時代に即した求人方法 WebやSNS求人の活用法

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時代に即した求人方法 webやSNS求人の活用法

  1. Web媒体による求人広告の概要
  2. 求人広告の手続きと掲載ポイント
  3. Web媒体以外による求人広告の活用
  4. 求人募集内容等の法令上での留意点

 


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1.Web媒体による求人広告の概要

歯科医院にとって人材確保は、非常に重要な経営テーマです。
ハローワークに求人を出しても、歯科衛生士だけでなく、受付歯科医療事務、歯科助手の応募数自体も少なくなっており、採用に苦戦しています。
もちろん、ハローワークも地域によっては有効ですが、近年、求人情報の中心はWebサイトやSNSの活用にシフトしてきています。
より良い人材確保には、求人を行うための戦略と方法の選択がポイントとなるため、サイトとそれ以外のサービスをうまく活用して、自院に合った効果的な展開を選択することが重要になってきています。

1.Web求人の種類

Web求人広告は、どのサービスを利用してもほぼ変わらない、ということはありません。
各社ごとに取り扱う求人情報の業種や職種、地域、経験者かどうか、雇用形態が異なります。
Web媒体は、利用する求職者の年齢や経験年数、性別等に合わせた選択ができるというメリットがあります。
サイトには総合求人サイトと特化型求人サイトがあり、どの職種の求人をしたいのかによってサイトの選択が必要です。

求人サービスサイトの種類と特長

2.Web求人の料金体系

Web媒体の料金体系には、掲載課金型と成果報酬型の2種類があります。

(1)掲載課金型

掲載課金型は、一定期間で求人情報を掲載する事に対し、費用がかかるシステムです。
何件の応募でも、何人と面接や採用を出しても掲載料金に変わりはありません。

掲載課金型

(2)成果課金型

成果報酬型は、成果が上がっていくらという料金体系になります。
また、成果課金型は、応募課金型と採用課金型に分かれます。
応募数が少ない場合、採用まで長期化する可能性があります。

応募課金型

採用課金型は、掲載は無料ですが、採用者1名に対し何円という料金形態になります。
料金が1名何円というパターンと年俸の何%というパターンがあります。

採用課金型

3.SNSを利用した求人方法

SNSによる求人広告は、FacebookやTwitter、Instagram等を利用するものです。
求職者は毎日投稿される内容や他人の反応(いいね!の数等)を確認していて、自院の印象や自分が働いている姿をイメージしやすくなります。
また、SNSは求職者とコミュニケーションが取れるので、求職者は気軽に判らないことや不安なこと、質問ができ、院長は求職者の興味や性格、考え方等をある程度知ることもできます。

SNSを利用し投稿した事例

2.求人広告の手続きと掲載ポイント

Web媒体への求人広告の掲載方法は、求人サービスサイトで様々です。各社のホームページには掲載申込等の説明は記載されていますが、どのような効果が期待できるのか、費用や期間はどれくらいかなど、具体的にイメージできないことも多いので、直接担当者から説明やプラン提示、質問への回答を受ける方が良いでしょう。

1.Web媒体への申し込みの流れ

広告掲載にあたり、まずはどのWeb求人のサービスに広告を掲載するか絞り込みます。
検索上位の会社や求人の職種が医療従事者など、自院のニーズに合ったところをポイントに選び、問い合わせします。
サイトの専用フォームや電話などで、求人の条件や希望などを伝え、担当者からはさらにヒアリングを受けましょう。
自院のニーズに合ったプランの提案、費用や効果の説明を受け、掲載を決めたら申し込みを行います。
各社それぞれですが、申し込みから求人広告の原稿制作、掲載まで1週間から10日間程度かかります。

全体フロー

2.職種に即した求人原稿の内容

(1)求職者のニーズの変化

求職者のニーズは、年々変化してきています。
以前は「給与」が一番で、次が「働きがい」でしたが、今は「働きやすさ」や「勤務時間内で終了し、プライベート時間がしっかり取れる」「働く職場の雰囲気が良い」「休日が多い」といった、働くこと以外の時間を大事にする人が増えています。

求職者のニーズ

(2)歯科医院勤務経験者に向けた求人原稿

採用ターゲットをどのような人材にするのかが重要なポイントになります。
経験者でも、出産や幼児の育児で退職した方、前職が多忙のため時間外労働が多くて退職した方、前職の給与が低くて退職した方等、様々な理由があります。
院長は、求職者が以前退職した理由を踏まえ、自院がクリアできる条件を提示できるかどうかがポイントになります。

雇用条件の調整点

(3)歯科医院未経験者に向けた求人原稿

未経験者を採用する場合は、歯科医院ではなく一般企業が主な競合事業所となります。
歯科衛生士以外のスタッフにとって、歯科医院の勤務は一般企業よりハードルが高く、雇用条件の他、働きやすさや仕事を覚える教育制度、働きがいなどが認識できるような体制を構築する必要があります。
採用ターゲットとしては、給与相場が低い業界、離職率の高い業界、非正規雇用の多い業界等からの転職組になると考えられます。
歯科助手、受付歯科医療事務という職業への働きがいを感じさせるアピールが必要です。

未経験求職者へのアピールポイント

3.定着率の向上

スタッフの退職理由には、出産や結婚、配偶者の転勤等が防ぎようのないものがありますが、医院の人間関係や待遇面の不満、休みの少なさ等、防げる理由も様々あります。
自身の能力アップを望み、成長しようという気持ちを持ったスタッフが退職するのは自院にとって非常にマイナスです。
スタッフ自身の成長と院長の診療方針や経営理念を合致させ、教育制度と昇給や賞与等の給与基準で運用されると、退職防止になるだけでなく、レベルの高いスタッフの育成につながります。

定着率の向上

3.Web媒体以外による求人広告の活用

Web媒体の求人が中心になってきていますが、ハローワークや求人誌、専門学校、紹介といった以前からある求人方法も併用するとより効果が出ます。
例えば、ハローワークの求人メリットは、雇用すると採用ターゲットによっては、事業主側や求職者に助成金や手当金等があることです。

1.ハローワークへの求人

自院の地域を管轄するハローワークに求人の申し込みを行うと、求人情報がハローワークに登録・掲載されます。
求人申し込み時に希望するとハローワークインターネットサービス(ハローワーク運営のWebサイト)にも掲載公開されます。

ハローワークの求人方法

2.専門学校等への求人

専門学校等の学内求人情報(システムや掲示板)に申し込む方法です。
就職課や就職支援センター等に求人票を提出します。
ホームページ等でも受け付けていることが多く、求人票もダウンロードでき、受付サイトやFAXで申込ができます。

専門学校等の求人方法

3.紙媒体によるの求人

紙媒体による求人は、求人情報誌や地域のフリーペーパーに乗せる求人広告、新聞の求人広告、折込チラシ等です。
近頃はコンビニや金融機関、スーパー等に置かれています。

紙媒体の求人方法

4.人材派遣会社に依頼

人材派遣会社に登録しているスタッフを派遣してもらい、派遣会社と契約した時給を支払うシステムです(歯科衛生士など国家資格保有者の派遣は、雇用を前提として6か月が限度)。
具体的な募集条件を事前に伝えるので、希望に近い人材の確保が望めます。
スタッフは派遣会社で労働保険・社会保険に加入しているので事業主負担は発生しません。
さらに賞与や退職金を支給する必要がありません。

人材派遣会社に依頼

5.人材紹介会社へ依頼

人材紹介会社に登録しているスタッフを紹介されて雇い入れるシステムです。
派遣と同じく具体的な募集条件を事前に伝えるので、希望に近い人材の確保が望めます。
人材紹介会社からのスタッフを雇用した場合は、年俸の何%という紹介料がかかります。

人材紹介会社に依頼

6.知人友人、スタッフからの紹介

知人友人、スタッフに人材を紹介してもらうシステムで、近頃ではリファラル(referral:推薦・紹介する)採用とも言われています。
求職者の情報を知っていることが強みで、ある程度の評価された人なので選考は難しくありません。
ただ、院長の基準と知人友人等の基準が違う場合、採用を前提とした面接になりがちになり、雇用してからギャップに気づくこともあります。

知人友人、スタッフからの紹介

4.求人募集内容等の法令上での留意点

求職者にとって、自分が勤める歯科医院がコンプライアンスを順守しているかは非常に気になる点です。
給与は最低賃金法を守っているか、労働時間は労働基準法に違反していないか、社会保険や労働保険には加入しているか、雇用条件は試用期間と本採用後で違いはあるのか、昨年の働き方改革における法規制は守られているか等を注意してみています。
求人広告の募集内容等におけるコンプライアンスの順守が自院のイメージ付けのポイントになりますし、法令違反に対しては罰則規定もありますので注意が必要です。

1.医療機関における働き方改革関連法の適用関係

医療機関における適用関係の中で特に注意するポイントは3点です。
まずは時間外労働の上限を月45時間かつ年360時間を限度に設定されました。
さらに月60時間を超える時間外労働があった場合、割増賃金率が25%から50%以上になりました。
次には有給休暇取得の義務化です。10日以上の権利を持つ従業員には年5日以上取得させることを義務付けました。
パート職員にも有給休暇の権利があり、有給休暇の権利を取得しているパート職員にも5日は時季指定して与える必要があります。
最後に、同一労働同一賃金制の推進です。正規・非正規の労働形態に関わらず、同一内容の業務に対しては、同じ水準に賃金が支払われる制度です。

医療機関の規模別の適用関係(概要)

2.求人広告内容での法令順守

求人広告の内容は、写真やイラスト、文章等から構成されていますが、注意しなければいけないのは著作権です。
著作権法では、写真やイラスト、文章等の「著作物」は、それを創作した「著作者」の権利であり、他者が無断で使用することはできません。
著作物そのものの流用はもちろん、例えば、似たようなイラストを制作したとしても、基にしたイラストの著作権に触れる、といったこともあります。
さらに、スタッフの写真や名前を求人広告に掲載することも、肖像権や氏名権の観点から、当人からの了解を得る必要があり、当人が退職後は差し替える等の配慮をします。
また、商品のロゴマーク、キャラクター、会社のマーク等は登録制の「商標権」で保護されています。
いずれも、広告原稿の制作段階で知的財産権に触れそうな恐れがある場合は、著作権者の許諾をもらうなど、クリアにしておくことが重要です。

求人募集広告の内容における法令順守(知的財産権)

3.応募エントリーシートや面接選考時に配慮すべき項目

求職者が応募時にエントリーシートを記載し、提出してもらう際や面接時に、求職者の基本的人権を尊重した公正な採用をするために配慮するよう、厚生労働省は指導しています。就職差別につながるような事項は、質問や文章で記載提出は注意が必要です。

採用選考時に配慮すべき事項(14項目)

4.求職者等の個人情報の取り扱い

職業安定法では、労働者の募集業務の目的の達成に必要な範囲内で、募集に応じて労働者になろうとする者等の個人情報を収集・保管・使用しなければならない旨規定しています。
併せて、法に基づく指針が公表され、原則として収集してはならない個人情報等を規定しています。

職業安定法 求職者等の個人情報の取り扱い

 

■参考資料
歯科医院経営.comホームページ:歯科医院の求人方法
求人広告代理店ONEホームページ:求人広告活用ノウハウ
株式会社エール Yellホームページ:求人方法の種類と特徴
公益社団法人全国求人情報協会ホームページ:募集・採用の基礎知識
厚生労働省ホームページ:「公正な採用選考をおこなうために」

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