「税理士のための租税法務講座」を受講して

昨年の10月から今月の7日までほぼ毎月1泊2日で所属しているTKCと中央大学共同講座「クレセントアカデミー「税理士のための租税法務講座」なるものを受講していました。
憲法、民法だけでなく行政法や刑法など網羅的に法律を学び直す機会を頂きました。
法学では、歴史で覚えた「社会契約説」の意味をしっかり学べ直せました。
憲法というルールを作り、国家権力を制限し、人々の権利を守るという考え方を近代立憲国家という。
憲法とは、国家を作り出すときに人々が交わす社会契約であると。
それ以外では、なぜ、租税法律主義が憲法30条・84条に規定されているのか。
罪刑法定主義との兼ね合いも含めて、国家と個人の関係について改めて、教えて頂けました。
税理士として守るべき、「課税の公平性」とは何か?立法上の公平と手続き上の公平という2つの要請をどう守るのか?一緒に学んだ仲間は、全国の税理士仲間であるので、究極的には、皆のお客様をどう税務署から守るのか?そんなことを学ばせて頂きました。
実務家なので、目先の仕事を解決するために、学びながら・仕事しながらという学び方・働き方が実践的なのでしょうが、たまにはこのように腰を据えて体系的に学ぶことの大切さと学生時代に遊び過ぎたことの少々後悔しておりました。

そんな中で、改めて気付かされたのは、学ぶほど同じ言葉でもどの立場から見るのか・視点が異なることでその言葉の意味付けが異なる場合があるということです。

今回、本のサマリーにも出ている「ゴーイング・コンサーン(Going Concern)」は、私が税理士試験の勉強を始めた際に、会計学的には、
「企業は倒産を前提にして事業をしていない。
企業の廃業がいつか分からないので永遠に継続する前提だが、企業を取り巻く利害関係者に企業の財政状態及び経営成績を報告するために人為的に会計期間を設けて報告する~。
つまり、企業活動は永遠に続くと仮定するという会計学の根本的な考え方の一つ」と学んだのでした。
今回の本のサマリーでは「無期限に事業を継続し、廃業や事業整理などをしないことを前提にする考え方です。
つまり、事業をずっと続くように運営しなさいということです。」と説明されています。
つまり、企業の使命・責任としてゴーイング・コンサーンを受け止めているのですね。
このようにどの立場から説明するのか、考えるのかで、大前提となる根本概念ですら受け止め方が変わるのだと学べました。
また、この裏返しで、根本概念ですら中々同じ意味で理解しているという仮説は成り立たない。
仕事の上では、丁寧にチームで同じように理解しているのか確認が必要であるということも感じました。
「実るほど頭が下がる稲穂かな」ではございませんが、人それぞれの立場からも見える・考えることが異なるので、学ぶほど謙虚になれる私かな。と思っております。
今後も弊所のスタッフとも、ばりばり仕事をしていきます。
また、座学を通じて学び合っていきます。ただ、一番、学び、謙虚になるべきなのは、謙虚でない私です。
本やセミナーだけでなく学べる機会があればぜひ、お声掛けください。
お客様ととも一緒に学べたら嬉しいです。

 (桐元 久佳)