人生を変える習慣のつくり方…グレッチェン・ルービン 著

人は、約40%の行動をほぼ毎日繰り返すので、わたしたちの存在も、わたしたちの未来も、習慣によって形づくられると言える。
つまり、習慣が変われば、生き方も変わるというわけだ。
しかし、どうすれば習慣を変えることができるのか?
その答えが本書に書かれております。

はじめに

習慣を形成することで、自制心を使う必要性をなくしている。
決断という行為がなくなることで習慣となる。
習慣となっていることをするのに、決断は必要ない。

身につけたい七習慣
(1) 健康的な食生活を送る
(2) 定期的に運動する
(3) お金と賢く付き合う
(4) リラックス上手になる
(5) 先延ばしにせず多くのことを成し遂げる
(6) 整理整頓された状態を保つ
(7) 人(社会、世界)とのつながりを深める
習慣は自分のために活用するものであって、支配されるものではない。
習慣は、自分に合っていないと意味がない。

Part1 知る

人はそれぞれ違うから、同じ習慣を身につけても、効果がある人とそうでない人が出てくる。
だから自分自身について知ることが大切です。
人は4つのタイプに分類できる。

(1) アップホルダー(約束を守る人)
外から課される期待と自分で貸す期待の両方に進んで応えようとする。
一方、何を期待されているかがわからない状況や、守るべきルールが存在しない状況は苦手だ。
マイナス面では、賞賛を求めて行動するところや苦労を買って出るところ、やみくもにルールを守ろうとするところがある。

(2)クエスチョナー(疑問をもつ人)
あらゆる期待を疑問視し、自分で正当だと判断した期待にだけ応えようとする。
あらゆる期待を疑問視し、納得できると判断した期待にしか応えない。期待に応えるのは、理由や論理に納得できたときや、公正だと感じたときだ。
「ルールのためのルール」に抵抗を覚えやすい。
クエスチョナーを動かすのは「正当な理由」だ。
少なくとも、正当な理由だと本人が信じていない限りは動かない。
情報や正当性に飢えているので、ときおり度を超すこともある。

(3) オブライジャー(義務を果たす人)
外からの期待には進んで応えるが、自分で課す期待にはうまく応えられない。
オブライジャーは外から課される期待には応えるが、自分で自分に課す期待に応えることを苦手とする。
自分を犠牲にしても周囲に貢献する。
オブライジャーが習慣を形成する場合は、外から課される責任がカギを握る。

(4) レブル(抵抗する人)
レブルは、期待を課してくる相手に関係なく、あらゆる期待に反発する。
自分で選び、自由に行動することを望む。統制を嫌い、ルールや期待を無視することを楽しいと感じる。
独自のやり方で自らの目標を達成しようとする。

これらの4つの傾向によって効果的な習慣のつくり方が変わり、他人の傾向を知ることで人間関係やビジネスも円滑になります。
人の性質のなかには、絶対に変わらないものがある。
習慣を形成するときは、そうした性質を踏まえるべきだ。

・朝型タイプか夜型タイプか。
・長距離ランナー、短距離ランナー、先延ばし屋?
・買い控えタイプか買いすぎタイプか?
・減らしたい派か増やしたい派か?
・終わらせたがりか、始めたがりか?
・保守的か新しもの好きか?
・上昇派か、回避派か?
・堅実か、大胆か?

優秀な人が身につけている習慣は個々によってまったく違うが、自らに適した習慣を熟知し、それを維持するために多大な努力をしていることは、共通している。
万人にとって「良い習慣」は存在しない。
自分に合う習慣とそのつくり方を知ることが、成功の秘訣である。

Part2 身につける

習慣を維持し支える柱となるのは、「測定する」「土台を固める」「予定に入れる」「責任をつくる」という4つの行動だ。
自分の行動を測定すると、自分に対する理解が深まり、自分への理解が深まれば、自分をコントロールする力が高まる。
測定をする場合には、測定すべき行動を厳密に特定することがカギとなる。
自制心の強化にいちばんつながる習慣は、(1) 睡眠、(2) 運動、(3) 食生活、(4) 整理整頓の4つであり、この4つを高めることで、あらゆる習慣の土台が強固になる。

(1) 睡眠
人は、自由に使える貴重な時間を守るためなら、睡眠を削ることを厭わない。
人は「奪われる」という感覚をひどく嫌がる。

(2) 運動
運動には、人をエネルギッシュにする効果と人を落ち着かせる効果の両方がある。
人は、自分が感じたとおりに行動していると思いがちだが、どう行動するかによって感情が決まることがほとんどだ。
だから、エネルギッシュになったつもりで行動すれば、以前よりもエネルギッシュになったと感じる。

(3) 食生活
日常生活において、食事以上に生活の土台となるものはほとんどない。
脳は、衝動を抑えるために食べものを必要とする。
その結果、衝動的な過食を防ぐには食べるのがいちばんだと判断し、食べろと命じるのだ。

(4) 整理整頓
身のまわりが整理整頓されているかどうかが、心に与える影響は驚くほど大きい。
きれいに整理整頓された環境にいると、自制心が養われ、良い習慣が身につきやすくなる人は多い。

4つの習慣は自制心を高めるためにどれも重要だが、人によってその重要度は異なる。
何かを行うとき、それに「ふさわしいタイミング」で始めたいという欲求は、延期を正当化するための言い訳にすぎない。
どんなことでも、始めるなら「いま」以上にふさわしいタイミングはない。
遊びを予定にいれる人は、仕事を終えてからしか心おきなく遊べない人に比べて、やりたくない仕事に取り組もうとする傾向が高い。
人は、短い時間で成し遂げられることを過剰に見積もる傾向がある。
その反面、コツコツと長い時間続けて成し遂げることを過少評価する。
人の行動は、誰かに見られていると思うと変わる。
例えば、締め切りがあると、仕事をする習慣を維持しやすくなる。
自分にはそうする責任があるという意識が生まれると、人は自制心に従って行動するようになる。
反対に、責任意識がないと、人の行動は悪いほうに変わる。
だからこそ、責任意識をつくる仕組みに投資することに価値がある。
「公言する」「見張ってくれる相手をつくる」「同じ志を持つ団体に所属する」「ペナルティを仕掛ける」などから、もっとも自分に合った方法を見つけることが大切。

Part3 変わる

始めるタイミングがとても重要で、特に大切なのは「最初の一歩」だ。
継続するよりも動きだすことのほうがはるかに大変だ。
最初の一歩は、できるだけ小さく無理のないものにすると、習慣として長続きすることが多い。
だが、大きな一歩を踏みだすほうがうまくいく人もいる。
正しいやり方も間違ったやり方もない。
習慣として定着するのであれば、どんなやり方でもかまわない。
一度始めたことをやめれば、もう一度最初の一歩を踏みださないといけない。
でも復帰する日を決めておけば、【やめる】ことになりませんから。

Part4 断つ

悪い習慣のやめ方として「断つ派」と「量を抑える派」の2種類があり、自分に合うほうを選ぶとよい。
面倒だと感じる要素を排除し、「やりやすく」することで習慣は身につきやすくなる。
なお、無意味なことでも簡単にできることだとつい時間を使ってします。
最大の時間の無駄は、する必要のまったくないことを丁寧にすることだ。
人は衝動にかられて行動すると、欲求を満たすことを優先してしまい、長期的な影響を考慮できなくなる。
また、衝動的に不安にかられると、先延ばしにしてなかなか取り組もうとしない。
誘惑の予防策は、誘惑につながる要因の排除だ。
一番簡単なのは、隠すというやり方だ。
さらなる予防策は、「~が起こったら~する」という【条件式】をあらかじめつくっておくことだ。
例えば、たくさん執筆したいと思ったら、インターネットが使えない図書館へ行く。
さらに習慣を破っても、後ろめたさを感じたり自分を責めたりしない。
限定的な「例外」を認めると習慣を復活させやすい。
良い習慣を破壊する原因

(1) 見返り
人は「良いこと」をした見返りに。
「悪いこと」を自分に許す。
さらには、、、これから「良いこと」をする予定なので、いま「悪いこと」をやってもいいという言い訳までする。

(2) 先延ばし
「明日から」という言い訳。今日思い切り自分を甘や かせば、そのぶん明日は自制心が働くと自分に信じ込ませようとする人までいる。

(3) こじつけの二択化
行動を二つ並べて、どちらか一つを選ばないといけないような気持ちにするのだ。
だが、実際には、その二択が成立しているとは限らない。
・しばらく運動していないのは、執筆が忙しいから
・整理する時間がないのは、返信しないといけないメールがたくさんあるから。

(4) 「どうしようもない」と思い込む
自分の手でどうにかできることをできないと思いがちだ。
また、自分の力でどうにもならないことなにに、何とかできるという錯覚に陥ることもある。

(5) 屈服する
人は誘惑から逃げようとせず、自ら屈服することがよくある。
会議に行く前にメールだけチェックしよう。
あ、この電話もいかけて……しまった、もうこんな時間だ。
今から会議に行っても意味がないなといって行かない。

(6) カウントしない
「この場面はカウントされない」と自分に言い聞かせることがある。
・旅行中だから
・体調がすぐれないので
・家族の残りものを食べているだけ

(7) 根拠のないきめつけ
習慣に悪影響を及ぼす決めつけをすることがある。
・クリエイティブな人っていうのは散らかすものだ

(8) 他人のため
何か行動をするとき、誰かのためを思ってのことであって、自分のためではないと言い聞かせることがある。
・この習慣を変えれば、きっとイライラして家族から文句を言われる。
・取引先との食事の席で、私が飲まなかったら他人が気まずい思いをする

(9) 開き直り
現状や自分自身を受け入れるというポジティブな言い訳に姿を変えることも多い。
・人生は一度きりだ
・せめてやってみないと、きっと後悔する。

(10) 1枚のコイン
コイン1枚では絶対にお金持ちになれないが、お金持ちになるためにはコインを1枚ずつ増やしていくしかない。
つまり、行動の一瞬には何の意味もないが、一瞬一瞬を積み重ねると、大きな意味のあるものとなる。
コイン1枚と1枚のコインの集合のどちらに意識を向けるかで、そのときの行動が決まる。
欲求は時間とともに強くなると思いがちだが、気をそらす何かをすると、たとえそれが強い衝動であっても、大抵は15分以内に収まるという。
さらに、「やりたいことは15分後にやればいい」と自分に言い聞かせるほうが、「やってはダメ」と言うよりいい結果が生まれる。
ご褒美を与えるようにすると、それをやりたいからではなく、ご褒美が欲しいという理由でやるようになるので大敵だ。
習慣としたい活動に、義務感、喪失感、犠牲といった感情が結びついてしまう。
内在する動機から行動する方が、習慣としてはるかに定着しやすく、満足度も高い。

(1) チャレンジ精神
人は難しいが不可能でない目標を達成することに、個人的な意義を見出す

(2) 好奇心
人は、新たな学びに関心を抱き、喜びを見出す

(3) コントロール欲
人は、自分でコントロールしているという感覚を好む

(4) 空想
人は想像力を使って自分の行動をより刺激的なものにしようとする。

(5) 協調性
人は誰かと一緒に何かをすることで得られる満足感を好む

(6) 競争心
人は誰かより自分の方が優れていると実感したがる

(7) 承認欲求
人は自分が達成したことや貢献したことに気づいてほしがる

Part5 発見する

人は何かを認めたくないことがあるとき、必要もないのに自分を正当化しようとすることがある。
自分で決めて行動し、自分の言葉に従って行動することを強調する言い方をする人(例・「~はしない」、「~すると自分で決めた」、「~する予定」)は、自分に自信のない言い方をする人(例・「~はできない」、「~は認められない」、「~しようと思う」)に比べて、習慣が長続きしやすい。「しない」と「できない」では大きく違う。
人は自分で自分に言い聞かせる言葉を信じようとし、自分で自分についてどう語るかがアイデンティティのとらえ方に影響を及ぼす。
結果、習慣にも影響を及ぼす。だから、自分に向って、「わたしは怠け者だ」、「自分は運がいい」などと言い聞かせていれば、それが本当に自分のアイデンティティの一部となり、行動にも影響するようになる。

人生を変える習慣のつくり方…グレッチェン・ルービン 著さいごに
誰もが一律に効果を実感できる方法は、絶対に存在しない。
この本は、事例も豊富で長所短所も記載されているので、習慣を身につける実践をしやすくなっているのではと思います。
悪い習慣をやめて、よい習慣を身につけたいと思っておられるなら、「いま」直ぐに読んでみてください。
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