短い時間で確実に成果を出す!確実に成果が出る会議の準備法

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短い時間で確実に成果を出す! 確実に成果が出る会議の準備法

  1. 「成果が出る会議」とは
  2. 会議の成功は「準備」で決まる
  3. 議論が深まる会議の進め方
  4. 準備によって成果が出ている会議の事例

 


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1.「成果が出る会議」とは

「会議」と聞くとネガティブなイメージをお持ちの方も多いと思いますが、会議がなくなることはありませんし、本来会議は必要であるから行っているはずです。
会議は、開催目的やゴールを明確にするなど、準備をしっかりして臨めば、主催者はもとより、参加者にとっても有意義なものになります。
そこで本レポートでは、短時間でも会議が持つ本来の目的を果たし、成果につなげていけるかを会議の準備の方法に焦点を当てて解説していきます。

1.データからみる「会議」のイメージ

株式会社NTTデータ経営研究所が、2012年7月に約1,000人のビジネス・パーソンを対象に行ったインターネット・アンケートによると、「現在の会議について感じている問題・課題」について、45.0%が「無駄な会議が多い」、次いで44.1%が「会議の時間が長い」と回答し、「会議の頻度が多い」が36.7%で続きます。
以上3つの回答が4位以下を大きく引き離しており、「もっと頻度や時間を減らせるのではないか?」と考えているビジネス・パーソンが多いことが分かります。

会議について感じている問題・課題、会議が全体の業務に占める割合

また、会社で行われている会議が全体の業務に占める割合は、全体平均で15.4%となっており、企業規模が大きくなるほど会議の割合が高くなっていることがわかります。
業種別で見てみると、「通信・メディア業」が19.5%と最も高く、続いて「製造業」「コンピューター・情報サービス業」となっています。
このデータからも分かるように、多くの時間が費やされている会議を、成果に結びつけることのできる生産性の高い会議にする必要があるといえます。

2.常態化している「悪い会議」

多くのビジネス・パーソンが「会議」について問題だと認識し、ネガティブなイメージを持っているにも関わらず、なかなかよくならないのは何故でしょうか?ビジネスにおいては「PDCAサイクル」に代表されるように、何事も正確な現状認識と計画の立案、そして実行と再検証が必要です。
本レポートの主旨である短時間で成果を出すための会議の準備法に触れる前に、まずは「悪い会議」の例を紹介します。
自社の会議がこれらの例に該当する場合には、会議を行うまでの準備不足や進め方に問題を抱えており、改善の必要があるといえます。

悪い会議の例

3.「成果が出る会議」とは「議論し決定できる会議」である

では、「良い会議」とはどのようなものなのでしょうか?
「良い会議」の傾向をまとめると以下4点に集約されます。

良い会議の傾向

このような会議であれば、忙しい中にあっても会議に参加する姿勢が前向きになり、他者の意見に集中して耳を傾けたり、自分の意見を述べるなど、議論に積極的に参加するのではないでしょうか?
目的によって会議の仕方に若干の違いはあれど、「会議」が「膝を突き合わせ、意見を主張し合い、物事を決定する場」であり、組織として方針の決定や問題解決を行う大切な場であることに変わりはありません。
一人では出来ないことも、「会議」においてアイデアを出し合い、工夫と改善を行っていくことで組織としてより良いサービス・商品を生み出していくことが出来るのです。

2.会議の成功は「準備」で決まる

1.チェックリストの活用

会議のみならず、仕事における準備の重要性はいまさら言うまでもありません。準備の善し悪しで会議の成否が決まるのです。
会議は、規模や内容は変われど年間何度も行われます。そして、会議を準備する人がいつも同じとは限りません。
また、一度完璧な準備をしたとしても、月日が経つと忘れてしまうため、継続して十分な準備を行うために、「会議準備チェックリスト」の活用をおすすめします。
チェックリストを活用すると、準備不足を防ぐことができ、万全な体制での会議運営が可能となります。

会議準備チェックリスト

2.「5W2H」で準備する

会議を効果的かつスムーズに運営するためには、「5W1H+1H=5W2H」で考えるのが有効です。
「いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、何故(Why)、どのように(How)」という「5W1H」は、広く知られていますが、それに「コスト(How much)」の概念を足したものが「5W2H」です。
「5W2H」を、会議の準備をするための時系列に並べたものが下図になります。
この「チェックリスト」と併用すれば、会議の目的から内容、準備まで網羅することができ、一貫性があり、かつミスのない会議を開くことができます。

5W2H

3.議題の選定と事前検討

議題の選定は、会議の準備の中で最も重要なものになります。
まず、検討議題を各関係部署から集めます。
検討する議題が多い場合は、その日に議論すべきものなのか、本当に会議で議論すべきものなのかも含め、優先順位を決めます。
次に、その優先順位に合わせて与えられた会議の時間を割り振りします。
物理的にその日の会議に入らない議題は、次回以降の会議で取り上げるか否かを検討します。
話し合うテーマが大きかったり広かったりすれば、会議が1回で終わらないこともあります。
その場合は、今後の日程と回数、1回あたりの時間配分も考えなければなりません。
検討議題と時間配分が決まったら、「たたき台」を作成します。
「たたき台」を作成することで、当日の議論すべき内容を確認できる他、時間配分や事前検討の必要性、議題の不備等も見つかり、当日の会議をスムーズに運ぶことにつながります。
事前検討が必要な場合、事前配布資料の有無を確認します。
その場合、一般的には事前に資料を配布し、会議当日までに何らかのアイデアや意見、質問を用意してきてもらうことになりますので、資料をいつまでに、誰が、どのような形で作成し、どのように配布するかを確認する必要があります。

議題の選定と事前検討

4.参加者の選定

参加者の選定も非常に重要な要素です。
参加者は、(1) 適正な人数、(2) 会議の目的にあった権限を持っている、(3) 会議の目的に合った知識・能力を有している、ことが要件となります。
まず、(1) 適正な人数ですが、参加人数が多すぎると発言の機会が限られてくるので、緊張感がなくなった会議になってしまう恐れがあります。
逆に、発言が多すぎて、目的にそぐわない意見が多発し、まとまりがなくなってしまう、ということも考えられます。
次に、(2) 会議の目的に合った権限を持っていることが必要です。目的に合った権限を持っている、ということは、「議論した内容に関して決定権を有し、それを実行することができる」ということを指しています。
ゆえに、会議は真剣なものになるばかりでなく、会議で決定されたことを素早く実行に移すことができます。
最後に、(3) 会議の目的に合った知識・能力を有していることが必要です。
会議の議題を理解する基本的な知識・経験はもちろん、自らの考えを表現し、相手に理解してもらうための言語能力や表現力、コミュニケーション能力は欠かせません。
当たり前の様な話ですが、基礎知識を有しない人が参加すると、議論に入る前に前提条件を合わせるための説明が必要になり、その分だけ時間がかかってしまいます。
また、知識・経験が浅ければ議論は深まらず、せっかくの会議が意味のないものになってしまう可能性もあります。

3.議論が深まる会議の進め方

1.会議のルールを決める

2章では会議の準備について解説してきましたが、準備がしっかりできたところで、今度は会議運営上の「社内ルール」を作成します。
ルールは、最も重要で遵守して欲しい項目を一言かつ少数で作成します。そうすることで、会議が始まる前に司会者および主催者が短時間で参加者に周知することが可能になり、円滑な会議運営に寄与します。
下図は、その一例ですが、会議のルールを作成する場合には、5~7項目、多くても10項目を限度に作成するとよいでしょう。

会議心得

2.会議はいつがよいのか

結論から言うと、定例会議か非定例会議か、「情報共有」会議か「意思決定」会議かによって結果は異なりますが、(1) 食事をまたがない、(2) 長時間会議が出来る時間を避ける、という原則があります。
例えば、「情報共有」会議ならば、朝礼後にさっと10分くらいで終わらせてしまえば、後の時間が有効に使えます。
また、「意思決定」会議など新しい事を考えたり、頭を使う会議については、朝10時からお昼までの2時間で集中して行えば、午前中は頭が冴えていますし、「お昼まで」と決めることで時間が延長される心配がありません。
業界特性等はあると思いますが、会議を行う時間も成果を上げるには重要なファクターですので、自社における会議の開催時間については、検討の余地があると思います。

3.司会者には、発言への的確な対応が求められる

発言には、(1) 主張、(2) 同意、(3) 確認、(4) 質問、(5) 応答、(6) 反論、(7) 情報提供、(8) 提案の8種類があると言われています。

8種類の発言

会議においては、この発言の種類を理解した上で、適切に対応していくことで、スムーズな議事進行を行うことができます。
例えば、「○○とはどういうことですか?」という(4) 質問に対しては、「△△ということです。」という(5) 応答によって回答すべきですが、「その質問はおかしいと思います」という(6) 反論でかえしてしまったら、会議の場は騒然となってしまうのです。
特に司会者は、この発言の趣旨を踏まえた上で議事進行を行っていくことが求められており、参加者も発言に対して的確な対応を行っていくことが、時間を短縮し、議論を深めていくポイントになります。

4.会議の活性化につながるポイント

いくら準備をしっかり行い、参加者を定刻に集めた状況で会議を始めても、「意見が出ない」「居眠りしている」などでは、会議を行う意味がありません。
「会議の活性化」とは、「積極的な発言があり、様々な意見が出され、相反する意見があっても、意見を交換していく中で複数の意見が一方向に収れんし、結論が導き出される」状態を言います。
このような状況を作り出すためには、参加者に「自分たちが主役である」「自分たちが選択し実行出来るのだ」という認識を持ってもらうことが重要です。
そのために、司会者(主催者)は、(1) 全員に質問し、回答してもらいます。
ここで重要なことは、「はい、いいえ」で終わらせることなく、その結論に至った理由などを自分の言葉で話してもらうことです。
その際、司会者(主催者)は、(2) 傾聴することが大切です。発表しても誰も聞いていなかったり、その発表に対して真っ向から反論したりすれば、その発表者は、二度と発言しなくなります。
ですから、発表にはしっかりと耳を傾け、うなずくなどの反応を示すことが重要です。
また、発言しやすい雰囲気作りも大切です。中には口下手な方もいらっしゃるでしょうから、「どんな意見でも構わない」など一声掛けるなどの配慮も司会者(主催者)には求められます。

5.会議は協働作業である

会議出席者は、大きく分けると司会者を含む主催者側と、招集された参加者側に分けることができます。
多くの場合、主催者側が上司、参加者側が部下となります。
会議には、会社ごとに一定のルールが存在すると思いますが、それを明文化している会社は少なく、主催者のしかもその時の担当者によってルールが決められ、そのルールによって会議の成否が左右される場合がほとんどです。
また、どんなに主催者側が会議に意気込んで臨んでも、参加者側がそうでなければ実りのない会議になってしまいます。
これらを考えると、会議はいかに主催者側と参加者側が「会議の成功」という共通の目標に対して協力して行うかが重要であることがわかります。
定例会議ともなれば、「毎月1日の午前10時に本店会議室で開催」といった具合に、主催者側としては「いつもの」という具合に開催しているかもしれません。
しかしながら、参加者側としては経営層に会える数少ないチャンスと思い、「この時ばかりは」と意気込んで参加していたとしたら・・・次第に活気のない会議になっていくことは容易に想像がつくでしょう。
主催者側には、良い会議を運営するために、十分な準備が必要です。
また、参加者側には、会議資料には事前に目を通しておき、あらかじめ質問や意見、アイデアを準備しておき、会議の場で発言することが求められます。
そして、主催者と参加者が徹底的な討論を重ね、最終的にWIN-WINの合意が得られるような「協働作業」なしには、会議は成功しないのです。

4.準備によって成果が出ている会議の事例

《事例1》社員アンケートから職場環境改善について話し合う

社員アンケートから職場環境改善について話し合う

<ステップ1>
符箋を数色用意し、業務に関する要望は「ピンク」、福利厚生に関する要望は「グリーン」などと色分けし、1枚に1つ要望を書いていく。

<ステップ2>
色別に並べて傾向を知る。

<ステップ3>
ホワイトボードに「マトリクス」を書き、当てはまるであろう場所に符箋を貼っていく。

マトリクス

<ステップ4>
左上が最も費用対効果が高いので、優先的に改善していくべきものとなる。
逆に、右下のものは優先順位が下がり、実現可能性が低いものになる。

<ステップ5>
最後に左上のものから優先順位の番号を付して完成。

この作業により、たくさんの意見や要望から、実現可能かつ費用対効果の高い意見・要望を短時間に抽出し、次のステップに移していくことが可能になります。

《事例2》会議はルール作りと環境整備で決まる!

会議はルール作りと環境整備で決まる

ずっと集中して立っていられるのはせいぜい1時間が限度です。
1回1時間と使用制限をつけてはいるものの、大抵1時間以内に終わるのだそうです。
どうしても1時間以内に終わらない会議の場合は、もう1時間追加で申込みをするか、別の日に改める、もしくは社外の会議室を利用するようにしていますが、大半の会議は時間内に終わるそうです。
また、立っていることで居眠りする人はいなくなり、会議にも集中できるほか、フットワークが軽くなり、どっしりと腰を下ろしているよりも議論が弾むと言います。
そして、たばこ、食べ物、飲み物を排除する事で長時間会議をするための「栄養源」を絶ち、短時間で集中して会議をするという効率化に役立っているそうです。
一見落ち着いて会議ができるのか・・・と疑問に思ってしまいますが、通常一度押さえられたらその日は使えない「会議スペース」も、1時間経てば空くので、必要と感じたらすぐに会議が出来ます。
また、「会議は1時間で終わる」ということが社内で浸透していることから、本人のみならず周りの人も予定が組みやすいなど、思いがけないメリットばかりを生んでいます。
○○商事が短時間で集中し、かつ効率的な議論ができるようになった会議のルール、および環境づくりのポイントをまとめると、以下の通りです。

短時間でも成果を上げた会議のルール、環境整備のポイント

《事例3》ランチ・ミーティングで効率的かつ明るい会議を

ランチ・ミーティングで効率的かつ明るい会議を

「ランチ・ミーティング」は、主に昼食を取りながら会議を行う、というもので、夜に「高級料亭で商談」「高級レストランで会議」が当たり前の時代もあったようですが、最近は「ランチ・ミーティング」が低コスト・効率的ということで支持されているようです。
そもそも「ミーティング」や「集会」、「コンベンション」にとどまらず、「宴会」や「パーティー」をも広義の「会議」とする概念もあるほど、「会議」と「ランチ」は近接したものですが、密室に閉じこもり、眉間にしわを寄せて行う会議よりも、食事をとりながらフランクな雰囲気で行うほうが、良いアイデアが浮かんでくる、というのは理にかなっているといえます。
「ランチ・ミーティング」には、多くのメリットがありますが、いくつか注意するべき点もあります。

ランチ・ミーティング

「ランチ・ミーティング」を活用すれば、夕食よりも短時間、かつ低コストで会議の目的を達成でき、さらにはコミュニケーションの促進も期待できます。
議題が行き詰ったときなどにも効果的といえます。
以上、成果が出る会議をテーマとして解説してきましたが、会議の成功の7割は「準備」で決まると言われます。
今後、自社で行われる会議が、十分な準備のもとで短時間かつ効果的な会議が開かれ、自社の業績向上につながれば幸いです。

■参考文献
会議は長いのに、なぜ何も決まらないのか?(別所栄吾著、日本経済新聞出版社)
会議の開き方、すすめ方、まとめ方(安達勉・澤田直孝・福山穣著、実務教育出版)
図解思考の会議(永田豊志著、KADOKAWA)
株式会社NTTデータ経営研究所 HP

 

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