- オンライン診療の概要と取組み手順
- オンライン等診療を行う上での留意点
- オンライン資格確認の概要
- オンライン診療等に関するQ&A
1.オンライン診療の概要と取組み手順
新型コロナウイルスの感染が拡大し、歯科医院を含めた医療機関への受診が困難になっている現状を踏まえ、厚生労働省より通達されていた「歯科診療における新型コロナウイルス感染拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」が改正され、初診時からの電話や情報通信機器を用いて行う診療(以下、オンライン等診療)が時限的に認められました。
このコロナ禍で、歯科医院の患者は、通常の受診だけでなく、予防歯科の要でもある定期健診をも抑制する傾向にあります。
このような歯科医院の状況への対策として、オンライン等診療導入の取組みが、経営改善のポイントになると思われます。
1.オンライン等診療の概要
オンライン等診療とは、「医師-患者間において、電話や情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い、診断結果の伝達や処方等の診察行為をリアルタイムに行う行為」とされています。
これにはオンライン診療のほか、オンライン受診勧奨、遠隔健康医療相談が含まれます。
当初は、診察無しの治療は原則禁止されていることから、オンライン診療は再診からでしたが、コロナウイルス感染症の拡大により、今年より時限的・特例的に初診から認められました。
2.オンライン等診療を行う手順
厚生労働省より、オンライン等診療を行う場合の手順と留意事項がパンフレットとして出されています。
(1)準備
オンライン等診療を行う場合は、自院のホームページ等があれば、診療の案内(電話や情報通信機器での診療対応可能な時間帯、予約方法等)を記載します。
(2)事前の予約
電話やWebの予約システムで予約受付を行う場合の対応項目を想定します。
患者の状況により対面治療が必要になる場合、健康保険証の確認方法、本人確認が難しい場合の措置、患者が利用する支払い方法など、予約時の確認事項をスタッフに周知しておきます。
(3)診療
予約時間になったら、歯科医師から患者へ電話、またはデバイスに接続し、診療を開始します。
オンラインでは写真付き身分証明書や歯科医師免許で相互に本人確認を行います。
診療の状況によっては対面治療や受診を推奨します。
(4)診療後
診療後の処方箋発行の際に、患者から電話による服薬指導等の希望があればその指導をして、患者の希望する薬局へ処方箋情報を提供(送付)します。
3.オンライン等診療を開始する場合の届出
オンライン等診療を行う場合は、都道府県の窓口(原則保健所)に下記の調査票を届出することで、オンライン診療を行う医療機関の名簿に記載されます。
また、診療報酬上においては施設基準の届出(オンライン診療料他)が必要になります。
2.オンライン等診療を行う上での留意点
新型コロナウイルス感染症対策及び拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取り扱いについて、厚生労働省の医政局歯科保険課と保健局医療課より、事務連絡が4月に出ています。
主に、オンライン等診療に係る制度についての変更と保険点数についての変更に関する事務連絡ですので、診療報酬の請求において注意が必要です。
1.歯科医療のオンライン等診療制度(時限措置)
厚生労働省医政局歯科保険課では、歯科医師の責任のもとオンライン等診療を行った場合、把握できる過去の診療録や診療情報提供書、健康診断の結果を見て、現在の口腔内の状況と基礎疾患の情報を鑑みて診断や処方を行う必要があるとされています。
2.オンライン等診療の対応と診療報酬点数
オンライン等診療上で、歯科医師が診療は不要と判断した場合や対面診療が必要と判断した場合は、「健康相談」や「受診勧奨」となり、診療報酬の対象外となります。
また、自院での受診記録が有無や、受診記録は有っても新たな別症状により診断・処方を行う場合とで点数が異なります。
オンライン等診療には、オンライン診療とオンライン受診勧奨(対面診療勧奨)、遠隔健康医療相談の3点があります。
歯科医師法では、オンライン診療とオンライン受診勧奨は医療行為に分類され、遠隔健康医療相談は非医療行為となります。
オンライン等診療には、保険診療と自由診療があり、医療相談は自由診療となります。
遠隔健康医療相談の中でも受診勧奨を行う事ができますが、あくまでも「一般的な話をする」という対応をすることになります。
対象患者の個別の状況や症状によることについての受診勧奨ではなく、「口腔内に炎症がある場合の対応」というような、一般的な知識を共有するだけの対応になります。
3.オンライン診療でできること
歯科のオンライン等診療で行えることは多々ありますが、「医療行為」なのか、「医療機関への受診勧奨」なのか、「その他の遠隔健康医療相談」なのかの判断をしっかりすることが重要です。
4.オンライン等診療での「診療計画」策定
厚生労働省医政局医事課からの事務連絡では、初診から電話や情報通信機器を用いて診療を行う場合に、「診療計画」に定める事項も参考にしたうえで、医師等から患者に対して十分な説明や合意を求めるものであり、必ずしも「診療計画」の策定を求めるものではないとされています。
3.オンライン資格確認の概要
オンライン等診療では、予約時や診療時に患者の健康保険証の資格確認が必要です。
予約や診療時には、健康保険証のコピーをファクシミリ送信や画像による電子メール送信などを患者にしてもらい、確認します。
今までは、診療所側が資格確認に時間がかかったり、患者本人が用意できずにオンライン等診療を見合わせたり、キャンセルしてしまうといったケースも見られていました。
令和3年3月より、健康保険証の資格確認がオンラインで可能となります。この資格確認には医療機関側の準備が必要です。
1.オンライン資格確認とは
オンライン資格確認では、マイナンバーカードのICチップ、または健康保険証の記号番号等により、オンラインで資格情報の確認ができます。
政府もマイナンバーカードを持つよう働きかけており、キャッシュレス決済との紐付けで、買い物をした際、マイナポイントで25%還元(上限5,000円分)されるなどのキャンペーンを展開しています。
2.保険者証の入力時間の削減
今までは受付で保険者証を受け取り、患者の様々な情報を電子カルテやレセコンに手入力する必要がありました。
今後は、オンライン資格確認を導入すると、マイナンバーで最新の保険資格を自動的に、保険者証でも最小限の入力で済むというメリットがあります。
3.特定検診情報、薬剤情報等の閲覧
オンライン資格確認を導入すると、患者の薬剤情報・特定健診情報を閲覧することができます。
患者の意思をマイナンバーカードで確認した上で、有資格者等(薬剤情報は医師、歯科医師、薬剤師等。特定健診情報は医師、歯科医師等)が閲覧します。
4.オンライン資格確認の利用開始に向けた準備
オンライン資格確認を利用するには、「1.支払基金への申請手続き」と「2.システムベンダ等との相談・改修」の2つの作業が必要です。
「1.支払基金への申請手続き」では、専用ポータルサイトへのアカウント登録を行い、その都度、サイトからの必要な情報を取得します。
「2.システムベンダ等の相談・改修」では、自院のシステム改修を取引のあるベンダに相談し、見積りを取るなどして、準備を進めます。
導入を決めたら専用ポータルサイトに登録し、必要な手続きを行います。
5.オンライン資格確認に対する補助金等
オンライン資格確認導入に対し、厚生労働省「医療情報化支援基金」からの補助があります。
顔認証付きカードリーダーの無償提供とそれ以外の①マイナンバーカードの読取・資格確認等のソフトウェア・機器の導入②ネットワーク環境の整備③レセプトコンピュータ、電子カルテ等の既存システムの改修等の費用を以下の上限額と割合で補助します。
4.オンライン診療等に関するQ&A
厚生労働省より、新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療及び処方をした場合の時限的・特例的な取り扱いや診療報酬等に関する疑問には、Q&Aが示されています。
1.令和2年4月10日付けの診療報酬の取り扱いについて(抜粋)
2.令和2年4月27日付けの診療報酬の取り扱いについて(抜粋)
■参考資料
厚生労働省ホームページ:
新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について
新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱いについて
新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の
時限的・特例的な取り扱いに関する留意事項について
オンライン資格確認導入の手引き
医療機関が電話やオンラインによる診療を行う場合の手順と留意事項
中央社会保険医療協議会:議事録資料より