スタートアップ芸人 森 武司 著

はじめに 貯金0円、4年間のニート生活でも人生は大逆転できる

「仲間力=仲間とつくる力」が強ければ、どんなビジネスでも成功する。
これからの時代、「仲間力」はビジネススキルとして強力な武器となる。

6大奥義とは、
❶仲間を集める、❷仲間を見極める、❸仲間を成長させる、❹仲間との絆を深める、❺顧客を仲間にする、❻取引先を仲間にすることだ。

 

第1章 芸人クビの引きこもりニート、会社をつくる
1.吉本芸人、引きこもりニートになる

 

2.疾風怒濤のヤマダデンキ

一番印象に残っているのは、「スクラップ・アンド・ビルド」という言葉だ。とにかく全国に出店し、10店舗つくって6店舗が黒字、4店舗が赤字なら、差し引き2店舗が黒字という考え方。
それならば、赤字の4店舗をつぶし、黒字の6店舗を残す。
多くの経営者は赤字の4店舗をなんとか黒字化しようとするが、「それは時間の無駄」と断言していた。
私が選んだ実力のある店長でも黒字化できないのは、立地が悪いか、周辺住民に店がマッチしていないかのどちらか。だから黒字店舗に精力を注ぎ、赤字店舗はおもいきってつぶす!

 

3.わくわくエッサで起業スタート

いろいろなマーケティングの本を読むうちに、売上を上げる3つの鉄則に気付いた。
それは、「お客様をたくさん呼んでくる」「きた人にできるだけ購入してもらう」「お客様に繰り返し買ってもらう」。

 

4.起業の最大の秘訣

起業は難しいものではない。
リスクは少なく、圧倒的にリターンが多い。
「いつか起業したい!でもできない」という理由の大半は、自分にできるかという不安と、失敗すると大きなダメージを背負ってしまうという誤解だ。
本気で起業したいなら、まずアルバイトでもパートでもいいから夢に近いところで働こう。
極論すれば、起業したいと思ったら明日から準備するといい。
練りに練った計画は旬をすきてしまっていることも多いし、人間の情熱は長くは続かないものだ。
最近つくづく感じるのは、事業で一番大切なのは誰とやるかだ。
一緒に働く仲間には能力、情熱、人間性が大切だ。

 

第2章 タネと水で仲間を集める
1.新しい仲間を集める

最強の採用戦略は、社長と内定者、または社長・役員と内定者でおいしいお店に行って上座に座ってもらい、素直に「どうしてもあなたに入ってほしい」と伝えることだ。

 

2.顧問紹介・顧問派遣サービスを活用する

新卒は能力、情熱、人間性で採用し、3、4年かけて育てようと思っている。
一方、中途は即戦力として業績を上げてもらえるかで判断している。
だから何をやってきたか、どんな実績を出してきたかを見る。
僕らの奥義は、顧問紹介・顧問派遣サービスに登録している若手と1ヵ月だけ契約することだ。
常時10人くらいと契約し、1ヵ月一緒に仕事をして「この人はいい」となったら、3ヵ月、半年と契約延長する。
この間に、能力、情熱、人間性を見極め、「この人と仲間になりたい」と思ったら、顧問紹介会社から了承をもらったうえで人材紹介料を払い、ヘッドハンティングする。

 

3.「今まで出会った中で一番優秀な人」を紹介してもらう

優秀な人を仲間にしたいときは、優秀な人に「あなたの人生で一番優秀だと思った人を紹介して」と依頼することだ。
当社の事業責任者(ナンバーワン)の最初のミッションは、ナンバーツーを見つけることだ。
これは業績を上げるのと同じくらい重要で、ナンバーツーの活躍次第で業績数字はガラリと変わる。

 

4.ワクワクのタネを埋めてくる

年商30億円くらいになった頃から、オフィスやHPにある程度のお金をかけ、会社の成長性や商品・サービスのよさで信頼を積み上げながらハイクラス人材にチャレンジした。
そのとき大切なのは、既存メンバーの「質」と「情熱」と「しつこさ」だ。
やはり誰と働くかが大事だ。だから僕はこれは!という相手に会うとき、役員や社員を連れて行く。
社長だけでなく、相手と近い立場の人を一緒に連れていき、ヘッドハンティングする作戦は他のどの会社でも活かせる重要ポイントだと思う

 

第3章 仲間を見極める
1.仲間を見極める公式「能力×情熱×人間性」

能力×情熱(やる気)×人間性(方向性) この3つのどれかでもない。
3つを同時に満たしている人と仲間になりたい。
能力が高く情熱があれば申し分ない。
だが、その方向性を決めるのは人間性だ。
だから、どんなに能力と情熱があっても、人間性が最悪な人は採用しない。

 

2.仲間の「強み」と「弱み」を見極める

やりたい仕事に配属されると、通常の1.5倍くらいの熱量を出してくれる。
採用時の配属に納得感があると、大きな力を発揮してくれる。
学歴や資格だけで配属するより、本人の納得感と適材適所が一致するよう、とことん模索したほうがいい。

 

3.会社のカルチャーを提示し、カルチャーに合った人を入れる

僕は「企業の最大の参入障壁はカルチャー」という言葉が好きだ。
商品・サービスはマネできるが、カルチャーはマネできない。カルチャーとは、社長、役員、社員の夢や想いの塊だ。だからカルチャーを「見える化」し、カルチャーに合った人に入ってもらいたい。
僕らのビジョンは「さあ、ワクワクを創ろう。」採用でも「仲間」というキーワードを前面に出し、「友達になれそうな人を採用します」と宣言している。
すると、この言葉に共感する人が集まり、共感しない人はエントリーしてこない。

 

第4章 仲間を成長させる
1.日報と月報で努力の方向性を示す

僕らは日報・月報を活用し、社員一人ひとりの粗利を管理し、成長の指針としている。
自分が毎日(毎月)どれだけ粗利額に貢献したか、一目でわかる。上司は日報の数字を見ながら、「この案件の粗利額が下がっている理由は何?」「改善策を教えて?」と声がけを行い、改善してもらう。
日報を管理する場合、目標達成のカギとなるKPI(重要業績評価指標)の設定が重要だ。

 

2.毎月「〇〇」を送るとモチベーションが上がる

毎月1回、全社員にチャットワークを通じて組織図を送っていることかもしれない。
昇進した人を赤字で表示したり、見出しに「〇〇さんが課長に昇進しました」と書いたりすると、チャットワークのリアクション機能を使って「いいね」「おめでとう」などがつけられる。
みんなが昇進を称え合うことで喜びが共有され、自分も昇進したいという前向きな気持ちになるのだ。
ただ昇進したくない人が仕事に前向きでないわけではない。
彼らにリーダーについていこうというフォロワーの気持ちがある。組織の中にはリーダーシップを発揮する人もいれば、メンバーシップを発揮する人もいる。
それを十分考慮した組織をつくりたい。

 

3.人事評価制度で評価の基準を示す

徐々に組織が大きくなるにつれ、「どうやったら役職が上がりますか」「どうやったら給料が上がりますか」という質問が増えてきた。
そこで求める能力や評価基準、報酬に対し一定のルールを設け、人材マネジメントの効率性と公平性を高まることにした。
具体的には、評価制度、等級制度、報酬制度から構成される新制度を導入した。
何をどう頑張ってほしいのか、何に報いるのかを明確化することで、互いに迷いなく最適な行動をとれるようになる。

 

4.新卒の相談相手「メンターシップ制度」とは?

メンターシップ制度により、新卒は誰に何を相談すればいいかが明確になった。
悩んでいたのは新卒ばかりではない。
転職者も同様だった。そのためにも「何かあったらこの人に聞く」という担当を明確にした。
課長として入社する人には部長、部長として入社する人には役員をメンターにした。
また、「ちょっとしたこと」を相談する役割として総務部員が日常的にフォローした。

 

5.合宿で会社の方向性を決める

事業責任者の合言葉は「やるからには天下を取るんじゃ」だ。
これは明治維新の頃、新しい国づくりの理想を掲げ、様々な事業が立ち上がる中で多くの人の合言葉だったという。とってもパワーのある言葉だ。

 

6.頻繁にスピーチしてコミットしてもらう

仲間を成長させる方法としてスピーチは重要なカギを握っている。
人前でスピーチしたことはコミットにつながりやすい。
事業責任者が熱い想いでスピーチすると、取引先の人は「こんな想いでやってくれるのか」と好印象を持ってくれる。
スピーチによって一人ひとりの想いや価値観を共有できる。
スピーチは仲間との絆を深める重要なスキルだ。
口ベタな人でも、回数を重ねるうちに少しずつうまくなる。
そのためにも、安心して話せる場をつくる必要がある。

 

7.役員のかばん持ちでビジネスセンスを磨く

人間誰しもすぐそばにいつ人の影響を受ける。
環境とは恐るべきものだ。
もし新人から数年間、孫正義さんの近くで仕事ができたらビジネスセンスが大きく磨かれるだろう。こうした発想から、すばらしい人材には早めに役員のかばん持ちをしてもらっている。

 

8.抜擢と小さくて早い失敗

優秀な新卒には、あえて高い役職の仕事をやらせることがある。
これを「抜擢」と呼ぶ。つまり、各事業部のナンバースリーレベルの仕事をいきなり任せるのだ。
実は、事業で押さえるポイントは3つしかない。
集客数、成約率、客単価(ライフタイムバリュー)だ。
売上をつくるのは3つの要素しかないのだ。
それを必要に合わせて最適化する。
これが経営のコツといえる。だから役員会議でも、集客数を増やすのか、成約率を上げるのか、客単価を上げるのかを徹底的に考える。

 

9.仲間を成長させるルールとしくみ

プロジェクトやプレゼンなどが一段落したら、上司は部下に必ずフィードバックする。
上司は常に成果とプロセスの両方をほめる。
僕は企画をつくり込みすぎるのが嫌いだ。
スピーディーかつ数多い報連相こそがいいものをつくる。
早い段階で見せてもらい、6、7回修正を加えると、的を射た提案になる。

 

第5章 仲間との絆を深めるしくみ
1.社員総会、社員旅行で感謝を伝える

僕らは年一回、決算後の7月上旬に社員総会を行っている。
そこでは作期の業績、今期の業績見込を共有する。
社員にとっては全事業の業績や目指す方向性を知る機会になっている。
プレゼンのとき、事業責任者は社員への感謝、モチベーションアップを意識している。
社員総会のテーマはそこにある。

 

2.月1回の役員会で結束を図る

役員会は各事業のヒアリングの場であり、自分以外の役員からコンサルティングを受けられる場でもある。
ここに集まるだけでフィディアの全事業の現況と改善すべき点がわかるのだ。

 

3.コミュニケーションの場としての食事会・遊び

僕は解決できない問題はほとんどないと思っているから、じっくり話を聞いた後、「これやってみる?」と具体的な解決法を提案する。
その点でも食事会は最強のコミュニケーションの場だ。
問題解決の場、ガス抜きの場として大いに機能する。
8割は意見を聞き、同調しながら解決策を一緒に考えるのだ。

 

4.悪口、陰口を言わないしくみ

フィディアの行動指針を策定するときに石田が強く望んだのが「悪口や陰口を言わない」ことだった。
最初は一人に対する悪口だが、やがて事業部や会社全体の悪口を言う場になるし、発言も過激になっていくからだ。
そこでみんなの前で「悪口や陰口は世界一生産性のない行為だからやめよう」と話した。

全社員ヒアリング制度のポイントは「役員が必ず回答する」「できない場合は明確な理由を伝える」ことだ。
「会社に意見できるからいい」と社内に「目安箱」を設置する会社もあるかもしれない。
だが、これは危険だ。
目安箱は愚痴の温床になりやすい。
匿名なので会社をよくする意見というより、悪いところを指摘する声が集まってしまう。
愚痴を言い続けるだけでいつまで経っても改善されず、クレーマーを量産する装置になってしまうのだ。
実行できない場合は、その理由を伝えると納得してもらえるもの。
ここでも双方向性があることが重要なのだ。

 

5.家族を最強の仲間にする

社内の仲間と家族はまさに車の両輪。
社内も家庭もうまくいくと、人生も仕事も加速度的にうまくいく。

 

第6章 顧客を仲間にする
1.顧客を仲間にする名人

一つは販売チャネルをアマゾン、楽天に絞り込んだことだ。
チャネルによって集まるお客様は層も質も違う。

 

2.マーケティングでは「レビュー」が最強

僕らの製品には、競合製品の10倍以上のレビューがついていることが多い。
これは丁寧にお礼状を書くなど、一人ひとりのお客様へきめ細かい対応をしてきたからだと思う。

 

3.インフルエンサーに広めてもらう

インフルエンサーにプレゼントしてPRしてもらう方法は原価と送料しかかからないから、小さな会社や個人事業主でもできる。

 

4.お客様と一緒に商品を開発する

商品テストのとき、当時の社員全員が家族、友人、恋人に商品を配り、意見をもらってくれた。
それだけでもありがたいが、想定外のことが起きた。
モニター協力してくれた人たちが、「自分が意見を出してつくり上げた商品」として、驚くほど購入してくれたのだ。

 

第7章 取引先を仲間にする
1.取引先と仲間になるための仕事の仕方

取引先を仲間にするには、しっかり相手について調べることだ。

長所はともかく個人の短所は会議室では話しにくいので、食事の席で少しユーモラスに伝えるのだ。

 

2.取引先との関係をつくる

フィディアにはCRO(最高リレーションシップ責任者)という取引先との関係づくりを専門に行う役員がいる。

 

おわりに

社長の役割は、自分より高い能力を持つ仲間を集めること。
その分野はあなたにはかなわないと負けを認めて信じて任せる。
社長に必要はのは「仲間に任せる力」なのだ。

 

今月はこの本を選んだのは、中尾隆一郎さんの勉強会に著者の森さんが講師で課題本だったからです。
仕事でのワクワクを実現させる工夫や業績アップのヒントも豊富だったので紹介させていただきました。
紹介しきれていないこともあるので、このサマリーで興味わけば、ぜひご購入をお勧めします!
お勧め度:☆☆☆☆☆ 星5つ
(桐元 久佳)

スタートアップ芸人 森 武司 著