はじめに
値段を上げることこそ正しい企業努力だと私は考えています。
値上げによって会社全体が儲かる体質に変わるからです。
この4ステップだけで叶います。
1 値段を上げる
2 客層を変える
3 情報を加える
4 経営を回す
値段より安心や信頼でモノを買いたい顧客(「良質な顧客」うあ「富裕層」)が皆さんの顧客になっていきます。
序章「値上げ」がいいこれだけの理由
マーケットは、一部の高所得者や資産保有者層(上流層)と、低所得者層(下流層)の2つに大きく分かれてしましました。
なぜ食品偽装問題は起きたのか?
「安くて良いものを提供するのが企業努力である」という行き過ぎたイメージに影響を受けた消費者から、「高級なエビを安い値段で食べたい!」「もっと安くて良いものを!」という強いプレッシャーを受けたために無理をしてしまったに違いありません。
「安い」には、それなりの理由があります。
低価格の商品しか市場にないというのは、一国の消費バランスとしてあまりに貧弱です。
何より、上質なモノやサービスが失われれることは、伝統的な高度な技術や文化が消えることです。
価格競争で勝つのは、マーケットにおいて1社のみだからです。
価格競争ではトップの座を奪取しない限り、負けです。
ユニクロをはじめ大手企業がこの戦略で最終的に狙っているのは、安売り後の値上げなのです。
大手の目的は、低価格戦略によって他社をマーケットから締め出し、消費者全体がこれを買うしかないという状態を作った後の値上げです。
もし、ライバル突然現れたら、また一気に値下げして、マーケットからその企業を駆逐できます。
巨大資本を持った企業に中小企業が競争を挑むこと自体が難しいですね。
日本の人たちは、上流層ばかりでなく一般の人たちの間にも、大切なものや体験にはお金を惜しまない傾向がはっきりと伺えます。
値段を安くすることが消費者のためだというのは、企業側の勝手な思い込みに過ぎないということが、おわかりいただけたでしょうか。
時代が変わっても求めているのは、心を満たしてくれる買い物体験なのです。
安売りという「ネットの時代」の恐怖心を捨てて、「今すぐ勝ち目のない安売り競争から降りましょう」と言いたいのです。
第1章 最初は「値段」だけを上げる―「値上げ」こそが正しい経営手法である
「安売りの礼賛」が当然のこととして通用している、現在の状況こそ日本企業が陥っている最大の問題なのです。
値下げをすることは、自分が手がけるビジネス、取り扱う商品・サービスに自信がない証拠です。
値下げによって利益が3分の1になってしまうのでは、3倍の数を売らないと、会社としては同じだけの利益を確保することができません。
ということは、顧客の数も3倍に増やす必要がるわけです。
そうなれば、それに対応する人員を増やす必要があります。
値下げをするということは、商品1つひとつの利益が減るだけでなく、そうした諸々のコスト負担が増え、会社全体の利益を圧迫することになるのです。
値下げをして起こる最大の問題は、経営者が現場を離れられなくなることです。
経営者の仕事とは、「会社の未来を作る」ことです。
経営者は自分が仕事に費やせる時間の多くを、会社の未来を作るための人脈作りや、スキルアップに充てることが大切なのです。
利益が倍になるのであれば、極端な話、これまでの半分の数を売ればいいということになります。
仮に販売数が半分になってしまったとしても、これまでと変わらない利益額を確保することができるのです。
これまで顧客数を増やすことばかりを考えてきましたが、まったく逆の発想で、意図的に顧客数を減らすのです。
販売個数が少なくなれば、在庫も少なくできます。人手に余裕ができますから、その分をより良い商品やサービスの開発に向けることができます。
BtoBでも商品やサービスの説明、提案の仕方を変えるだけで、値段を上げられることが多いのです。
値上げとは、つまりは「価値に見合った金額で売る」ということなのです。
安くうることは、品質やサービスの悪さの裏返しでもあり、逆に、高く売ることは品質やサービスの良さの保証ともなります。
最初は「値段」だけを上げる。
値上げに伴って、今の商品やサービスの品質を上げたり、新たなサービス内容を加えたりするのを、当初は極力しないことです。
第2章 「値段」を上げると「顧客」が変わる―高く売るための最低限の知識「消費」と「価格」
消費には4つのタイプがある。
①「安いから買う」消費
値段の安さを価値尺度として判断する消費です。
こうした消費のタイプでは、原価やいわゆる相場価格、競合店、競合商品などとの比較により「値段の安さ」そのものが価値として捉えられて、商品やサービスが購入されます。
②「高いから安心、信頼が置ける」消費
「安いから買う」消費とはまったく逆のタイプになります。
「しっかりとした値段だから、ちゃんとした商品やサービスを手にできるし、何かあった時にもしっかりと対応してくれるので安心できるはずだ」と考える消費者、顧客がとる購買行動がこの消費タイプに当てはまります。
③「モノではなく、コトを買う」消費
日常の生活の中で必要なモノを買うのではなく、自分の生活を彩る体験=コトを買うタイプの消費です。この消費のタイプでは、お金をモノに換えて残すことが目的ではないので、「安いから買う」という価値観がそこにはまったくありません。
④「自分らしさを買う」消費
商品やサービスを買っているのではなく、自分の生き方や主義にお金を費やすのが、このタイプの消費です。このタイプの消費者は、「自分の世界」を形作るのが特徴で、気に入った店、気に入った場所にしか行かないという傾向が強く表れます。
時と場合により、ごく一般の人たちが「安いものよりも高いもの」を選び、「モノよりもコト」を買うのが日本国民の消費の特徴です。
そして何よりも富裕層の特徴と重なる「自分らしさ」を買う消費の傾向を表すのが日本人なのです。
つまり、どのようなアプローチをするかによって、お客様は富裕層にも庶民にもなり得るということです。
一般には価格設定についてほとんどの企業が真剣に考えていないようで、周りの状況などを基に経営者のカンなどに頼って決められるというのが実態です。
価格の設定は経営者が行う経営判断のうちで最重要な問題です。
価格を決定する3つの要因
①原価を含めたコスト
②他社との比較
③その製品やサービスが持つ価値
私がなぜ「原価」ではなく「コスト」と表現しているかというと、コストの中には、仕入れもしくは製造原価のほかに販売管理などいろいろな必要経費が含まれているからです。
「適正価格」とは、原価に加えて、付随する諸経費、さらに将来の発展までを見越した費用をプラスした価格のことを言います。
第3章 「価値」を付加すれば、さらに「値段」は上げられる―情報の「伝え手」になる必要性
同じ商品やサービスが、その価値を知っている人には高価に、価値を知らない人にとってはまったく無価値に見えているということです。
商品やサービスは、顧客に価値を伝えなければ価値を感じてもらえない=無価値に等しいのです。
なので、価値を情報として付加することの大切さがわかっていただけたでしょう。
商品やサービスの価格を決める際の「価値」は、大きく分けて2つに分類されます。
1つは「一般的な価値」。そしてもう1つが「顧客特有の価値」です。
ほとんどの場合、価値には原価はありません。
この価値が要因となって値段を高くつけることができるというのが、「価値」と「価格設定」の面白い関係です。
一般的な価値の14項目
①手間暇をかけている
②数が少ない、めったにない、作れる人がほかにいない、育つまで時間がかかる
③専門家がいる、選んでいる
④長い歴史を持つ、代々続いている、それを保証している文献や歴史上の根拠がある
⑤上位の人、歴史上の人物や有名人、著名人が愛用している
⑥ネットで流通していない
⑦実際に行ってきた、見てきた、世界の裏側など遠くまで行って取ってきた、持ってきた
⑧特許がある
⑨開発の秘話があり誰もが驚く
⑩裏付け「〇〇」がしている、世界を代表する研究機関「〇〇」が認めている
⑪長年使っても劣化しない
⑫何万回もテストしている
⑬メンテナンスの保証がすごい
⑭緊急時の対応が突出している、ほかでは決して真似できない
顧客の購買理由をもっと深く掘り下げて考えていくと、買う理由となると答えは別で、「その商品やサービスを買うことで得られる価値」を気に入って、あるいは理解して購入しているのです。
この「得られる価値」が、「顧客特有の価値」です。
第4章 80円のまんじゅうを250円で売ったら、なぜお客様が増えたのか?―「値上げ」にも方法があり、「価値」を伝える手順がある
値上げは、新規の顧客に対して、商品やサービスの「説明の仕方」を変えて行うことからスタートするのがベストだということを押さえておいてくださいね。
大事なのは、経営を改善する過程で費用をなるべくかけないことです。
では、既存顧客への値上げはどのように行えばいいのでしょうか。
タイミングは、新規顧客に対して値上げが成功し、値上げした商品やサービスの値段が社内で当たり前のように認識される状況になってからです。
おまんじゅうを揚げるのに、並んでいるお客様に、おまんじゅうができた由来や食べ方などを詳しく説明することを追加。
予想した通り、値上げしたその日から販売個数が伸び、収益性ががらりと変わりました。
値上げの敵は顧客ではなく、社内のスタッフ、もっと言うと経営者自身の心の中にあることを認識しましょう。
値上げに対してなかなか同意が得られない会社や、商品にバリエーションがつけられると思った会社に提案する値上げの方法です。
やり方は、今の商品を下位にして、中間と上位に商品ラインナップを増やし、値段の幅を広げる方法です。
通常、消費者は真ん中の価格帯を心理的に選びやすく、さらに数%の顧客は一番高価格帯を希望するので、商品ラインナップを広げるだけで、結果として高く売れ、収益性がはっきり変わってきます。
顧客に対して、正しく価値を伝えることができれば、あなたの提供する商品やサービスの値段は無限に上げていくことが可能です。
提供する商品やサービスに本来形がないものは、値段は自由につけられるハズです。
ぜひ、皆さんの会社・商品を高く売るための情報をプレゼンテーションの中に付加できるような御社の事実や証拠・伝えていないこと・表現したほうがよいことを注目してみてください。
第5章 値上げのプレゼンをどのように成功させるのか?―質問を駆使したクロージング
10倍の値段で人事コンサル会社の社長の人生が変わった!
9件売れなくても1件売れたら大成功と、発想を変えることがポイントです。
要は、たくさん失敗しても大丈夫なので、見込客を捨てながら、大胆にチューニングしていくということですね。
価格設定の際には、仕入れがゼロなので、最低限、どの金額なら契約するかという取り決めをしました。
その場合も、もちろん、単なる値引きは困るので、相手の予算に対してメニュー項目を削り、その項目は企業側に分担してもらう構成にしました。
「顧客特有の価値」について、しっかり話した後、料金提示や購買決定の場面では、必ず質問系の言葉や表現を用いて締めくくります。
「〇〇という金額ですが、いかがですか?」とか、「大丈夫ですか?」「問題ないですか?」というように、料金の提示を疑問形にして相手に投げ掛けると上手くいくのです。
提供する商品やサービスに納得できる価値がある場合は、ほとんどの顧客が「料金の提示+質問系での締めくくり」でスムーズに契約につながるか、価格交渉の話し合いになります。
最後の言葉を質問系にすることで、顧客は思っていることをわりと自然にこちら側に伝えてくれるようになるのです。
人間の脳は質問されたら答えなければならないという反応をするのが常で、この脳の特性や心理が上手く作用して、思っていることを素直に話してくれるようになるのです。
他社でも扱っている商品を自社で高く売るために必要なのは、今あるモノに「リアルな何かをプラスする」という考え方や「それによる業態の変革」という手法です。
BtoBでも激しい値上げの方法ですが、大きく分けて次の4つです。
① 取引先の信用を高める
こちらが何らかの価値(歴史や専門性、独自の技術やエビデンス)を提供できる立場になり、それを取引先企業の商品販売における強みとすることです。
② 取引先の値上げの理由となる
直接、商品やサービスの値上げを指示できる立場になることで、値上げを可能にする方法です。
③ 富裕層や良質な顧客向けに値段の高い商品やサービスを提供している会社に、アプローチ先を変える
新規でアプローチする営業先を、上質のマーケットで値段の高い商品を提供していきたい企業に変えることです。
④ アプローチする会社の最上位商品にのみ商品やサービスを提供する
新規取引先の開拓時に、すべての商品にサービスを提供するのではなく、最上位商品にのみ、自社の価値である技術やサービスの提供をすることで、値上げを可能にする方法です。
第6章 値上げの最大の目的は「時間」を作ること―経営サイクルを伸ばし、価格競争せず自社の努力で勝てる経営へ
理想的な経営とは、他社との競争がない、もっと言うと、他社との競争を必要としない経営を実現することです。
値上げによって得られた売上と利益の増加によってもたらされる最大の価値は、将来を見通して他社を圧倒する準備のための時間的な余裕を企業が得ることです。
経営者は新たにもたらされた時間で何をすべきか。
それは、未来の売上を生むための「取り組み」や「しくみ作り」です。経営のサイクル(目指すゴール)を3年、5年、あるいは10年先へと伸ばし、将来や未来の準備をする会社は、ある時点から圧倒的な勝ち組企業になると私は考えます。
今取り組んでいる行動の結果を、今ではなく3年先とか5年先あるいは10年先にゴールを設定して、経営に取り組むことです。
値上げによって得た売上と利益をこの経営サイクルを伸ばすための原資にすることで、圧倒的に他社を引き離した経営ができるようになります。
最終目標は、ライバル会社や業界の主要な企業が目指しているよりも長いサイクルで経営を回すことです。
そのための判断基準となるのが、「今すぐ必要とされていないが、将来大きな差となる行動は何かを考える」ことです。
今月はこの本を選んだのは、とある勉強会の推薦図書だったからです。
この数年、原材料高による値上げは、どこの会社でも実施していると思います。
しかし、この本が凄いのは、それよりも以前から【値上げ】の有効性を説いている点です。
値上げするために、どう企業努力するのか。豊富なヒントが学べますので、お勧めです!
お勧め度:☆☆☆☆ 星4つ
(桐元 久佳)


