平成18年の会社法改正により、株式会社の取締役の任期が2年から最長10年に延長されました(会社法第332条第2項)。
改正前の取締役の任期は2年で、監査役は4年でした。
2年に一度は役員の重任登記をしていたので、忘れることはなかったのですが、この改正で10年と重任サイクルが伸びたため、忘れがちになっております。
さらに平成26年度以降、最後の登記から12年経過している株式会社は、【休眠会社】とみなされ、法務局により職権で、「みなし解散の登記」がなされます。
「みなし解散の登記」による弊害
「みなし解散の登記」後は、原則として、事業活動を行うことが出来ず、清算事務しか行えません。
さらに、この時点で、役員の重任登記を忘れていることは間違いないため、「登記(とうき)懈怠(けたい)による過料」も請求されることになります。
みなし解散の登記後は、代表取締役としての印鑑証明書は発行できなくなり、金融機関との取引だけでなく、企業間の取引でも契約書を交わす際に今後の存続を予定していない株式会社と契約してくれる企業は皆無でしょうから、会社は、実際に清算せざるを得ない状況となります。
平成18年に改正されて、今年が13年目です。
ますます「みなし解散の登記」が増加すると思われますので、定款と最新の謄本で、いつ重任登記されたのか、ぜひご確認くださいませ。
また、税務上の処理としては、会社の取締役及び監査役の重任登記をしなかったことによる「登記(とうき)懈怠(けたい)による過料」は、取締役及び監査役が負担すべきものであるため、株式会社が立て替えて支払った場合には、「租税公課」で処理しても、損金不算入となるばかりか、役員への賞与となりますので、個人にも源泉所得税がかかります。何一つ、いいことがございません。
この機会に皆さまの会社だけでなく、お友達の会社にも役員の重任登記しているか?とぜひ確認するようにしてくださいませ。
弊所の担当者、私だけでなく、業務提携している「森高司法書士」もご紹介させて頂きますので。
執筆:桐元 久佳 監修:司法書士 森高 悠太先生
この原稿を監修してくださった司法書士 森高 悠太先生のご紹介です。
会社登記(役員変更・増資・設立など)・会社法務不動産登記(売買・相続・贈与)・遺産承継業を専門として業務を行っております。
司法書士 もりたか 法務事務所