新たな広報活動で患者層を拡大 SNSを活用した広告戦略の構築法

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新たな広報活動で患者層を拡大 SNSを活用した広告戦略の構築法

  1. 増加するインターネットとSNSの利用率
  2. 看板など既存広告の見直しポイント
  3. SNSを活用した広告戦略
  4. ウェブサイトに関する広告規制Q&A

 


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1.増加するインターネットとSNSの利用率

近年、広告媒体の主流がインターネットやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を媒体にしたものに移り変わってきています。
これらは情報の収集や発信がより早くでき、特にSNSは、プロフィール情報から院長が獲得したいターゲット層が絞り込めるという効果もあります。
インターネットやSNS広告の種類とメリットや注意点を理解し、従来の広告方法の見直しと合わせて、新たな広告戦略を構築する必要があります。

1.インターネット、SNSの利用状況

インターネットの利用率(個人)は2019年では89.8%となっています。
端末別でのインターネット利用率は、スマートフォンが63.3%、パソコンが50.4%で、スマートフォンが12.9%上回っています。

インターネット利用率(個人)、端末別インターネット利用率

SNSの利用状況も、年齢階層別にみると、全体の69.0%が利用していて、その中でも60歳~69歳が51.7%、70歳~79歳が40.7%、80歳以上は42.8%がSNSを利用しています。
高齢者はSNSを見ない、という考えはなくなってきています。

年齢階層別SNSの利用状況

2.インターネットやSNS広告の種類

インターネットやスマートフォンの普及から、ホームページやSNSを活用した広告が増加しています。
LINE、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムや、これらとホームページとのリンクで、より効果的な広報ツールとなっています。

インターネット・SNS広告の種類

3.SNSによる広告活用のメリット

広告宣伝の一番は口コミです。
知人友人といった信頼している方からの紹介は非常に影響され、来院につながります。
SNSを活用し、多数の人とつながることで口コミにも似た反応がおこることが見受けられます。
SNS広告は一度限りの広告に比べ、継続的に告知する事ができ、さらにお知らせする媒体としても、突然の休診、予防接種の案内等をスマートフォンでスピーディーかつ簡単に更新できます。
ただしSNS上の告知は、つながりのある方だけに限定されますので、ホームページや院内外への掲示も併用する必要があります。

幅広い情報収集時間

2.看板など既存広告の見直しポイント

インターネットやSNSの広告だけに頼るのではなく、従来型の広報活動も併せて継続することが必要です。
インターネット等の利用率も高齢者層では40%~50%程度なので、従来型の広告を打ち切るわけにはいきません。
一番反応が良い広告は口コミです。自医院の魅力を知っているのは来院している患者です。
良い評判を患者の家族や友人知人へ拡散するためには、ただ待っているのではなく、広報するツールが必要です。
院内情報誌やパンフレット等の医院案内、ホームページ等の広報活動のほか、集客のツールとして目立つのは、医院の建物自体や設置されている看板です。
再度、院内情報誌や看板について見直す必要があります。

1.院内情報誌の活用

院内情報誌は、来院患者に渡すことが基本なため、会話を交わすというコミュニケーションをとることになります。
接する回数と親近感は比例して上がるというザイオンス効果が期待できます。
また、院内情報誌に治療だけでなく予防歯科や生活に有益な情報が掲載されていると、患者の教育や啓もうにも効果があり、自院への信頼度が上がって、かかりつけ歯科医としての地位の向上にもつながります。
患者アンケートでもコミュニケーションを望むことが上位を占めていることから、スタッフ教育も必要となりますが、院内情報誌を活用し、口コミ宣伝を広げることができます。

院内情報誌のメリット

2.立地環境に連動した看板広告

(1)タワーサインとファザード看板

建物の横に立つ自立式の看板をタワーサイン、建物自体に取り付けられている看板をファザード看板といいます。
双方とも医院のシンボルであり、車や歩いている人、近隣の住民や働いている方に認識してもらいやすく、判りやすい広告ツールです。
今はGoogleの地図検索でもストリートビューで確認でき、広い範囲への認知活動にもつながります。

タワーサインとファザード看板の注意点

(2)ウインドウサイン

建物の窓面にシート貼りをした看板です。
院内の目隠しにもなり、シート自体にクリニックカラーをベースにして看板効果を図ることもできます。
タワーサインやファザード看板があるので、診療の事や症状、専門性等の表現をすることもできます。

ウインドウサインの注意点

(3)プレート看板

医院入口に診療案内等を表示した看板で、厚生局からも表示するよう指導が出ています。
玄関に入る患者用に、必要範囲内で小さくする院長もいますが、診療日や診療時間を知りたくて通りすがりに見る方もいますので、ある程度の大きさは必要です。
玄関ガラス面に文字シートで貼ることも多いですが、広告物として考えるなら盤面での診療案内とした方が効果はあります。

プレート看板の注意点

3.野立て看板と電柱広告

(1)野立て看板

歯科医院の敷地外に設置して、潜在患者にアピールをします。
これらの看板の特徴は広告の性格が強いということです。
当然、広告となれば設置や維持に費用がかかりますので、歯科医院としては患者のターゲットをどの地域におくかによって、幹線や生活道路のポイントを選定し、見栄えを含めて掲載内容を精査し、作成することが重要です。

野立て看板の注意点

(2)電柱広告

看板自体の面積が狭いため、医院名の認知と矢印による患者誘導が主な目的になります。
歩行者の視線に合わせた高さで電柱に金属板を巻く方式と上部に看板を付ける方式があります。
夏場には、街路樹による視界の遮りや冬場の除雪による雪山での視界の遮りも予想して、看板設置を考える必要があります。

3.SNSを活用した広告戦略

SNSに出稿する広告をSNS広告といいます。
2019年のSNS広告の総売上は全インターネット広告の約3割を占め、前年比126%と、まだまだ成長が著しい広告ジャンルと言えます(2019年日本の広告費/電通)。
SNS広告には、ユーザーのタイムラインや視聴コンテンツの途中に掲載されるインフィード広告、設定された広告枠に掲載するディスプレイ広告、タイアップ広告、リスティング広告といった多くの種類があります。

1.SNS広告を利用する目的

(1)潜在患者に認知させたい

SNS広告は、特定のジャンルに関心や興味を持つ層を狙って広告を出すことができます。
歯科医療に関連したジャンルに興味はあるが、歯科医院のことは知らないという潜在患者層の認知拡大に向いています。

(2)ブランディングをしたい

InstagramやFacebookでは、投稿コンテンツと同様の大きなサイズの画像や動画を使った広告を掲載できます。
各SNSの特徴を踏まえて質の高いクリエイティブの広告を展開すれば、強い印象を与えて効果的なブランディングを行うことができます。

歯科医院にとってブランディングとは

(3)コロナ禍における潜在患者層にアピールしたい

インターネット、SNSの利用率は非常に高くなってきており、若年層だけでなく、高齢者層にも普及してきています。
自宅滞在時間が長くなってきている状況では、インターネットやSNSを活用した広告が来院抑制している潜在患者層へのアピールとして外せない存在になっています。

2.SNS広告のメリット

SNS広告の大きなメリットは、ユーザーを選別して掲載できることです。
各SNSには、さまざまなユーザーのデータが蓄積されているため、歯科医院では、そのデータを活用して年齢や性別、居住エリアといった属性を選んで広告を配信できます。
投稿の内容や「いいね!」をした内容から、歯科治療に関心に基づいたターゲティングも可能です。
また、費用対効果を上げやすく、効率の良い広告といえるでしょう。
ある広告がユーザーに認められると、ほかのユーザーにも見てもらえるなど拡散やシェアされる可能性が広がり、患者のファン化も図れます。

SNS広告のメリット

3.SNS広告の注意点

SNS広告を出す際の注意点としては、運用の手間と炎上のリスクを考慮することです。
ユーザーに飽きられないためにも定期的なリソースをすることや、対象となるユーザーに合ったSNSを選択する必要があるため、専任の担当者の育成や外部の支援を受けて運用することも視野に入れておきます。
特に行き過ぎた表現がないか、不快にさせる要素はないか、といった点への配慮、チェックが必要です。
炎上されたSNSは非常に速く拡散されてしまいます。
また、医療法の広告規制にも十分な注意が必要です。

SNS広告の注意点

4.リスティング広告の活用

一般的にリスティング広告(検索広告、PPC広告)といわれているのは、正式名称Google広告(旧アドワーズ広告)、Yahooプロモーション広告のことで、検索キーワードに連動した広告になっています。
メリットとしては、いつでも誰でもすぐにスタートができて、内容も自分で作成でき、費用はユーザーにクリックされて発生するため、上限の設定も可能です。
パソコンでもスマートフォンでも見られることができ、自分のWebサイトへ誘導することが可能です。

リスティング広告

リスティング広告はスピード感を重視して成果を求める広告に向いています。

4.ウェブサイトに関する広告規制Q&A

厚生労働省では、医療広告のガイドラインに関するQ&Aを作成し、広告の対象範囲、広告可能な事項、禁止される広告、その他に分類し、様々な質問に対しての回答や規制内容とその考え方について解説しています。
本章ではこのQ&Aから抜粋して掲載します。

1.広告規制に関するQ&A

(1)広告の対象範囲

質問①:
新聞や雑誌の「記事」は通常は、患者の受診等を誘引する意図(誘因性)がないため、広告に該当しないとされていますが、広告に該当する「記事風広告」とはどのようなものでしょうか。

広告の対象範囲

質問②:
広告のチラシ等に印刷されているQRコードを読み込むことで表示されるウェブ サイト等は、広告規制の対象でしょうか。

広告の対象範囲

質問③:
患者の希望により配布するメールマガジンやパンフレットは、広告規制の対象でしょうか。

広告の対象範囲

(2)広告可能な事項

質問①:
治療効果に関する内容について、ウェブサイトでは、広告可能でしょうか。

広告可能な事項

質問②:
診療風景等の写真は、広告可能でしょうか。

広告可能な事項

質問③:
歯科診療における「審美治療」は、広告可能でしょうか。

広告可能な事項

(3)禁止される広告

質問①:
医療機関のウェブサイト上の口コミ情報は、広告規制の対象でしょうか。

医療機関のウェブサイト上の口コミ情報は、広告規制の対象でしょうか。

質問②:
手術前のみ又は手術後のみの写真を用いて広告することは、可能でしょうか。

手術前のみ又は手術後のみの写真を用いて広告することは、可能でしょうか。

質問③:
医療機関の口コミ情報ランキングサイトについては、広告規制の対象でしょうか。

医療機関の口コミ情報ランキングサイトについては、広告規制の対象でしょうか。

質問④:
フェイスブックやツイッターといったSNSで医療機関の治療等の内容又は効 果に関する感想を述べた場合は、広告規制の対象でしょうか。

フェイスブックやツイッターといったSNSで医療機関の治療等の内容又は効 果に関する感想を述べた場合は、広告規制の対象でしょうか。

質問⑤:
「当診療所に来れば、どなたでも○○が受けられます」などと、必ず特定の治療を受けられるような表現は、広告可能でしょうか。

「当診療所に来れば、どなたでも○○が受けられます」などと、必ず特定の治療を受けられるような表現は、広告可能でしょうか。

 

■参考資料
厚生労働省ホームページ:広告規制のガイドライン
総務省ホームページ:情報白書

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