片づけとは、「キレイにそろえる」ことではありません。
それは、単なる「整列」。ひとたび乱れてしまえば、再びぐちゃぐちゃの状態に逆戻り。
本書で紹介する「トヨタの片づけ」は、単なる「整列」ではありません。
トヨタの片づけとは・・・・・・。
ムダがなくなり、効率があがり、売上があがる。
片づけはあなたの仕事や職場を変える「ビジネスツール」なのです。
第1章トヨタ流「片づけ」で仕事が変わる!うまくいく!
「ムダ」という宝を探せ。「徹底的にムダを排除する」ことは、トヨタの基本思想。
片づけすることで、ムダを取り除き、利益に変えることすらできる。
片づけない会社は業績も悪い。
片づけができていない職場ほどムダが多く、効率が悪い。
もっといえば、片づけできていない人ほど、作業のムダが発生し、十分な成果を出せていない。
4つのムダ
(1)スペースのムダ、(2)時間のムダ、(3)間違えるムダ、(4)とりに行くムダ 片づけをすれば生産性がアップする。
何事も5Sから
(1)整理:いらないものは捨てる
(2)整頓:必要なものを必要なときに必要なだけ取り出せる。
(3)清掃:キレイに掃除する。
(4)清潔:整理・整頓・清掃の状態を維持する。
(5)しつけ:整理・整頓・清掃のルールを守らせる
「書類を探す時間」は、積み重なると大きなムダとなる。
書類を取り出すのは「10秒以内」。
第2章ムダを減らすトヨタの「整理術」
捨てる「判断基準」を持ちなさい。
「いるもの」「いらないもの」を分ける判断基準が整理には不可欠。
時間を判断基準にする。
(1)いま使うもの
(2)いつか使うもの
(3)いつまでたっても使わないもの
「いつか」には、必ず「いつまでに」と期限をもうける。
ひとたび期限をもうけたら、その期限が「いるもの」と「いらないもの」を分ける判断基準となります。
「いらないもの」をため込まない「しくみ」をつくる。
その一つが「発注点をつくる」こと。
コピー機のそばにコピー用紙の梱包がいくつか置かれているとします。
梱包を5段積みにしていると上から3段目にカードを差し込んでおく。
コピー用紙を使っていって、そのカードのところまで来たとき、新しいコピー用紙を発注するようにする。
これが発注点の考え方です。
また、誰が見てもわかるように明示して運用することが大切です。
このようなしくみをつくっておくと、人為的なミスにより、必要な量以上のコピー用紙を抱えてしまうことを回避できます。
第3章仕事を効率化させるトヨタの「整頓術」
トヨタでは、お金を生まない作業は、できるだけゼロになるように徹底されている。
そのために考えなければいけないのが、モノの置き場である。
トヨタの現場では、人の動きを4つに分類してムダを見つけます。
(1)主作業、(2)付随作業、(3)準備・後始末作業、(4)ムダ・例外作業 報告書をパソコンで作成するときに、実際にパソコンに文章を打ち込んでいる部分は主作業ですが、報告書作成に必要な資料を取り出したり、プリントアウトしたりするのは付随作業です。
「付随作業」をできるだけ少なくし、「主作業」の割合を増やしていくようにする。
すると、日々の仕事より効率的で、快適なものになっていきます。
「必要なもの」を分類する基準のひとつが、それを使用する頻度。よく使うものほど近くに置くのがトヨタの基本的な考え方である。
(1)毎日使うのか
(2)2~3日おきに使うのか
(3)1週間おきに使うのか
これらをまとめ、その頻度順にモノを手元の近い場所に置いていく。
「使う頻度」が低いものは、個人所有ではなく、職場で共同管理した方が、ムダなスペースをとらず、コストも安く抑えられる。
そして、職場で共有する文房具や備品などは、1ヶ所にまとめるのが原則です。
ものづくりの現場にかぎらず、オフィスでもまわりの人との連携が大切。
そのためにも、誰もが「必要なもの」を探し出せるしくみが求められる。
不特定多数の人が使うものについては、定位置を決め、必ずそこに戻すということが必要不可欠です。
「知らない人が30秒で探し出せるようにする」という基準をもうけると、誰にとってもわかりやすい整頓ができるようになります。
モノの定位置を明示すると、「見よう」としなくても「見える」ようになる。
・紙に書いて張り出す。
・棚にシールを貼って、中に何が入っているかを書く。
・ロッカーや棚に使用者の名前を書いた札をつける。
棚の管理の基本原則は、「三定」。
(1)定位置:モノをどこに置くか
(2)定品:どんなモノを置くか
(3)定量:どのくらいモノを置くか
第4章トヨタ流片づけが「習慣化」する方法
片づけが「習慣化」されないと、職場の整理・整頓は完成しない。
トヨタには、「清掃は点検なり」という言葉がある。
徹底的な清掃で異常が見つかる。
工場で清掃することのメリットは、「発生するゴミや小さな汚れのなかから異常を発見する」こともあります。
また、日常的にオフィスやデスク周りの片づけやそうじをすることで、「提出し忘れた書類」「処理していない仕事」が見つかることがあります。
汚れるから、そうじをする。
しかし、汚れなければ、そうじの手間は大幅にはぶける。
「そうじしないで済むしくみ」をつくるのも清掃のひとつである。
例えば、鉛筆削り器を考えてみましょう。鉛筆削り器には、削りカスを集めるケースがついています。
鉛筆を削ったときに、削りカスは自動的にそのケースの中にたまっていきます。
ケースがいっぱいになったら、それを外してゴミ箱に捨てるだけ。
つまり、掃除する手間を省くしかけが加えられています。
「整理・整頓は仕事の一部である」とリーダーやトップが理解していないと、絶対に職場全体に浸透しません。
職場の片づけを習慣化できるかどうかは、リーダーの手腕にかかっているといっても過言ではありません。
片づけを習慣化するには、最初に整理・整頓の効果を実感してもらうことが肝要です。
効果を肌身で感じられれば、積極的に行動を起こすようになっていきます。
まずはカンタンにできる個所や負担の少ない場所から手をつけてみる。
そこで効果を実感させてから、本格的に整理・整頓に取り組めば、習慣化はスムーズに進むでしょう。
リーダーは桃太郎たれ!
桃太郎は鬼退治をしたが、一人ではできなかった。
キジ・サル・イヌの3匹の部下がいたからこそできた。
キジは情報を集め、サルは知恵を使い、イヌは実践した。
そして、彼らにがんばってもらうために、きび団子を与えた。
人間ですから、「やれ、やれ」ばかりではちっとも動きません。
よくやってくれたのであれば、相手がちょっとでも喜んでくれることをやってあげる。
「きび団子」は何も金目のものである必要はありません。
大事なのは、頑張ってくれた社員がちょっと喜んでくれることをしてあげるということです。
「社員の成果に報いる」というオフィス環境を実現できれば、それは片づけの習慣が根付いていく大きな原動力となるはずです。
本書は、株式会社OJTソリューションズというトヨタ自動車とリクルートグループが、トヨタ在籍40年以上のベテラン技術者が「トレーナー」となってコンサルティングを行っている会社です。
実践に基づく内容が多く、非常に読みやすいです。
5Sの基本がわかり、明日から実践すべき事例が豊富に掲載されております。
業種を問わず、部下を持っている方々にお勧めします。
お勧め度:★★★★☆ 星4つ
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(桐元 久佳)