像や映像、音声、文字や文章等の情報で表現されるコンテンツを、該当するコミュニティサービスに所属・加入している個人や集団、企業等に伝えることにより、双方向のコミュニケーションを構築することです。
一方、SNSは、ソーシャルメディアの構成要素の1つであり、情報伝達が目的ではなく、友人や知人、その他集団との間においてコミュニケーション(双方向)を取ることが目的の媒体です。

SNSの種類(ウイキペディアより)

3.SNSを利用した広告事例

S歯科医院では、Facebook、Twitter、LINE、Instagram等を利用し、文章による医院紹介や画像提供、患者やその家族、SNS閲覧者からの感想等を掲載し、リンクを張ってホームページへつなげています。SNSの種類によっては診療所予約サイトへリンクさせています。
ホームページとリンクさせることで、検索する単語や文章、表現等の数を増やし、アクセス数をアップさせています。

S歯科医院のSNS利用

2.歯科診療所におけるSNS活用の広告戦略

スマートフォンの普及により、これを利用して情報を集めるという方が増加しています。
高齢者もパソコンは持っていないが、スマートフォンは活用しているという方が多くなってきました。
ホームページを持っている歯科診療所もスマートフォン対応が求められ、スマートフォンによるSNS活用の広報活動が今後の主流になるように思われます。

1.SNSを利用した広告

(1)インターネット・SNS広告の種類

インターネットやスマートフォンの普及から、ホームページやSNSを活用した広告が増加しています。
LINE、Twitter、Facebook、Instagramを活用したり、また、ホームページとのリンクで、より効果的な広報ツールとなっています。

インターネット・SNS広告の種類

(2)インターネット広告の目的とアピール方法

インターネット広告の目的は、素早く、確実にサイトへのアクセスをすることにあります。
インターネット上で歯科診療所の存在を周知してもらい、治療への関心を持ってもらって来院を促すことにつなげるには、自院のウエブサイトに潜在的患者を引き付けることが必要です。

3つのウエブサイトへのアクセス獲得アピール方法

(3)インターネットの利用時間の変化と効果

TVやラジオ、新聞等の媒体に代わり、インターネット利用による情報収集が増加している現状があります。
インターネット利用者は、いつ、どこでも、という時間に縛られないで情報収集が可能であるという利便性からも需要が広がっています。
広告媒体側の都合で告知されるのと違い、利用者の都合にあわせて情報収集と確認ができるという環境が、より効果を上げています。

利用者の都合による利用時間

2.SNSと医療法における広告とは

医療法において、ホームページは原則広告とはみなしていません。
同じくSNSについても明確に「広告」と表示されたもの以外は、まだ広告という扱いではありません。
ただし、検索や登録の仕方、「インターネット広告」と名付けられたものは、広告扱いになる場合もあります。
その際は、厚生労働省の医療広告ガイドラインに沿って表示さなければなりません。

厚生労働省「医療法における広告のガイドライン」から

3.歯科診療所のインターネット広告での情報発信

歯科診療所のインターネット活用による広告活動としては、まずはホームページによる基本情報の公開です。
そのホームページもスマートフォン対応にし、端末画面で見やすいようにしなければなりません。
地図や院内情報もホームページと同様ではなく、簡略なものにし、受け手が判りやすい表示の仕方にします。
また、SNSでは出来るだけ投稿掲載を行い、アクセス回数の確保を図り、ホームページへのリンクを貼って、情報提供のツールを増やすことです。

インターネット・SNS広告からの情報発信、インターネット広告作成時のポイント(特にホームページ)

3.歯科診療所の広告規制と対応策

 

歯科診療所の広告には、医療法による規制があります。
その内容を充分理解し、対応策をとって、より有効な広報活動を実行する必要があります。
また、ホームページ等の広告とは分類されていない媒体もありますが、その表示やリンクによっては広告とみなされる場合もあります。
十分な注意が必要です。

1.広告可能な事項

医療法では、広告に対し記載できる事項を決めています。

広告に記載できること

2.広告とみなされないもの

医療の広告とみなされないものも様々あります。
下記のようにホームページのほか、院内情報誌やパンフレット、新聞や雑誌による記事等は広告ではないとされています。
上手に利用し、認知活動につなげることも必要です。

医療に関する広告とは見なされないもの

3.インターネットにおける審美歯科の表記の留意点

医療広告ガイドラインでは、「審美歯科」を不適切な診療科目として扱っています。
ホームページ調査から、その中で数件が広告と見なされ、違反と疑われたケースがあります。

違反と疑われた表現・表記(厚生労働省ホームページ:2013年医療広告ガイドラインより)

4.SNSとホームページのリンクによる対応策

SNSとホームページをリンクさせて、広告と扱われない情報提供の場として活用することが、法令上問題なく、最も有効な対応策です。
また、SNSを活用し、アクセス数を高めることはホームページのSEO対策にもなります。

SNSとホームページの活性化のポイント

院内でも、SNSを発信している旨をアナウンスします。
院内情報誌にもSNSで掲載した内容を定期的に転載し、SNSの存在をアピールすることが重要です。
患者の家庭や勤務先、友人知人等との接触時に話題に上るよう、常に情報提供を続けることが最大の広告戦略になります。

4.広告規制に関するQ&A

厚生労働省では、医療広告のガイドラインに関するQ&Aを作成し、様々な質問に対して回答しています。
広告の対象範囲、広告可能な事項、禁止される広告、その他に分類し、規制内容とその考え方について解説しています。
本章ではこのQ&Aから抜粋して掲載します。

1.広告規制に関するQ&A

(1)広告の対象範囲

質問 (1):新聞や雑誌の記事の引用は、一切できないのでしょうか。

当該記事等に記載された内容が、医療法やガイドラインを遵守した広告として認 められるものであれば、医療機関の広告に新聞や雑誌の記事等を引用又は掲載す ることは可能です。

質問 (2):キャッチコピーや院長の挨拶文等を広告物に掲載することは可能でしょうか。

医療法やガイドラインで認められた広告が可能な事項(「開院○周年」等)や医療とは直接関係がない表現(「はじめまして」等)を使用したキャッチコピーやあいさつ文であれば、広告物に掲載することは差し支えありません。

質問 (3):インターネット上のバナー広告は、ガイドラインで広告の規制対象とされていますが、バナー広告は禁止されているのでしょうか。

医療法やガイドラインで認められた広告が可能な事項であれば、バナー広告は可能です。

(2)広告可能な事項

質問 (1):いわゆる内覧会の実施に関する事項は、広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第8号関係)

開院前の医療機関の住民向けの説明会(いわゆる内覧会)の実施に関する事項については、「病院又は診療所の管理又は運営に関する事項」として、広告可能です。

質問 (2):歯科用インプラントによる治療については、広告可能でしょうか。(法第6条の5第1項第11号、広告告示第2条第5号関係)

「自由診療のうち薬事法の承認又は認証を得た医療機器を用いる検査、手術、そ の他の治療の方法」として、我が国の薬事法上の医療機器として承認されたイン プラントを使用する治療の場合には、公的医療保険が適用されない旨と治療に掛 かる標準的な費用が併記されていれば広告可能です。

質問 (3):「できる限り歯を削らず痛くない治療を目指します。」といった治療の方針を広告することは可能でしょうか。

「できる限り歯を削らず痛くない治療を目指します。」といった治療の方針を広告することは可能です。

(3)禁止される広告

質問 (3):「最新の治療法」や「最新の医療機器」といったような「最新」という表現は、広告が禁止されるのでしょうか。

「最新の治療法」や「最新の医療機器」であることが、医学的、社会的な常識の範囲で、事実と認められるものであれば、必ずしも禁止される表現ではありません。

質問 (2):「無料相談」の広告は可能でしょうか。

無料で健康相談を実施している旨についての広告は可能ですが、広告するに際し、費用を強調した広告は品位を損ねるもので、適切ではありません。

質問 (3):「当診療所では、どなたでも〇〇が受けられます」などと、必ず特定の治療を受けられるような表現の広告は可能でしょうか。

本来、診察の結果、治療内容が決定されるものであり、あらかじめすべての患者が特定の治療を受けられるような誤解を与える表現は適当ではなく、そのような表現は広告できません。

■参考文献
歯科医院 開業支援パートナーズホームページ
厚生労働省ホームページ 2013年医療広告ガイドラインより
厚生労働省ホームページ 医療広告ガイドラインに関するQ&A
総務省ホームページ H27年 情報通信白書 インターネットの普及状況
インターネット広告 用語辞典 OKURAホームページ
WEBマスターの手帳 ソーシャルメディア=SNSではない
ウイキペディア
有限会社メディウィル 代表社長 城間 波留人
~セミナー「増患のためのホームページ徹底活用術」より抜粋

 

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