少子高齢化やコロナ禍にみる工夫の余地

先日、ネット配信されていた記事を少し引用します。
過去にも見た事のある「西松屋」さんですが、このコロナ禍かつ少子高齢化社会でも業績を伸ばされているようです。

●以下引用

西松屋の特徴は“ガラガラ”の店内、だが顧客満足度は高い。西松屋の店舗に行くと、大抵、店内はガラガラです。いつも「空いている」印象です。
店舗はガラガラなのにもうかる理由。
それは、同社が徹底的にムダを排除していった結果出来上がった、独自の効率的な店舗づくりにあったのです。

(1)西松屋の店舗フォーマットがコロナ禍の繁盛店条件にぴったりあてはまった

西松屋の店舗は必ずしも良い立地にはありません。
郊外の、幹線道路から一本入った脇道のような二等立地に店を構えています。
なぜなら、その方が「賃料が安くなる」だけでなく、「目立たないので客で混みづらい」店を作れるからです。
立地選定は大きな特徴の一つといえるかもしれません。
また、店内は主導線(売り場のメインとなる通路)の幅が2メートル程度とられています。
通常は、ベビーカー2台が通れる1.5メートル程度の幅なのですが、同社ではベビーカー3台が楽々とすれ違えるほどの広さが特徴です。
その分、商品が置けなくなるので、売り上げに限界がでてきます。
売上至上主義であれば決してやらない導線計画です。
また、アパレル業界では当たり前のマネキンやセール品が並ぶワゴンも置かず、すっきりとした店内陳列という印象です。

商品は、比較しやすいよう壁一面にハンギングで陳列されています。
あまりカッコいい売り場ではありません。
しかし、この陳列によって客の滞在時間は他社と比べて20分以上短くなったものの、1人当たり購入点数は4~5点を維持できています。
客にとっては「欲しいものがすぐに買えて、すぐに店を出られる買い物しやすい店」といえます。

(2)ガラガラなのにもうかるのは販売員がムダな作業をしなくてすむから

西松屋では1店舗を2人のパート店員で運営することを基本にしてきました。現在の300坪パターンでも3~4人でまわしています。正社員の店長は1人で5店舗を掛け持ちで見るという体制です。実は同社は「生産性が非常に高い企業」なのです。
 同社の20年2月期の正社員は696人。パートタイム社員は3993人。この数、16年度からほぼ変わっていないのです。正社員1人当たりの売り上げで見ると2億円です! 前回ご紹介したコストコが1億1000万円ですから、2倍の効率です。ただし、1店舗当たりの売り上げは小さいので店舗スタッフ数も少なく、販売にかかる人件費を抑えることが可能です。

(3)全ては「低価格で魅力的な商品開発のために」

同社のこうした努力は何のためにしているのか。それは、魅力的な商品開発のためと断言してもいいでしょう。同社が徹底的に店舗にかかるムダを省き、ロスをなくし、余分な経費を削っているのは、その分をより魅力的な商品開発につなげていきたいと考えているからです。同社がターゲットとしている「子育て世帯」。彼らにとって一番の課題は何かを突き詰めた結果、子育て世帯の可処分所得が下がり続けていることに行き着いたのではないかと私は推測しています。これが西松屋の戦略の本質です。

(4)子どもの数が減っているから市場はなくなるのウソ

西松屋はターゲット顧客を「低価格でいいものであれば買ってくれるはずだ」と捉えて経営をしているのだと思います。
子育てにはお金がかかります。
しかし、子育て家庭の可処分所得は下がり続けています。
今の時代に子どもを育てるのはなかなか難しいことです。
一番の負担である「子育てにかかる費用の低減」に貢献できれば、ターゲットの支持を得られるはずです。

日本には年間で86万人(19年度)の出生数があります。
14歳までを同社がターゲットとする市場としても、約1500万人の子ども市場があります。
西松屋は10万人の商圏には原則1店舗出すと決めています。
子ども服のマーケットサイズ(年間1人当たり消費支出金額)は約7000円。
玩具や消耗品、靴などの周辺商品を含めると西松屋が取り扱う商品のマーケットサイズは1万円程度になります。

では、西松屋の商圏内シェアを算出してみます。
(1)商圏内総需要額=子ども関連マーケットサイズ×商圏人口=1万円×10万人=10億円
(2)西松屋の1店舗当たり売り上げ=1.42億円
(3)西松屋の商圏内シェア=(2)÷(1)=1.42億円÷10億円=14.2%
つまり、西松屋の1店舗当たりの売り上げは小さいのですが、たくさんの店舗を出店することによって、全国市場では15%のシェアを確保することが可能になるのです。
日本全国の10万人以上の商圏に1店舗ずつ出店すれば、子ども関連市場の15%のシェア(優位シェア)をとることが可能で、会社としても安定的な数字を確保できます。
これがコロナ禍かつ縮小市場でももうかる企業のマーケティング戦略の論理です。

引用元 
店内は客が少ないのに25年連続増収 西松屋がコロナ禍でも絶好調の理由
8/24(月) 6:30配信(岩崎 剛幸)

詳細は、引用元でご確認頂くとして、この記事から私が受け止めたことは、少子高齢化やコロナ禍によるマーケットの縮小を嘆くのではなく、そんな状況でも工夫の余地があるということです。
西松屋さんは、既に全国でも1000店舗もお店を運営されているが、まだ国内市場の開拓を進めていかれます。
更に、香港に拠点を置かれるドラッグチェーンに卸売りを始めることで海外マーケットにも進出されていきます。
どのような手段・方法で国内シェアを高め、海外に進出するのか含め、工夫の余地はまだまだあると痛感します。
さらに、本のサマリーで紹介する「日本電産」さんは、M&Aで失敗しらず。
その秘訣は、営業力による部分が大きいようですが、永年赤字だった企業が、変化していくための具体的な手法が記載されております。
ただ、この西松屋さんの原稿では記載はなかったのですが、その決められた戦略を徹底する企業文化、仕組みがあることが、成功の要因とも思えました。
この点は、自分を戒めるためにも、もっと研究して実践していきたいと思いました。