プロローグ
「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」の15文字
永守社長が企業再建の着手段階において、なぜあれだけ意識改革を重要視されるのかの理由が、ここに至ってようやくわかったのである。
戦略とメソッドが先ではない。
意識改革が先である。日産で、いくら優れた戦略なり、メソッドを入れても組織に根づかなかった理由も、この意識改革のプロセスがなかったからである。
第1章 なぜ今、日本電産流経営が必要なのか
日本電産 会社再建の5大ポイント
1.意識改革 経営改革は「人を変えて、企業を変える」ことになる。意
識改革のない再建は、単なる業務改革に過ぎない。
意識改革によって「ゆでガエル」を「スピードと徹底の会社」に体質転換させる。
2.スピード 「時間」は、人、物、金、情報に次ぐ、第5の資源。しかも現代では、最も「使える」資源。「社内」スピードだけではなく、対顧客、対市場との「社外」スピードを短縮すれば、競争を制する強力な武器になる。
3.営業機関車化 営業を「1軍」にする。
会社の先頭に立たせ、荒野を切り拓く機関車にする。
そのためには、社内のすべての組織を営業支援型にする
4.ダントツのコスト追求 1年かけて、業界で最もコストの安い会社にする。
そのためには、社長が先頭に立つ。リードタイム短縮、生産性向上で業界ベスト企業にする。
購買部門を「しつこい」組織にする。
5.損益の週次管理 計画未達をなくすには、「フォロー」の徹底をやればよい。
PDCAを月1回回すのではなく、全社、全組織で4回回せば、管理のメッシュは4倍になり、会社から「慢性未達病」は消えていく
第2章 営業強化 分析のメソッド
営業力 = 織戦力 × 個人戦力
個人戦力は、営業活動、つまり「訪問→提案→引合い→受注」という一連のプロセスの中で、個人としての対顧客対応能力、商談締結能力のことを指す。
組織戦力は、「分析→計画→実行→フォロー」の一連のPDCAサイクルを、「組織マネジメントとして行える力」を指す。
多くの会社では、組織戦力の開発・強化は二の次になって、個人戦力偏重のマネジメントになっている。
そして組織戦力を高めるための分析手法として、「アンゾフの成長マトリクス」と「パレート分析」を実施する。
第4章 営業強化 実行のメソッド
売上高 = 訪問件数 × 受注率 × 受注単価
第3項の受注単価は、自社の製品が抜群の商品力を持っている場合を除いて、売り手市場ではない現代では受注単価を上げることは簡単ではない。
したがって、「訪問件数」と「受注率」に注力した営業活動をする。
訪問計画は営業マンに作らせるな!営業マンも人の子だから、行きやすい企業、自分をウェルカムしてくれる部署を重点に、計画を組んでしまう。
第5章 営業強化 フォローのメソッド
ファーストリテイリングの柳井社長の言葉「いい会社と悪い会社でやっていることは、表面上ほとんど一緒です。
やるべきことも一緒です。何が違うかといえば、どの程度までやるのか、どの水準をめざすのか、それだけです。」
著者の川勝氏によると「売上100億までの会社では、経営者自らフォローの現場に立つことをお勧めされている。
1年という期間の中で、どんなに分析や計画に時間をかけたといっても、せいぜい1ヶ月である。
そして残りの11ヶ月は、その計画の実行とフォローに充てられるのだ。
精魂込めて作った計画も実行とフォローが杜撰では、ただの「ペーパープラン」である。
第6章 コストダウンと利益創出のメソッド
日本電産の利益管理の2つの仕組み「事業所制」と「週次管理」である。
事業所制は、工場、営業、開発に分けて管理する。
1.工場 工場は、「プロフィットセンター」である。
工場には、予算枠があり、受注拒否を続けていると、この予算枠が確保できなくなる。
だから、工場は自らのコストをできるだけ市場価格に合うように工夫改善し、競合よりもベストのプライスを営業に出させて、自らの予算枠が拡がるように努力する。
2.営業 営業部門に課せられた目標は、「売上高」と「市場シェア」の極大化である。
営業は工場の予算枠を増加させる引合い案件を取ってくればくるほど、目標の売上高が上がるので、工場が受注しやすい案件をできるだけ増やそうとする。
3.開発 開発は売上高から来る数パーセントのロイヤルティですべての開発をまかなわなければならない。
開発も内に閉じこもらずどんどん顧客(市場)の方を向き、市場のニーズやウォンツを探って、競合よりも競争力のある差別化商品を出そうとする。
第7章 スピードと徹底を究める
「『時間』は万人に平等に与えられた資源」これは、永守社長が研修会でよく語られる言葉。
まず形から入ることである。形から入って、次第に本質に迫るというプロセスを踏む。
意識改革や企業カルチャー変革も同じである。それも会社の実践の場で。
それを何回も繰り返させて行動様式を固め、それから思考様式を変えていく。
第8章 企業カルチャーを変革する
永守社長がトップに求める3つの資質
①社員を動かすため、自分の考えていることを伝える「訴える力」。
②白か黒か、右か左かを決める「決断力」。
③「絶対逃げないこと」
なぜトヨタのメソッドを完璧に導入しても、トヨタになれないのか?
外側をマネできても、マインドはなかなかマネできません。
トヨタの社員と同じマインドを持たなければ、同じような結果は出せないのです。
経営者のリーダーシップ
①人を変えて、企業を変える
②自分のリーダーシップを点検する
③逃げない経営「困難は解決策を連れてやってくる」
④求心力を上げる経営
⑤自分の作品を作る経営
今月はこの本を選んだのは、お客様が読まれて社内改革の道標とされていたからです。
実際に読んでみると、高杉良さんの「労働貴族」の中で登場されていた社内改革された方と知って、妙な親近感がわいております。
肝心の内容ですが、元。・日産の社員として、トヨタと業績が開いた要因や日本電産のM&A担当役員として、数々の赤字企業を1年で黒字転換されてきただけあって、経営のノウハウが詰まっております。
これ全て実行すれば、黒字化するんだろうと納得できる内容です。
ぜひこのサマリーでは紹介しきれなかった数々の管理帳票類や分析資料を見るためにも、本書を購入して頂ければと思います。
お勧め度:☆☆☆☆ 星4つ
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(桐元 久佳)