顧客との接点作りに動画を活かす中小企業の動画マーケティング

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顧客との接点作りに動画を活かす中小企業の動画マーケティング

  1. 動画マーケティングの概要
  2. 動画マーケティングの手法と戦略
  3. 中小企業によるYouTube動画マーケティング
  4. 動画マーケティングに成功した事例

 


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1.動画マーケティングの概要

現在の日本では通信環境が整備され、スマートフォンを使うことでSNSがいつでも見られるようになったことや、個人で簡単に動画が発信できるようになったことから、TickTokやYouTubeなど動画コンテンツのファンが増え、動画が身近になっています。
また、新型コロナウイルスによる影響で外出の機会が減り、自宅でのインターネットや動画コンテンツに触れる機会が増えています。
そのような情勢から動画広告市場は急速に拡大しており、動画マーケティングは重要な存在になりつつあります。
今回は、インターネットを通じた動画マーケティングについて解説します。

1.動画広告の市場規模

先述したように、インターネット環境の整備が進んだことで、スマートフォンやSNS上で動画コンテンツが広く受け入れられるようになったこと、個人で簡単に動画が発信できるようになったことなどの理由から動画を視聴する人が増えました。
それに伴い、動画広告の市場規模も年々増加しています。
2020年10~12月に株式会社サイバーエージェントが行った国内動画広告の市場動向調査では「2020年の動画広告市場規模は、昨年対比114%となる2,954億円に達する見通しであり、2021年には3,889億円、2024年には6,856億円に達する見込み」との発表がされました。
2018年に行われた同様の調査では2024年の推定規模は4,957億円という予想であり、2年で2,000億円近い予想の更新がされています。
今後、大手通信キャリアのモバイル通信料の引き下げや5Gの普及が進めば、スマートフォンユーザーはますます気軽に動画コンテンツへアクセスできるようになる見込みです。
それに伴い、動画広告の市場規模も拡大していくと予想されます。

動画広告の市場規模

2.動画マーケティングの目的

動画マーケティングとは、「動画を使ったマーケティング施策」のことです。
例えばYou tubeで商品の紹介をしたり、インタビュー動画を掲載したり、人材採用のために自社サイトや説明会で動画を使用するのも動画マーケティングの一環です。
動画マーケティングは、ただ動画を制作し公開して終わりではありません。
その他のマーケティング施策と同様に、目的やターゲットに応じて動画を制作し、用いる媒体や活用手法、KPIなどを定め、その結果によって効果を検証し改善に繋げていくことが大切です。
戦略立案から企画設計、動画作成、公開、分析など全て含めたものを「動画マーケティング」と呼びます。
動画で商品やサービスの魅力を伝えて、「商品の認知度や理解度を上げる」「購買意欲をかきたてる」「ブランディング」などを行い、顧客や見込み顧客、潜在顧客の獲得を目指します。

動画マーケティングの目的

動画はスマートフォンなどで気軽に見ることができます。SNSなどで動画を目にする機会も増えたことから、ユーザーのニーズにあった動画を作成できれば、視聴・拡散してもらえる確率が高まり、より多くの人に会社や商品を知ってもらえるチャンスとなります。
動画はテキストでは伝えにくい雰囲気や、顧客自身が商品を利用するイメージを伝えられるため、購買意欲をかきたてやすいことも特徴です。
動画に企業のBGMやイメージカラーを取り入れたり、キャラクターを登場させたりしてブランドの「雰囲気」を作ることで、ブランディングも可能になります。
動画マーケティングを行う企業は、このように商品やブランドの認知度や理解度を上げて親しみを持ってもらうことで購入につなげたり、ブランディングをして企業イメージを浸透させたりすることを目的としています。

3.動画マーケティングのメリットとデメリット

動画マーケティングを行うメリットとデメリットは、以下となります。

動画マーケティングを行うメリットとデメリット

①商品の特徴や使い方などを伝えやすい

動画であれば、テキストや画像だけで説明するよりも多くの情報を伝える事が可能です。
1分間の動画で伝える事ができる情報量は、ウェブサイト約3,600ページ分ともいわれています。

②幅広い年代にアプローチできる

動画は、幅広い客層に見てもらいやすい媒体です。
幅広い年齢の消費者がネットに触れる時間が多くなってきており、動画コンテンツのニーズも高まっている状態といえます。

③SNSでシェアされやすい

TwitterやインスタグラムなどのSNSで拡散されると、爆発的なアクセスを呼び込むことができます。
ただし、拡散を狙って奇をてらった動画を作成し、視聴者の反感を買わないよう注意が必要です。

④動画制作できる人材がいない

動画マーケティングを取り扱うには、動画に関する知識が必要です。
特別な知識が無くても動画コンテンツ作成ツールもありますが、多少の経験は必要となります。
そのため、動画制作ができる人材の確保が必要となります。
もし、人材が確保できずに動画制作を業者に依頼する場合、綿密な打ち合わせをしなければイメージと異なるものが制作される可能性が高くなります。

⑤労力とコストがかかる

動画マーケティングの導入・運用には労力とコストがかかります。
動画を自社で制作する場合、動画の方向性の決定や動画制作のノウハウを作り上げなければなりません。
ノウハウを確立するまでには時間がかかるため、その分コストもかかることになります。
動画マーケティングは、メリットとデメリットを理解し、自社で割くことのできる労力とコストのバランスを考えながら行うことが必要となります。

2.動画マーケティングの手法と戦略

動画マーケティングを進めていくにあたって一番初めに行うことは、動画活用の全体像~戦略を描く事です。
そのためには「動画活用の目的」と「動画を活用して、どうなっていたら成功か」という成功の定義を決めることから始めます。

1.成功の定義

成功の定義とは、目的が実現したと評価できる指標、判断できる基準のことです。
動画の目的に対していきなり「こんな動画を製作しよう」と決めてしまうと、成功の可能性を著しく小さくしてしまいます。
動画制作の手法は非常に多く、制作する人物のスキルやセンスに完成度が大きく左右されます。
どのような手法で誰が製作するかの選択が適切でなければ、動画を制作したとしても視聴者に変化を起こすことはできません。
そのため、何よりも先に、動画活用が成功しているときの視聴者や関与先の状態を想像して定義することで、数多くの選択肢を適切に絞り込む基準や製作者の方針とすることができます。
例えば、「営業活動を効率化したい」「見込客を育成したい」といったような目的の場合、それぞれ何件、何%といったような数値目標が設定されますが、これは成功の定義にはなりません。
成功の定義では、「視聴者がこうなっていれば目的が果たされているだろう」という仮説を設定します。
そして、実際に動画を配信してその仮説が正しくなかったときは、手段のみならず成功の定義も変更して、新たな方法の選択基準や制作方法を決めます。

2.成功の定義を表現するポイント

成功の定義を表現するときのポイントは、以下の3つです。

成功の定義を表現するポイント

①視聴者や関与者にどのような変化が起きているかを想像する

「動画の視聴者や動画を活用する関与者に、どのような変化が起きているか」という視聴者や関与者の心や行動の状態を想像します。
心や行動の状態を表現するので、「~している」「~になっている」という表現になります。
できるだけ具体的に表現することが大事ですが、まだ制作もしておらず、視聴者に見てもらってもいない動画が、どのような状態をもたらすかは想像するしかありません。
表現が難しい場合はいったん仮の表現として決定し、この後から考える動画の制作内容や運用体制を決めてから、改めて表現を変更・修正することもできます。

②関与者全員から意見・要望を募り、状況を把握したうえで合意する

例えば、「営業活動を効率化したい」という目的に対して動画活用を検討・決定する部署、制作する部署、実際に使用する部署が異なると成功の定義も異なります。
動画制作にかかわるメンバーがどうなっていたら助かるか、スムーズに仕事ができるかを関与者から吸い上げ、すり合わせていくことが必要です。

③「自分はこうなっていたら成功だ」と思うことのできる表現にする

マネージャーやクライアント等の関与者は、「動画を活用するといいことがあるらしい」というぼんやりとした期待だけが先行しているという事がよくあります。
そのような人々は、でき上がった動画を見て「思っていたのと違う」と批判することがあります。
そうならないよう、自らが率先して成功の定義を決め、関与者の合意を取る必要があります。
関与者が多い場合、それぞれが同じ目的に対してどのような成功の定義を思い描いているかを共有し、互いの認識にズレがないかを確認することが重要です。
良い成功の定義は関与者のやる気を高め、プロジェクトへのコミットメントを引き出す力があるため関与者が納得する表現の設定が重要となります。

3.成功のためのあるべき状態

動画活用の目的と成功の定義が決まったら、その実現のために「3つのあるべき状態」を考えます。
これらは、動画活用をするにあたって最低限考えなければならないものです。

成功のためのあるべき状態

3つのあるべき状態は、「成功の定義は、動画の内容や視聴のされ方、運用体制が“こうなっていなければ実現できないだろう”」というものにします。
この①~③それぞれの表現を、動画の制作方法、配信方法、運用体制に存在する数多くの手段を選択する基準とし、「つくる」「届ける」「まわす」はそれぞれを同時並行で考え、進めていく必要があります。

4.手段の選択に影響を与える要素

「つくる」「届ける」「まわす」の3つのあるべき状態を定義した後は、その状態を実現するための手段を選択(=要求)します。
その手段には、それぞれ動画の企画や構成のメソッド、制作ツール、配信プラットフォームや配信媒体、取得した動画視聴データの活かし方や関係者を巻き込むノウハウなど、その種類も数も豊富です。
ただし、手段の選択を阻む制約や影響を与える要素があります。
これらの要素があるべき状態からの要求と衝突してトレードオフを迫られたり、選択した手段が制約になって、その他の望ましい手段を選択できないことも起きます。
手段の選択に影響を与える要素は以下のようなものがあります。

手段の選択に影響を与える要素

これらの要素は、武器となる一方で制約にもなり、手段の選択に影響を与えます。
動画化する対象が持つ情報は、視聴者の属性や状況によって意味が異なります。
同じ製品であっても、会社を重視する視聴者もいれば、機能や価格を重視する視聴者もいます。
お金と時間があれば、全ての視聴者を対象に製品の情報全てを動画化できますが、そうではない場合は、動画化する情報を取捨選択しなければなりません。
目的に対して、会社の置かれた環境からあるべき状態を定義し、数多の選択肢から自社にとって最適な手段を選択することが必要となります。

3.中小企業によるYouTube動画マーケティング

YouTubeは、Googleが運営する世界最大の動画共有サービスで、今や世界中に月間約10億人の利用者がいる巨大メディアです。
日本においても月間約4,900万人の利用者が存在し、単純計算では国民の3人に1人がYouTubeを利用していることになり、その点からも中小企業としてマーケティングに活用しない手はありません。
中小企業において重要視するYouTube動画投稿は、検索エンジン対策です。具体的には、YouTubeに自社公式チャンネルページを開設し、動画を大量に投稿することで自社の見込客がYahooやGoogleで関連キーワードを検索した際に、自社のYouTube動画ページが上位表示される状態を作ることができます。動画を「見込客との接点づくり」に活用するのです。

1.YouTube動画を活用するべき3つの理由

中小企業において、YouTube動画を活用するべき理由として、次の3点があげられます。

中小企業において、YouTube動画を活用するべき理由

①差別化を図りやすい

中小企業におけるマーケティングは、「他社ではなく自社が選ばれる理由作り」が重要です。
見込み客の「動画を見たことがある」という経験は、それ自体が「他社ではなく自社を選ぶ理由」になり得ます。
なぜなら、人には「どうせ頼むのであれば、知っているところにしよう」という心理が働くからです。
動画自体が競合との差別化要因になるため、競争条件が不利な中小企業にとって、動画活用は外せないものであるといえます。

②見込客との関係性を一気に高められる

文字や画像による情報と比べると、映像情報の方がはるかに伝えられる情報量が多く、臨場感まで伝わります。
それにより、直接リアルの場で会う行為と同等か、それ以上の親近感を抱かせることができます。

③検索エンジンにめっぽう強い

YouTubeはGoogleが運営している媒体であるということもあり、検索ロボットからのページ評価が高く、検索結果ページ上で上位表示されやすい傾向にあります。
中小企業は、見込客との接点をできるだけ数多く、かつ低予算で持つ必要がありますが、YouTubeはまさにその状態を作り上げられる格好のメディアであるといえます。

2.YouTube動画で成果を得るための4つの秘訣

YouTube動画の活用は、単に動画を投稿すればよいというものではなく、成果を得るために抑えなければならないポイントがあります。

YouTube動画で成果を得るための4つの秘訣

①動画の見栄えより本数を重視する

動画投稿に取り組む段階になると、多少は見栄えを気にして作り込みたい、という気持ちになりますが、「見栄え」に気を取られて「数」を稼げなくなるのは本末転倒です。
投稿数の目安としては最低でも200~300本、理想は1,000本位で、1本あたり2~3分の短い動画にすることで最後まで見てもらえる等、視聴数を稼ぐことにも繋がります。

②動画のタイトルに検索キーワードを盛り込む

動画タイトルに検索キーワードを盛り込むことによって、YouTubeのサイト内での検索で上位表示されやすくなるだけでなく、YahooやGoogleで検索した際にも上位表示される可能性が一気に高まります。

③説明欄の3行以内に自社のURLを記載する

説明欄の3行以内に自社のURLを記載する

動画をきっかけに、視聴者が自社や自社の商品・サービスに興味を抱く可能性は十分にあるため、動画から自社ホームページへの導線として、URLはしっかりと設置しておきましょう。
なおURLの記載を3行以内としているのは、右図のようにYouTubeページで説明欄が表示されるのは3行目までがデフォルトであるためです。

④検索キーワードをタグ付けする

YouTubeに動画投稿する際に使用する管理画面には、「タグ」を設定する欄が設けられています。
これは、「その動画がどんな種類のものなのか」をYouTube側に認識してもらうための印のようなもので、キーワードをタグ付けすると、検索表示されやすくなります。

3.YouTube動画マーケティングによる指標

YouTubeによる動画マーケティングで重要となる指標は、以下の通りです。

YouTubeによる動画マーケティングで重要となる指標

①再生回数

再生回数は、どれだけ多くの人にリーチできたか、ブランドや商品の認知向上につながったかを把握するうえで参考になる指標の一つです。
わかりやすい指標のため、KPIに設定されがちですが、あくまで動画マーケティングの1つの側面であり、動画の目的に応じて複数の指標と組み合わせて総合的に数値を追っていくことが重要です。

②視聴者維持率

動画の再生回数が増えても、視聴者がすぐに離脱して伝えたいメッセージが届いていなければ、その動画の効果は小さなものとなってしまいます。
視聴者がその動画をどこまで(何%)見たのかを示す視聴者維持率からは、動画再生の「質」を測ることができます。

③再生率

動画表示回数に対し、再生ボタンをクリックされた回数の割合を表すのが再生率です。
ウェブサイトにブランディング動画や商品紹介動画などを埋め込むケースでは、動画がそのページの内容や目的に適しているのか、どれだけそのページの質の向上に貢献しているかを、この再生率から読み取ることができます。

④関連動画からの流入数

目的を持ってYouTube動画を探しているユーザーは、関連動画経由で次から次へと動画を視聴する傾向があります。
そこで自社の動画を視聴したユーザーに、この関連動画を通して自社の複数の動画を視聴させることができれば、ファン化やブランディングを促進させることに繋がります。

⑤チャンネル登録者数

チャンネル登録者は、大変エンゲージメントが高いユーザーと言えます。
また、新しい動画コンテンツを配信するたびにチャンネル登録者には通知が届くため、チャンネル登録者数を増やすことは、YouTube動画マーケティングでは重要な施策となります。

4.動画マーケティングに成功した事例

1.DVD送付から動画メール送付へと変更したHomebase Abroad社の事例

別荘を貸し出すバケーションレンタルを展開する企業であるHomebase Abroad社は、それまで「別荘を借りたい」という顧客に対し、該当物件の詳細情報や写真のDVDをひとつひとつ手作りし、送付していました。
しかし、従来のやり方では「ユーザーがDVDを見てくれたのか」「DVD視聴後にどのような行動を取ったのか」という、送付後の受信者の反応が把握できないところを課題として認識していました。
また一人ひとりの顧客に対しDVDを制作・発送するため、それに対するコストや手間も同社の悩みの種となっていました。
そんな中、同社はメールに動画を添付するという方法に着目しました。
これまでのDVD同様、別荘の細部やロケーションを紹介する物件紹介動画をDVDではなくメールで送付できないかと考えました。
動画の素材となる、写真などは元々保有していたため、新しく発生する制作コストも抑えることができ、すぐさま50件以上の別荘の紹介動画の準備が整いました。
そして、実際に5回にわたって配信した1,986通の動画メールを分析したところ、以下の事が分かりました。

DVD送付から動画メール送付へと変更したHomebase Abroad社の事例

このように、DVDからメールによる動画配信へと変更したことで、もともと抱えていた2つの課題「視聴者の反応把握」と「コスト/工数の削減」の改善に成功しました。
動画の再生数や視聴時間を分析できるようになったことで、どの顧客が真剣に検討しているのか、どれほどの割合で動画が視聴されるのかなど、送りっぱなしだったDVDでは把握できなかった視聴者の反応を把握することが可能になりました。
さらに、一人ひとりの顧客に対し、DVDを制作・発送していたコストを大幅に削減することに繋がりました。

2.高価な製品の売り上げに貢献したLenovo社の事例

世界有数のPCメーカーであるLenovo社は、購入前に徹底的にリサーチする傾向のあるPC購入予定者に、購入の決断を促す方法として動画の導入を考えていました。
そのため動画は、購入の決め手となるような内容でなくてはなりません。
特徴やメリットを伝えるのはもちろんのこと、消費者が購入を決めかねているポイントに的を射た訴求を行う動画である必要があり、どの製品に対してどのような内容の動画を作成するかを決めるのは非常に難しいことでした。

高価な製品の売り上げに貢献したLenovo社の事例

そこで、通常の製品紹介動画から「オプティマルドライブとは何ですか?」といったような細かいQ&A動画に至るまで、幅広いタイプの動画を制作し、購入の意思決定のために必要なあらゆる情報を提供することを心がけました。
すると、以下のような結果に至ったのです。

高価な製品の売り上げに貢献したLenovo社の事例

このことから、PC本体のような比較的値段の高い製品の購入を検討している消費者は、製品の詳細を動画で確認した後、購入に至ることがわかりました。
また、同社は動画の視聴分析により、消費者の動画視聴に伴う購買行動を細かく把握していました。
例えば、購入率が高かったデスクトップコンピューターの製品動画をさらに分析すると、購入者のうち動画を最後まで視聴した人は24%だったのに対し、本体説明と付属アクセサリのシーンが切り替わる4秒間で製品をカートに追加した人は53.9%に至ったことが判明しました。
どのカテゴリーの製品を動画で紹介するのが効果的であるのか、またどのようなシーンが消費者にとって購入の決め手となっているのかという動画の視聴率と購入率を継続的に分析することで、消費者行動を理解し、動画コンテンツの最適化に成功しました。

3.動画マーケティングにより事業存続の危機を免れたRokenbok社の事例

米国のおもちゃメーカーであるRokenbok社は当初、玩具店の一角で商品紹介をし、顧客の80%を玩具店から、20%を口コミで獲得するというインターネットとは縁のない会社でした。

動画マーケティングにより事業存続の危機を免れたRokenbok社の事例

ところが経済悪化のあおりを受けて玩具店が激減したことから、同社は顧客と接触し、おもちゃの操作方法を紹介するための新たな手段を探さなければなりませんでした。
しかし、“ブロックで作り上げた世界をラジコン車が自由自在に走る”という高性能なおもちゃの魅力は写真では理解されにくく、実際に動かして紹介する必要があったため、クリスマス時期にショッピングモールでブース型の店舗を借りたり、メーカー見本市などのイベントに出展したりと、様々な方法を試み始めた折、同社の幹部の一人が、Rokenbok社のファンが投稿したYouTube動画に目を止めたのです。
動画こそ商品を紹介するだけでなく、楽しみながら子供たちに遊び方を見せることができる手段であると思いいたりました。
早速、同社はYoutubeに自社のチャンネルを作って、商品紹介動画のほか、3分程度のストーリー仕立てで魅力と楽しさを伝えるシリーズなどを投稿しました。
当初は動画投稿を行っていたのみでしたが、関心のある視聴者を絞り込む重要性を認識し、少ないコストでターゲティングが簡単にできる広告システムを利用、動画マーケティングを本格的に開始したところ、最初はあまり効果が見えなかった動画戦略も「ターゲティングと関係性の構築の重要性」に気が付いた結果、以下のような効果が表れました。

動画マーケティングにより事業存続の危機を免れたRokenbok社の事例

インターネットとは縁のない会社であった同社ですが、動画マーケティングの効果が表れたことで、潜在的な新規ユーザーを獲得することができ、現在では販売経路はオンラインのみとなりました。
今後、5Gの普及や新型コロナウイルスの影響による外出控えにより、動画マーケティングの重要性がより向上することが予想されます。
貴社の動画マーケティングの参考となれば幸いです。

 

■参考資料
『動画で「売れる仕組み」を作る』前田考歩
『小さな会社のネット集客の鉄則』高田晃

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