よくあるQ&A ~修繕費と資本的支出の違いは?

貸付や事業用に供している建物・建物附属設備・機械装置・車両運搬具・器具備品などの資産の修繕費で、通常の維持管理や修理のために支出されるものは必要経費になります。
ですが、一般的に修繕費と言われるものでも資産の使用可能期間の延長のため、資産の価値を高めるための支出は資本的支出、つまり資産となります。

 

Q: 資本的支出になるものは何ですか?

 

A: 次のような支出は資本的支出になります。
1.建物の避難階段の取付など、物理的に付け加えた部分の金額
2.用途変更のための模様替えなど、改造又は改装に直接要した金額
3.機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取替えた場合で、その取替えた金額の内、通常の取替え金額を超える部分の金額
※注意:建物の増築、構造物の拡張、延長等は建物等の取得にあたります。

 

Q: 修繕費になるものは何ですか?

 

A: 次のような支出は修繕費になります。
1.おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理・改良などであるとき、または一つの修理・改良などの金額が20万円未満のとき
2.一つの修理・改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合、その金額が60万円未満のとき、またはその資産の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下であるとき

なお、一つの修理・改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合、上記1.または2.に該当しない場合は、「資本的支出と修繕費の区分の特例」により資本的支出と修繕費に区分することが認められています。

 

Q: 資本的支出と修繕費の区分の特例とは?

 

A:一つの修理・改良等のために要した金額のうちに資本的支出か修繕費かが明らかでない金額がある場合、支出金額の30%相当額と、修理・改良等をした固定資産の前年12月31日における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費の額となります。
残りの金額は資本的支出の額となります。

 

Q: 災害時の復旧費用の場合は?

 

A:災害により被害を受けた固定資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事・排水・土砂崩れ防止等のために支出した費用の額は修繕費となります。

ただし、災害により被害を受けた固定資産について支出した費用で、その費用の額を原状回復のために支出した部分と、その他の部分の額に区分することが困難なものについては、その費用の額の30%相当額を修繕費として、残りの金額を資本的支出とすることができます。

災害時の復旧費用の場合は?

 

Q: 耐用年数を経過した資産を修理・改良等した場合は?

 

A:耐用年数を経過した資産を修理・改良等をした場合であっても、修理・改良等のために支出した費用の資本的支出と修繕費の区分については、一般の例によって判定を行うことになります。

 

Q: 資本的支出を行った場合の減価償却はどうすれば良いのか?

 

A:資本的支出を行った場合に、減価償却は次のようになります。
1.原則としては減価償却資産に対して資本的支出を行った場合は、旧減価償却資産と種類・耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとして、減価償却を行うことになります。
旧減価償却資産については、上記の資本的支出を行った後においても、これまで採用してきた償却方法を継続することになります。

2.平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産に対して資本的支出を行った場合は、上記の1.にかかわらず、旧減価償却資産の取得価額に、資本的支出の金額を加算して減価償却を行う方法も認められています。
ただし、この加算を行った場合は、旧減価償却資産の種類・耐用年数・償却方法に基づいて、旧定額法または旧定率法により償却を行うことになります。

3.減価償却資産について定率法で償却を行っている場合は、平成24年4月1日以後に取得したものとされる減価償却資産は200%定率法を、平成24年3月31日以前に取得した減価償却資産は250%定率法を適用することになります。

4.資本的支出を行った事業年度の翌事業年度開始の時に、旧減価償却資産の帳簿価額と資本的支出を行った資産の帳簿価額との合計額を取得価額として、減価償却資産を新たに取得したものとすることができます。
新たに取得したものとされる減価償却資産の取得日は、翌事業年度開始の日となり、旧減価償却資産の種類および耐用年数に基づいて償却を行うことになります。
ただし、上記3.の通り平成24年3月31日以前に取得した旧減価償却資産に平成24年4月1日以後に資本的支出を行った場合は異なる償却率が適用されるため、その場合は旧減価償却資産と資本的支出を合算する特例はございません。

5.同事業年度内に複数回の資本的支出を定率法にて行っており、平成24年4月1日以後に取得をされた減価償却資産に資本的支出を行った場合の適用を受けないときは、資本的支出を行った事業年度の翌事業年度開始の時において、資本的支出のうち種類および耐用年数を同じくするものの事業年度開始の時の帳簿価額の合計額を取得価額として、減価償却資産を新たに取得したものとすることができます。
この場合、新たに取得したものとされる減価償却資産の取得日は、翌事業年度開始の日となり、旧減価償却資産の種類および耐用年数に基づいて償却を行うことになります。
ただし、注意事項が3つございます。
※注意1.旧減価償却資産と合算した資本的支出については、資本的支出事業年度の翌々事業年度以後において、他の資本的支出との合算はできません。

※注意2.他の資本的支出と合算した資本的支出については、その資本的支出事業年度の翌々事業年度において、旧減価償却資産本体との合算はできません。

※注意3.旧減価償却資産に合算する複数の資本的支出の組合せ、または資本的支出間の合算の組合せは選択的に行うことができます。ただし、一旦合算した組合せで翌事業年度に償却費の計上を行った場合には、翌々事業年度以後において、他の合算の組合せに変更することはできません。

ご不明点やご不安があれば担当または桐元までご連絡ください。

(スタッフT)